リフィル処方箋がまったく普及していないなど、財政審はいくつも重要な指摘をしている。もちろん本当に苦しい経営状況にある地方などの開業医・クリニックに対するきめ細かな措置は必要ですが、開業医と勤務医の待遇格差を是正するためにも、有限である原資の分配は見直さなければなりません。
なお開業医の税制には、保険診療報酬が5,000万円以下なら「概算経費率57%+490万円」を自動的に経費扱いにできる特例があります。
実際の支出を証明しなくても一定割合を“経費とみなす”仕組みで、事務負担の軽減が目的。
ただし、実態以上の経費控除が可能になり「節税優遇では?」との議論もあります。他の小規模事業者も事務負担に苦しむ中で、医療業界だけの仕組みが徐々に理解を得られづらくなっているのも事実です。
こうした制度の見直しを考えることは、誰かを責めるためではありません。医療を支える人たちが安心して働き、社会全体で持続可能な仕組みを築くために、多角的な視点から建設的な議論と不断の見直しが必要です。
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編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年11月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。