S&P 500の調整が不発のまま終了

S&P 500は週半ばの一度の調整を経て上抜けている。週明けは前の週のレンジから上抜けを試したが、週足レジスタンス6765の前で一度足踏みとなり、水曜10/22はNFLXTIが同時に滑ったのに加え、中国への輸出制限懸念で一時大きく調整した。もっとも先週の記事で重視していた6550には届かず、木曜10/23には半導体を中心に反発に転じている。金曜10/24は延期されていたCPIを無事に通過したことで指数が少し打ち上がったが、警戒されていた時期のような大幅高にはならず6800に阻まれた。

9月FOMCの後にバブルモードが始まって以来様々な資産クラスの相関が変調しており、要するに株式、債券、金が同時に買われたのがおかしいとの指摘があったが、利下げを受けたバブルモードなので、雑ではあっても、おかしくもなければ予想不可能だったわけでもない。ただ、雑すぎる相関反転はそれまでの相関を前提としたポジションの縮小を迫るものであり、まず火曜10/21を中心に金が急落した。これと水曜10/22の株式指数調整の組合せは金が完全にリスクオンで買われ、リスクオフで売られる資産に変わったことを印象付けた。金を含む、これまで高値追いされていた資産が急落したことで一部のクオンツファンドが打撃を受けた(いつ天井から反落してもクオンツファンドが打撃を受けていないか?)ようだが、木曜10/23に早速半導体が拾い直されていることから、この話は一旦終わったと考えてよいだろう。信用不安は依然「広がれば重い」話題ではあり、従って今後もKREやHYGが急落するような場面があればそれは炭鉱のカナリアになるが、それが起きていない間、今日明日の暴落に繋がらないだろう。


VolコントロールとCTAは確かに買いポジションを軽くしたがほんの一部である。中でもCTAの売りが誤差レベルに小さかったのはトレンドがすぐ押し返されたからか。


BofAのディーラーガンマは調整局面で非ディーラー側のプット買いが集中したのか、高原の左端が削れている。6800のコールウォールは残っており、CPIを通過した後の反発に対してレジスタンスとなった。もっとも6700~6800周辺もポジティブガンマなので調整したところで大した規模にはならないだろう。「解放の日」の急落以来、このガンマウォールの右側にはまだ行けたことがないが、今回こそチャレンジできるか。何かの拍子で6500をカチ割った時がネガティブガンマに転ずる構図も変わっていない。


もみ合いだった10/13の週はHFと機関投資家が売って個人投資家がキャッチしたようである。

先週の上げの中でさすがにNAAIMが少し楽観さを増している。これは調整局面で裁量投資家が押し目買いを入れた可能性を示唆する。


アナリストが強気で突入した決算期であることが知られているが、それでも今のところビートが多い。今週はマグニフィセント7の決算が最も重く、決算当日は多少のデジタルリスクが見込まれるものの、多少悪くても決算を通過すれば自社株買いブラックアウトが明ける。週末の間は米中貿易合意に向けた前進のヘッドラインがあり、この方面のバッドニュースが出るリスクは後退した。10月FOMCは元よりデータ依存ではないためCPIが250%になろうと利下げに不確実性がなく、注目はQT(バランスシート縮小)停止が発表されるかどうかに移っている

テクニカル。週足は二本目の下ヒゲ陽線となった。調整のボトムの6655が週足サポートとなる。やや緊張しながら見守っていた6550はすっかり遠くなった。これまでの週足レジスタンス6765は一度ワークした上でブレイクされているため有効なブレイクアウトとなる可能性が高く、これは10/10のショックで始まった調整を値幅の代わりに日柄でこなした構図を示唆する。下ヒゲがもっと長ければ一度下固めを必要としたかもしれないが、実体の長い陽線なので、そのままじり高が続いて想像力を試してくる可能性の方が高いだろう。


編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年10月26日の記事を転載させていただきました。