名古屋鉄道は12日、名鉄名古屋駅周辺で進めてきた大規模再開発について、開業時期と事業規模をともに「未定」とすると発表した。総事業費約8880億円、2040年代完成を想定していた計画は事実上停止し、名古屋の中枢で都市更新が止まる現実がはっきりした。
- 名鉄名古屋駅周辺では、名鉄百貨店や近鉄パッセ跡地を含む一帯の再開発が未定となり、2030年代以降の段階開業や40年代前半の全面開業という当初構想は白紙に近い状態となった。
- 結果として、名古屋でも屈指の一等地が当面は低利用のまま放置されることが確定的となっている。栄地区でも興和による再開発がほぼ頓挫しており、名古屋の二大中心地で都市更新が同時に止まった。
- 建設資材価格の高騰や名古屋のオフィス賃料水準の低さによる採算悪化に加え、地下にある名鉄名古屋駅を運行しながら改造するという国内でも例のない超難工事が計画の最大の壁となった。
- 1日約30万人の利用を継続しつつ工事を行うことは、施工側が完成までのリスクを見通せないと判断した可能性が高い。
- 同様の再開発停滞は名古屋に限らず、新宿や東京、大阪、博多などでも見られ、資材高よりも人手不足が決定的な制約となっている。巨額の資金を投じて既存施設を解体し高層ビルを建て直すモデルそのものが限界を迎えつつある。
名鉄名古屋駅再開発の未定化は、単なる計画見直しではない。日本の都市が抱える「巨大インフラを更新できない」という構造問題が、ついに中枢都市で表面化した事例である。今後、同様の再開発停止は他都市にも波及していく可能性が高い。

名鉄名古屋駅再開発完成予定図 名鉄プレスリリースより






