為替の予想ほど難しいものはないと思います。株式投資をこれだけ長くやっていると最近は外すことは比較的少ないのですが、為替だけは予想がつかない「暴れ馬」のような感すらします。何故予想できないのでしょうか?
為替は2国間のファンダメンタルズだけが決定要因とおっしゃる先生方もいらっしゃいますが、必ずしも正しくありません。(現状の為替の変動を指摘すれば「多少の振れ幅があるのは当然」と言い逃れるのでしょうけどね。では「振れ幅とは何?」と私は聞いてみたいです。)為替には人の心理がそれ以上に加担し、コンピューター取引がそれを煽ります。しかし、今の為替の背景はトランプ氏の言動で一夜にして常識が非常識になることが発生し、誰もが想像もしなかったことが頻繁に起きていることがより深刻な背景です。トレーダー泣かせであり、我々一般人も朝のニュースを見るのが怖くなる時すらあるのです。そして期待を裏切らないほど何かが起きているのです。
これほどブレる為替からはもう距離を置きたいという人達が向かうのがゴールド。見境もなく上昇していますが、もともと直接的に商品やサービスとの交換ができないので象徴的価値とドルから逃げた資金の吸収先と言えるでしょう。現状の相場は完全に狂っていて私は金銀銅投資のうち、「悪魔の金属」と称される銀関連は今週全部売却、金関連も7割売却しました。銅だけは需要ひっ迫がこれからなのでまだ持続です。何故売却したのか、といえば雲を掴むような相場は一夜の夢と化すことが自分の体験でもあったし、それを戒めているからです。もちろん、この先、金が1万㌦になるかもしれません。それはその過程において世の中の行方がもっと見えた中で金が有利だと思えば私はまた買うでしょう。
さてドル安。私の考えるその複合要因です。①将来的な更なる金利引き下げ期待、②FRB新議長の4人の候補者は皆ハト派、③トランプ氏はドル安は気にしない、④アメリカ財政を考えれば今までのドル一強はいびつすぎる、⑤移民制限が長期的にアメリカ経済成長のチョークポイントとなりえること
でしょうか?
ちなみに本日のFOMCでは予想通り政策金利の変更はありませんでした。ただ3月のミーティングは予見しにくいと思います。
ではシーソーの相対である円。私の見方は片山氏とベッセント氏がダボスで会った時に何らかの約束ができたのだとみています。それまではタイミングを見るも実行は踏み留まっていましたので、全てはダボスから始まったのでしょう。その前段に日本の長期債券の利回りが上がり、ベッセント氏から「日本の債券相場は6σ」と苦言を呈されました。それを受けての日米協調でレートチェックをしたのでしょう。

片山財務相とベッセント財務長官 同財務相Xより
円ドル為替の大局は今の選挙戦が終わらないと判断できないと思います。仮に日経が分析しているように自民単独過半数が起きれば高市氏の財政政策が支持されたとみなされ、日本の財政悪化が懸念され、円安要因になりやすくなるでしょう。一方、現状議席数と大差なければ高市政権への支持は伸びていないということになり、財政政策に一定の制約がかかるから円高のバイアスと見えるかもしれません。
トランプ氏はドル安を気にしていないとしますが、本当でしょうか?そうとは思いません。ベッセント氏はむしろ逆に近いのです。今日、同氏が円ドルを「介入はしていない」と明白に否定し、強いドルを支持しているとコメントしたため、ドル円は1円50銭ほど円安になっていますがこのような激しい動きは今後もあるでしょう。今はドル安のバイアスがあるのですが、アメリカの威信はドル高をベースとしており、信頼できるドル⇒アメリカ国債の買い支え⇒資金のアメリカへの流入⇒研究開発への弾みとなるのです。アメリカはこの基本となる歯車は絶対に外すことができないと思います。
ではドルは目先、どこまで安くなるのでしょうか。ドル指数でみると以前も指摘したことがあるのですが、今は96程度ですが、2021年につけた91が近年の底になります。それを超えるとアメリカの住宅バブルが破裂した2008年の71が統計上の過去最低の記録になります。ご記憶の通りその時に円ドルが70円台をつけています。またドル指数が前回91をつけた時の円ドルが105円程度でしたからそこまでドルが安くなるようなら猛烈な円高バイアスがかかることになります。
くれぐれも気をつけなくてはいけないのはドルと円ではその資金量的サイズがあまりにも違いすぎるため、一旦動き出すと円のボラティリティがドルよりはるかに大きくなり、手毬のような動きになってしまうため、日本経済には「過度な為替のブレによる経営への影響度が大きすぎる」という極めて深刻な事態が起きやすいと思います。将来の予想というわけではなく、シナリオ的には頭に入れておいた方が良いと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月29日の記事より転載させていただきました。





