日本のホテルの公用語はこれからは英語になる

関西の旅行で驚いたのは外国人観光客比率の高さでした。大阪や京都の繁華街には日本語以外の言語が飛び交い、もはやここが日本とは思えない状態でした。

観光客と同じようにホテルのスタッフも外国人の比率が高まっていました。

今回利用した京都のホテルの朝食の受付の女性は外国人でした。たどたどしい日本語での対応です。

日本人からすれば日本のホテルのスタッフが日本語を流暢に話せないのには違和感があるかもしれません。でもホテルからすれば日本人宿泊客が少なくなれば日本語対応するスタッフを配置する必要性は薄れていきます。

むしろ日本人スタッフは最小限にして、多くのスタッフを英語ができる外国人にした方が合理的です。

日本ではこれまでサービス業に従事する外国人は日本人がやりたがらない仕事の補完戦力という扱いでした。日本人が集まらないから仕方なく外国人で代用という位置付けです。

だからコンビニのレジのような場所には外国人労働者が増えましたが、高いサービスレベルが求められるサービス業にはあまりいませんでした。

しかしホテルのような業態であっても、日本人旅行者が減って外国人旅行者が顧客の中心になれば、英語のできない日本人よりも日本語ができなくても英語ができる外国人の方が戦力になります。

日本人利用者がメインの田舎の温泉旅館などはともかく、京都や大阪のような外国人宿泊客の多いホテルチェーンではこれから外国人スタッフがさらに増えて、日本語よりも英語の方が通じやすくなりそうです。

そう言えば、数年前に利用したニセコのパークハイアットのレストランでは既に英語がデフォルトになっていて、いきなりスタッフから英語で話しかけられてビックリしました。リクエストすると日本人スタッフが対応する仕様になっていました。

このホテルの利用者はほとんどが外国人ですから、日本語で対応する必要性が低いのは考えてみれば当たり前です。

日本国内だからと言って日本人が常にマジョリティとは限りません。外国人しかいない場所も存在するのです。

そんなホテルがこれから増えていけば、日本のホテルの中での公用語は日本語ではなく英語が当たり前になっていくことでしょう。

日本人が相対的に貧しくなって海外だけではなく日本国内でも日本人観光客がマイナーな存在になっていくのは何とも悲しいことです。

davit85/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。