アメリカのトランプ大統領とメラニア夫人が、9月16日から18日まで国賓としてイギリスを訪問しました。

訪英したトランプ大統領 ホワイトハウスXより
トランプ大統領が国賓として訪英するのは、第1期任期中の2019年以来、異例の2度目です。今回の訪問はチャールズ国王の招待によるものです。

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さて今回の訪問で大変驚かれたのがイギリス王室による大変豪華なトランプ大統領への対応です。
これまでの国賓訪問では見たことがないような大勢の衛兵がトランプ大統領到着を大歓迎し、豪華な行進を繰り広げ、終戦後のアイゼンハワー大統領のイギリス訪問よりも豪華ではないかと言う声があったほどです。
トランプ大統領はこれは私の生涯における最大の栄養であると述べていました。アメリカ人であるトランプ大統領は実はこういった権威や儀式といったものが大好きです。
基本的に歴史が短いアメリカと言うのはイギリスや欧州大陸に対する憧れがあって、実は本国イギリスの人々よりも王室が大好きと言う人が多いのです。
やはり人は自分のところにないものに憧れを抱きがちなのでしょう。
今回の大歓迎はイギリスの非常に厳しい立場をよく表しています。
EUとは関係がおもわしくなく、BrexitでEUを離脱してしまった上にイギリスと欧州大陸諸国は難民問題で現在かなり揉めています。イギリスはロシアの原油や天然ガスには頼っていませんが、フランスを始めとするEU諸国はまだロシアの資源に頼っている国もあるので、ロシアに対する意見の相違につながっています。
そういう状況ですので安全保障に関してはどうしてもアメリカに頼らざる得ない上、これ以上貿易で厳しい状況に追い込まれるのはどうしても避けたいのです。
そういうわけで心の中では隠し下に見ているアメリカに対して何とか盛大な接待を行い、何とかイギリスに対して支援して頂きたいという、苦肉の策が今回の大歓迎だったわけです。
イギリスが歓待してくる時は彼らが何かが欲しい時です。
イギリスは日本よりはるかにドライですから、感情抜きで損得を考えています。彼らは日本ほど感情には左右されないのです。
したがってイギリス国民としては莫大な金額の税金を使った接待は芳しくないのではと考える一方で今の状況を考えると仕方がないと思う人も多かったのです。
しかしイギリス国内における表現の自由やパレスチナを国家として承認するかどうかと言うことに関して意見の相違があるスターマー政権にとってトランプ大統領との接触は針の筵でありました。
性犯罪者であるエプスタインとの個人的な関係が暴露され更迭したばかりのアメリカ大使に任命されていたマンデルソン卿の話を蒸し返されなかったこと、そして75兆円あまりのAIを中心とする日英共同での技術投資が発表され、イギリスには約15,000余りの仕事が新しく作られることになったことです。
開催前はかなり厳しい状況になるのではと見られていたトランプ大統領の要求は思ったほどではなく、イギリスにとってはまあまあ良い結果になったと言えるでしょう。

訪英したトランプ大統領 ホワイトハウスXより
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