1970年代、イギリス経済はどん底でした。10%を超えるインフレ率と失業率が続き、バラマキ福祉で財政赤字は拡大し、労働組合のストライキで経済は麻痺してポンドは暴落し、成長率はマイナスになって英国病という言葉が使われるようになりました。
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これは今の日本の状況と似ています。もう30年以上も経済の低迷が続き、インフレと円安が止まらず、世界最大規模の政府債務で長期金利は急上昇を続けています。これは日本病ともいうべき状況ですが、違うのはその先です。
イギリスではサッチャー首相が、緊縮財政の小さな政府で財政赤字の拡大を止め、インフレを克服しました。しかしサッチャーを尊敬している高市首相は財政バラマキの「大きな政府」で財政赤字を拡大し、円も国債も下がり続けています。
この背景には、安倍政権が日本病の症状(デフレ)を原因(生産性低迷)と取り違え、金融政策で問題が解決すると考えて、異常な量的緩和を10年も続けた歴史があります。その結果は、日銀の保有する500兆円以上の国債という負の遺産だけでした。
誤った診断で正しい治療はできません。まず日本経済を蝕んでいる病気の正体を正しく診断することから始める必要があります。それはざっくりまとめると、次の3つです。
- 貯蓄過剰:企業が貯蓄超過になり、国内に投資しなくなった。家計の金融資産も半分が実質金利マイナスの預貯金で、これが膨大な国債の消化を支えている。
- 産業空洞化:黒田日銀の円安誘導で日本企業が海外に生産拠点を移したため、円安で大きな交易損失が発生し、日本人は貧困化した。
- 日本的雇用慣行:実質賃金が上がらない原因は、非正規労働者の増加と正社員の賃上げ自粛。その原因は正社員を解雇できない(と思われている)雇用慣行にある。
サッチャー首相の評価は今も賛否両論ありますが、イギリスが英国病といわれなくなったことは確かです。それとは逆のバラマキ財政をこれから始める高市首相は、日本病の創始者になるかもしれません。
今回のアゴラセミナーでは、日本病の原因を政治・経済だけでなく、日本人が無意識に受け継いでいる「文化遺伝子」にもさかのぼって診断し、それをどうすれば治療できるかを考えます。
講師:池田信夫(アゴラ研究所 所長)
テーマ(例)
- サッチャーはいかにして英国を英国病から救ったか
- インフレ・円安・債券安の日本病はなぜ生まれたか
- 高市政権はアベノミクスの劣化版
- 日本企業はなぜ「内部留保」するのか
- 円からのキャピタルフライトが始まる
- 黒田日銀の円安誘導が空洞化を招いた
- 雇用流動化を阻むのは「解雇規制」ではない
テキスト:
など受講者のみなさんの要望に応じて決めます。
開催日:2025年1月9日から毎週金曜日(全12回)
1月9日・16日・23日・30日
2月6日・13日・20日・27日
3月6日・13日・20日・27日
時間:19:00~20:45
授業はすべてオンライン(Zoom)で行うので、全国の(あるいは海外の)みなさんも視聴できます。録画をあとからYouTubeで見ることもできます。
定員:無制限
受講者全員をアゴラサロンに無料でご招待します(受講期間中は無料)。
受講料
- 3ヶ月12回分:3万6000円(消費税込み)
- アゴラサロンの有料メンバー:2万7000円(同)
お申し込み方法:専用フォームに必要事項をご記入いただき、フォーム記載の弊社口座へのご入金をもって手続き完了です。
主催:株式会社アゴラ研究所