(前回:区長自宅疑惑、副議長クビ! 世田谷区議会で起こっていること①)
世田谷区議会懲罰特別委員会は、みやかおり議員の大庭正明議員への発言は、「侮辱に値しない」という結論に至った。主な理由は「会議録に残っていない」ということだったが、直接、みや発言を聴いている私ひえしまとしては、まったく納得できない。
昨今、パワハラ、セクハラがよく問題になるが、発言が記録に残っていないから認定しないという法はないし、そもそも、みや発言は私を含めてその場にいた全議員が聴いているのである。
とはいえ、懲罰特別委員会の結論は尊重しなければならないので、これ以上言っても仕方ない。それはそれとして、驚くことに、立憲民主党会派の羽田圭二副議長と桜井純子幹事長が、決算特別委員会開催中、各会派を回って、大庭議員の保坂区長の自宅違法建築疑惑にまつわる質問の封殺工作を行っていたことが発覚したのである。
実は立民会派は、みや発言の前に、大庭質問が地方自治法第132条に違反すると主張していた。条文は以下のとおりである。
第132条 普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。
つまり、保坂区長の自宅違法建築疑惑の追及が、この条文に触れるということを言っているのだが、ある議員が、大庭質問のどこが問題なのか桜井幹事長に質すと、「大庭議員のことを指しているわけではない。全議員に注意喚起したい」と言い訳する始末。これを聞いた何人もの議員が、「注意喚起って、全議員の質問に問題があるということか? 失礼極まりない」と憤っていた。また、別の議員は「みや議員が大庭議員を名指しているのに、言い訳にすらなっていない」と呆れ返っていた。
補足すると、羽田副議長と保坂区長は、新宿高校定時制時代の同窓生で、ともに社民党議員でもあった長年の盟友関係にある。立民会派は共産党と同様、区長与党という立場。世田谷区議会がこれまで美風としてきた、議員の発言の自由と議会の公平・中立を守るべき立場にある副議長が、会派幹事長と一緒に他会派を回って、気に食わない議員の質問を問題視する行為は、あまりにも常軌を逸している。このような事例は、全国の自治体を探しても見つからないのではないか。
羽田副議長は決算特別委員会の質疑でも、第132条を持ち出して、保坂区長にあえて発言の機会を与えるなど、区長をアシストする姿勢が際立った。その質疑を見た他区の議員が「ほんと立憲民主党って大丈夫?」と目を丸くしていた。

羽田副議長と保坂区長は盟友関係
羽田氏のHPより
ここで、最初に疑問の声を上げたのが公明党会派だった。羽田副議長と桜井幹事長が控室を訪れたときに、強い違和感を感じたという。当然だ。ちなみに、大庭議員が属する私の会派には来ていないので、2人の行為は知らなかったのだが、このことは、訪問を受けた会派から問題の指摘が相次ぎ、瞬く間に議会中が知るところとなった。
その後、繰り返し自発的な辞任を促す動きがあったが、羽田副議長は「辞めない」と言い募り、まったく反省の様子が見られないことから、公明党と私の会派(無所属・世田谷行革110番)は、副議長不信任決議案を議会に提出。自民、参政、維新の賛成多数で、可決された。
世田谷区議会 副議長の不信任案可決 言論封じ疑い理由にhttps://t.co/W1LLxJ3avy
— 東京新聞デジタル (@tokyo_shimbun) December 5, 2025
しかし、それでも、羽田副議長は「辞めない」と居座り続けている。このまま、議会の意思を無視するつもりなのか。議会軽視の態度は保坂区長と瓜二つである。
(③へつづく)






