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結論から言う。計画なんて、ほとんどの人がまともに立てられていない。
いや、立てているつもりではいる。「来週までにこれやります」「月末に納品します」。それは計画じゃない。ただの予定だ。願望と言ってもいい。

「元IBMのプロマネが教える超ダンドリ術 仕事は計画が10割」(西村信行 著)WAVE出版
先日、ある会社の会議に同席する機会があった。新規プロジェクトのキックオフだという。パワポが映し出され、スケジュール表が出てくる。「第1フェーズ、第2フェーズ」と書かれた矢印が並んでいる。で、誰が何をやるの? なぜこのプロジェクトをやるの? そこが空欄なのだ。
「それは追って決めます」
いや、それを決めるのが計画だろう。
計画というのは、要するに「目的地への道筋」だ。旅行に行くとき、「箱根に行きたい」だけじゃ計画にならない。誰と行くのか。何時に出るのか。ロマンスカーか、車か。そういうことを全部決めて、初めて「計画」と呼べる。
ビジネスでも同じはずなのに、なぜかみんな「箱根に行きたい」レベルで止まっている。
便利なフレームワークがある。6W3H。WHY、WHAT、WHEN、WHO、WHOM、WHERE、HOW、HOW MANY、HOW MUCH。9つの観点だ。
全部埋めろとは言わない。メール一本に9項目は要らない。でも、WHYだけは絶対に考えろ。
「なぜやるのか」。
これを省略する人が、本当に多い。忙しいから、慣れているから、上司に言われたから。理由はいろいろだろう。でも、目的が曖昧なまま走り出すと、どんなに頑張っても的外れになる。目的地を決めずに電車に乗るようなものだ。着いた先で「ここじゃなかった」と言っても遅い。
話を戻すと、さっきの会議。結局、プロジェクトの目的は「社長がやれと言ったから」だった。いや、それ目的じゃないから。社長の思いつきを言語化して、ちゃんと「何のために」を定義するのが、あなたたちの仕事だろう。
まあ、言わなかったけど。言っても無駄だし。
6W3Hの中でも、個人的に軽視されがちだと思うのがWHOM(誰に対してやるのか)とWHERE(どこでやるのか)だ。
「顧客のため」「オフィスで」。そんなざっくりした答えで終わらせる。でも、「顧客」って誰? 30代の共働き主婦? それとも60代の年金生活者? ターゲットが違えば、やることも変わるはずだ。
結局、計画が雑な人は、仕事も雑になる。計画が具体的な人は、仕事も具体的になる。当たり前の話だ。
ただ、完璧な計画を立てろと言いたいわけでもない。計画は変わる。むしろ変わらない計画は危ない。大事なのは、「何を考えるべきか」の引き出しを持っておくこと。6W3Hは、そのための道具にすぎない。
道具は使ってなんぼだ。知っているだけでは意味がない。
次に仕事に取り掛かるとき、3秒でいいから考えてみてほしい。「これ、何のためにやるんだっけ?」。その3秒が、あなたの仕事を変える。たぶん。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)







