黒坂岳央です。
人生がうまくいかないことが続く時期は、誰にでもある。
仕事でミスが重なる、なぜか人間関係がギクシャクする、頑張っているのに結果が出ない。こういう「連敗期」に入ると、人はたちまち不安になり、「自分の何が悪いのか」を必死に探し始める。
結論から言う。うまくいかないのは人生というより認知の方だ。つまり、端的に言えば「うまくいかない」という幻想を見ているといっていい。
筆者が日頃、仕事でやっている対処法を取り上げたい。

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脳の処理がバグっている
たまたま連敗が続くと、多くの人は「人生が何もかもがうまくいかない」と悲観的に感じる。だが終わっているのは人生ではなく、脳の処理である。
人間の脳は、悪い出来事を過大評価するようにできている。これは生存本能に近い。危険を見逃すより、危険を拾いすぎた方が生き残りやすいからだ。そのため、うまくいかないことが続くと、脳は悪い情報だけを集中的に拾い始める。
一方で、うまくいっていることはスルーする。たとえば「先週、仕事で上司に認められた」とか「友達と旅行へいく」など、当たり前に回っている部分は一切カウントしない。そして「自分はダメだ」「人生が詰んだ」という結論だけを採用する。
つまり、現実が壊れたのではない。現実の見え方が歪んだのだ。連敗期に必要なのは、まず事実ベースで冷静に自覚することである。
さらに言えば、人はいいことにはすぐ慣れる。昇給して嬉しいのはその日だけで、翌日以降は「当たり前」と感謝を忘れてしまう。筆者も会社員の頃、ボーナスが多めに出ても嬉しさは3日も持たず、すぐ忘れてしまっていた。今考えると会社にもっと感謝すべきだったが、同じ人もいるのではないだろうか。
逆に不調期は悪いことだけが目に入る。この逆をやればいい。意識していいことは脳内で繰り返し再生して「ありがたい」と思い、悪いことは「たまたまだ」とスルーする。
コツはミクロで見ないことだ。1日単位、1週間単位で自分を評価すると、人生はノイズだらけになる。見るべきはマクロである。1ヶ月、3ヶ月、半年、1年という単位で振り返り、「伸びているか」「積み上がっているか」を確認する。それで伸びているなら、短期の不調はただの誤差である。
自分もこれをやっている。半年、1年頃に過去を振り返るのである。「この頃はまだまだだったな」と思う点が1つ、2つ見つかれば不思議と落ち着く。人生は右肩上がり「感」があるなら頑張れるのだ。
原因を考えすぎない
次にやるべきことは、「原因探しをやめる」ことだ。
もちろん、改善すべき点がゼロだと言いたいわけではない。しかし連敗期の原因の多くは、実力ではなく単なる運に過ぎない。仕事でも投資でも、偶然の連鎖で負けが続くことは普通にある。
どれだけ一流の営業マンでも、勝率100%とはいかない。たまたまクセの強い客が続けば数字が取れないこともある。職場でもたまたま上司の機嫌が悪い時期と重なることがある。思っている以上に人生丸ごと「ガチャ」である。
この記事執筆活動も、アクセスが調子がいい時もあれば、三振が続くこともある。だが、めげずにコツコツと書いているとドカンと当たる瞬間がやってくる。自分は今の時点で記事を書いて9年になるが、この9年間ずっとこの繰り返しであり、それは今もそうだ。だから必要以上に考えないことが薬となる。
ところが人間は、運から因果を無理やり作る。「日頃の行いが悪いからだ」「自分は生まれつきダメなのか」「才能がない」。こういう、ありもしない因果を組み立て始める。そして事実と乖離した創作ストーリーに勝手に傷つく。こんなにバカげたことはない。完全に時間のムダである。
原因探しが改善につながるなら価値があるが、連敗期の原因探しはたいてい「自責材料集め」になっている。やればやるほどメンタルが削れ、行動力が落ち、さらに結果が悪くなる。最悪のループである。
だから軽く割り切るべきだ。「今はたまたま運が悪いそういう時期だ」と。さっさと受け入れ、気にしないことだ。
不調期は攻めずに守れ
連敗期に多くの人がやらかすのは、「なんとか巻き返さないと」と焦って攻めることだ。
新しい挑戦を始める。無理な目標を立てる。今までやってこなかった施策に手を出す。だがメンタルが落ちている時にこれらは危険だ。不調期の自分は、平常時の自分ではない。普段なら突破できる壁が、異様に高く見える。判断も雑になる。感情も揺れる。つまり攻めるほど、傷口が広がる。
こういう時期に必要なのは、攻めではなく守りである。新規の挑戦は少し控える。慣れた日常業務を丁寧にやる。生活リズムを整える。睡眠、食事、運動を戻す。人間関係を増やさない。大きな決断をしない。
子供だましのような話だが、短時間睡眠が続いていた人が、思い切って8時間くらいぐっすり眠ると頭がスッキリして「よく考えたら大したことはない」となることもある。
「そんなことで状況が変わるのか」と思うかもしれない。だが本当に変わる。
守りを続けると、少しずつ歪んでいた認知が戻ってくる。筆者自身、今年に入って負けが続いていたが気にせず、少し守り気味に仕事をしていたが実際に魅力的な仕事をもらったり、既存の仕事が認められたりと良い運が戻ってきた。そうなると不思議なもので、「一つ、新しいチャレンジでもしてみるか」と前向きになる。
◇
うまくいかない時ほど、焦って動きたくなる。しかし、そんな時こそ逆にじっと座って、嵐が通り過ぎるのを待つこともまた仕事の内なのだ。
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