佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑩:議会制民主主義の構造的課題

(前回:佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑨:市長任期と「未成熟な計画」をつなぐ力学

なぜ、この計画は止まらないのか

前章では、佐倉ふるさと広場拡張整備計画が、市長任期を前提とした政治的スケジュールと結びつくことで、実質的に「不可逆な段階」へ進もうとしている可能性について検証した。

では、なぜこのように未成熟で、政策評価の材料がそろわない計画が、これほどの速度と強度で進行しているのか。本章では、その背景にある制度的・構造的要因を整理する。

事実にもとづく議決構造の整理

佐倉市議会は28名の議員で構成されている。

過去6年間の市長提出議案について、18名の議員が一貫して同一の賛否行動を取ってきた。

この18名は、

「さくら会」「公明党」「自由民主さくら」

の3会派に所属している。

この構成のもとでは、佐倉市の一般会計約590億円の予算の帰趨は、事実上この3会派の判断によって決定されている

これは評価ではなく、議会の議決記録が示す事実である。

確かに、基礎自治体の議会の多くは、市長部局との馴れ合いに近い状態にある。その意味で、「議会が行政の監視機能」を果たしている事例はそう多くないというのが、我が国の地方議会の問題の一つでもある。しかし、佐倉市議会のように「過去6年間にわたり議会多数派が完全に同じ賛否行動をとる」という極端な事例は、寡聞して知らない。

その意味で、私は佐倉市議会が「我が国の地方議会の問題が先鋭化した事例」であると考えている。また、そのような議会でなければ、ふるさと広場の問題のような「極端に未成熟な事業」もまた、可決することもないだろう。

この構造が生む制度的帰結

このような議決構造の下では、市長提出案件は制度的に可決されやすい環境に置かれる。

結果として、政策の成熟度や検証の充足度よりも、政治的スケジュールや事業工程の完遂が優先されるリスクが生まれる。

この現象は、制度が生む力学である。

私自身の判断と反省

ふるさと広場拡張整備に関するこれまでの議案について、私自身も賛成に回ってきたことは事実である。

その理由は主に二点あった。

  • 観光政策として、適切なマーケティング設計と採算構造が組み込まれた計画であれば、佐倉市の財政を健全に支え、市内事業者の活動を潤し、市民の誇りとなり得る事業であると考えていたこと
  • 佐倉市観光政策の最上位計画である「佐倉市観光グランドデザイン」に、マーケティングを前提とした設計が明記されており、それを前提に事業判断していたこと

しかし、2025年6月議会において、指定管理者選定に向けた重要な議決が行われた際にも、その前提となる説明が十分に示されないまま賛成したことについて、私は現在、大きな反省を抱いている

そして、昨年6月・9月の一般質問答弁、さらに12月の私自身の一般質問に対する答弁を精査した結果、この連載を書くことを決断した

この判断の遅れについて、市民の皆さまに対し、率直にお詫びを申し上げたい。

構造の一般性

ここで指摘している問題は、佐倉市に特有のものではない。

地方自治体の多くで、執行部と議会の多数派の関係が安定するほど、政策の検証と修正の機能が弱まるという構造的課題が生じる。

この課題を放置すれば、行政改革は進まず、市民が十分に知らされないまま、大規模な財政決定が積み重なっていく。

市民への帰結

この構造の下で進む公共事業は、市民が計画の是非を判断する材料を与えられないまま、長期にわたる財政的・社会的負担を背負わされる危険をはらんでいる。

だからこそ、本連載は個別の事業の賛否を超えて、自治体の意思決定構造そのものを問い直す試みでもある。

 

次回予告:このまま進んでよいのか

このように見てくると、問題の核心はもはや計画の技術的未熟さだけではない。

市長任期という政治的時間軸と、それを事実上支えてきた議会の構造が重なり合うことで、「止められない」意思決定の回路が形成されつつある。

であるならば、次に問われるべきは一点に絞られる。

——このまま進んでよいのか。

次章では、この問いに正面から向き合い、なぜ「いま立ち止まる必要があるのか」を整理する。