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大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。なにもないところから資格を使ってどう稼ぐのか?資格を取ることで人生を逆転させた、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『ごく普通の人でも資格を取ってきちんと稼げる本』から、再構成してお届けします。
資格は「非」個性的?
資格を取るとほかの人と差別化できたような気がしますが、実は、正反対。資格を取ってその活動を始めた瞬間に、個性は消えてしまうのです。そこで、資格の「非個性的」について説明しておきましょう。
個性が消えてしまう理由は2つ。ひとつは、たとえば行政書士なら行政書士と名乗った瞬間に、お客様からはどの行政書士も同じに見えてしまうのです。「いや、自分はオリジナリティあふれる行政書士だ」と言っても、お客様から見れば、同じ資格ならば印象はほぼ同じ。つまり、個性が消えてしまうのです。
しかも、資格を取るとそれまでの自分のキャリアを無視したりしてしまう傾向が強いので、よりお客様にとっては無個性に見えてしまいます。
そして、いわば「スキル資格の悪しき専業理想主義」による無個性化。これが2つめの理由です。専業をしてしまうことによって、より個性が消えてしまう。ですから、今度は値引きで勝負しなければならなくなります。
このように、資格は「信用」という威力がある反面、「無個性化」というデメリットも持っています。
ですから、まずはサービスのメニューをつくり、それからよりパーソナリティを強く打ち出し、人に近い距離で会い、好かれる努力をする。そして、同業者と差別化するための能力・サービスを開発・向上していくというのが、仕事獲得の大原則になります。
同業者と差別化する4つのステップ
「同業者との差別化と言ったって、どうしていいかわからない。横須賀さんのようにAIが得意なわけではない」と、差別化の話をすると、どうしてもこうした迷いが出ます。
大前提としては、自分自身で努力することです。一朝一夕に差別化などできませんので、まずは自分の能力を高めることが大事です。
ただし、それだけですと差別化の方法が見つからない可能性があります。差別化をするためのステップを次に記しますので、ぜひ参考にしてください。
ポイントは、「お客様が喜ぶことであなたができることは?」です。
(ステップ1)あなたのお客様はどんな人ですか?
あなたのお客様を書き出してください。そのお客様をイメージすることによって、差別化の方向が見えてきます。
例:経営者、起業家、女性、男性、年代(20代、30代、40代、50代、60代、子供、若者、シニア)、富裕層……。
(ステップ2)あなたのお客様はどんなことで喜びますか?
お客様が喜ぶことをすべて書き出してみてください。資格にこだわらず、考えられるすべてのものを書いてください。
例:法律的手続き、売上が上がる、スタッフが自主的に働くようになる、企画を出す、アドバイス、コンサルティングによる問題解決、ツアー、セミナー、勉強会、教材、メールマガジン、ウェブデザイン……。
(ステップ3)あなたができることは何ですか?
あなたができることをすべて書き出してください。資格のスキルとそれ以外、なんでもかまいません。
例:手続きの代行、売上を上げるためのアドバイス、組織構築のためのルールづくり、話すこと、書くこと、取材、商品開発……。
(ステップ4)ステップ2と3に共通するものを書いてください
お客様が喜ぶことと、あなたができること、これらに共通するものが、あなたの差別化のヒントになります。
例:「経営者に対して/売上を上げるための/メールマガジン発行で喜ばせる」
「20代の女性に対して/美しく見せるための/美容アドバイスで喜ばせる」
「シニア世代に対して/第二の起業を支援するための/ウェブデザイン構築で喜ばせる」
このように、お客様が喜ぶことを前提に、自分自身ができることを探してください。資格のみにとらわれると、差別化できなくなりますので、柔軟な発想が必要です。
もし、現時点で差別化ができなさそうでも、少しずつ「お客様が喜びそうなこと」ができるようになればいいので、まずは考えてみてください。
仕事を獲得するためのツール・テクニック
差別化ポイントがみつかれば、それをアピールするためのツールが必要になりますし、できればテクニックも身につけておきたいところです。そこで、有資格者がフリーランスで仕事を獲得する場合のツールやテクニックを、各項目ごとにまとめておきます。これがすべてではありませんが、ぜひ参考にしてください。
(1)名刺
フリーランスの武器とも言える名刺。名刺には、個人的な趣味や経歴なども載せておきましょう。共通点があれば、その話題になり、自然と好印象を持たれるようになります。
(2)会社案内
会社組織ではなくても、自分自身の仕事の案内をつくることはとても重要です。「何をやっているか知りたい」と言われたときに、すべて口頭で説明しなければならないのは、たいへん効率が悪く、お客様にも時間をとらせてしまいます。
そこで、大企業のような立派な装丁の会社案内でなくとも、フリーランスといえども、サービスのメニューは重要です。簡単なものでかまいませんので、事業内容、料金表、お客様の声、連絡先などを掲載した会社案内はつねに持ち歩きたいものです。
(3)ハガキ
名刺交換、仕事受注時など、お礼をするのにハガキはとてもていねいな態度であり、効果的です。こまめにハガキを出すことで、「マメである」などの好印象につながります。
(4)メルマガ・ブログ・SNS
文章を書くことが得意であれば、お客様の役に立つメールマガジンを発行しましょう。今どき通用するのかと思うかもしれませんが、現在でも見込み客へダイレクトにアプローチできるという大きな強みがあります。ただし、メルマガは読者を集める努力や、継続して読んでもらうための工夫などが必要なので、難易度は高めです。
そして、インターネットから少しでも仕事を取りたいとお考えでしたら、ブログやSNSの活用をお勧めします。バズらせることやフォロワーを多く獲得することを目的とせず、自分がなにをやっているのか、どんな人間なのかを丁寧に発信して蓄積しておくことで、選ばれるチャンスを増やすことができるでしょう。
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横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
士業専門の経営コンサルタント。2007年に日本では初めてとなる士業向けに経営スクール「経営天才塾(現LEGALBACKS)」を創設し、のべ全国3,000名以上の士業から相談を受け、相談件数は優に2万件を超える。主な著作に『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業BIBLE』(技術評論社)などがあり、25冊20万部超の著者。2023年から士業のための生成AI・ChatGPT活用研究を開始。最新刊『「ムダ仕事」も「悩む時間」もゼロにする GPTsライフハック』を2024年11月に技術評論社より刊行。週刊ダイヤモンド、毎日新聞などメディア掲載も多数。
X(旧Twitter) : @yokosuka_ai
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2025年9月8日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。