「もう遅い」が口癖の人、ダメなのは「年齢」ではない

黒坂岳央です。

「もう年を取りすぎた。自分はダメだ」と嘆く人がいる。

しかし、厳しい事を言うと、本当にダメなのは「年齢」ではなく「思考停止」している点である。「いやいや、自分は年を取っていることを思い悩み、思考停止していないからこそ苦しんでいるのだ」と反発されそうだ。

だが、はっきりいってその発想こそがまさしく思考停止の産物といえる。筆者もいい歳ではあるが、「もう遅い」と思うことはない。法律でやったらダメと決まっているものでなく、あくまで取引先に価値を提供できるなら、仕事は何をやっていいはずだ。

本稿はダメ出しをするのではなく、「もうダメだ」と落ち込んでいる人たちを開眼する目的で書かれた。

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「遅い」という人は検証をしない

「もう遅い」と口にする人は大変多いが、厳しいことをいうと彼らは「具体的に何がどう遅いのか」を一切検証しない。言い方を変えると「考えているようで実際は何も考えていない」のだ。

たとえば英語学習だ。40代、50代から始めることに対して「今さら遅い」と断じる人は多い。しかし、世の中を俯瞰すれば、その年齢から学び始めて通訳や観光ガイドとして新たなキャリアを築いている人間という状況証拠はいくらでも存在する。

確かに40代からビジュアルを売りにした国民的トップアイドルを目指すのは物理的・市場的に困難だろう。だが、今回の話のように英語学習であれば後天的な学習スキルと積み上げだけで再現性高く、着実に身につけることができる。

脳は各部位、機能ごとにピークが到来する時期はバラバラである。英語学習のコアを司る「語彙力」についていえば、ピークは多くの人が考えるより圧倒的に後だ。

極めて高度な数学や短期トレーダーなどは年齢的に不利な要素はあるかもしれないが、そういった他のスキルと水平比較などを一切せず、「年を取った→脳が衰える→もう遅い」という歪んだ認知で、それ以上何も考えないようにしているだけだ。

要するに、彼らは最初から「やれる」と思っていないため、調べるという最低限の作業すら放棄している。年齢を「考えなくて済む、行動しないで済むための免罪符」として利用しているに過ぎない。

遅いと嘆く人は一発逆転思考すぎる

「遅い」と嘆く人の心理には、極端な完璧主義と認知の歪みが潜んでいる。

彼らの頭の中には、自分で勝手に作り上げた「理想の大成功イメージ」が鎮座している。そして、そこから1ミリでも足りなければ、すべてを「大失敗」と見なす白黒思考に陥っているのだ。

仮に「もう時間がない」と本気で焦っているのなら、論理的な帰結は「今すぐ1秒でも早く着手する」以外にない。しかし、彼らは「今から始めても世界一にはなれない」という理由で、最初の一歩すら拒絶する。

そもそも、仮に世界一の大富豪になろうとも、後発に抜かれればその座は失われる。順位や「完璧な結果」を唯一の基準にする限り、何歳で始めようと、どのような成果を出そうと、一生「まだ足りない」という呪縛から逃れることはできない。つまり、年齢うんぬん以前に挑戦する競技のルールを理解していないという状態なのだ。

この「一発逆転ホームラン思考」が、彼らの足を止めている正体だ。

終わりのない「他者比較ゲーム」への執着

人生の後半戦において最も致命的なのは、若い頃の「勝負ルール」を更新できていないことである。

学生時代までは、偏差値や学歴といった単一の物差しで競う「他者比較ゲーム」が中心だった。実際、進学する学校や取得する資格で人生は変わるインパクトがある。

しかし、社会に出ればルールは多層化する。資産を増やすゲーム、家族との時間を慈しむゲーム、あるいは無名でも表現を貫くゲーム。人生の数だけゲームは存在する。人生の中盤以降に求められるのは、この不毛な「比較のレース」からいかに賢く早く降り、自分の価値観で人生というゲームをプレイできかという課題だ。

それにもかかわらず、一生「他者に勝つこと」でしか自分の価値を確認できない人間は、常に後発に怯え、年齢を理由に「もう勝てない」と絶望が確定的なレースに出るようなものだ。「自分のゲーム」を定義できない主体性の欠如こそが、年齢以上にその人をダメにしている。

結局、考えない人は「年齢」という固定値パラメーターに全責任を押し付け、それが考えない理由となっているのだ。だからダメなのは実年齢ではなく、考えているようで実際には具体的に何も考えないことなのだ。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。