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この記事では政府の固定資産残高について国際比較した結果を共有します。
1. 日本の固定資産残高
日本の政府はかつて非常に高い水準の投資を行っていて、現在は他国並みながら、固定資産の維持費用である固定資本減耗が相対的に多い状況です。
政府の投資には道路や橋梁など耐用年数の多いものも含まれ、固定資産価値が蓄積しやすいことが窺えます。
今回は日本政府の固定資産残高が国際的に見てどの程度の水準なのかを可視化してみたいと思います。
まずは、日本の制度部門別の固定資産残高から見ていきましょう。

図1 固定資産 日本
OECD Data Explorerより
図1が日本の制度部門別の固定資産残高です。
企業(非金融法人企業)、政府(一般政府)、家計が大きいですが、傾向はそれぞれ異なりますね。
企業(赤)は、固定資産残高が最も多く、バブル崩壊後は増加傾向が緩やかとなりますが、増え続けています。
家計(青)は、バブル崩壊後の1990年代から横ばい傾向です。
一方で政府(緑)は、増加傾向が続いています。
前回ご紹介した通り、政府の投資は当時よりも減少していますが、残高の増加具合は一定となっています。
道路・橋梁など耐用年数の長い固定資産の残高は蓄積しやすいという特徴があるのかもしれませんね。
また、固定資産価値は時価評価されるため、物価上昇も加味されて増加傾向を強めていることも考えられそうです。
2. 1人あたりの推移
ここからは政府の固定資産残高について、国際比較していきましょう。
人口1人あたりのドル換算値と、対GDP比で比較していきます。
まずは人口1人あたりの推移からです。

図2 固定資産 1人あたり 一般政府
OECD Data Explorerより
図2が主要先進国について、人口1人あたりの政府の固定資産残高を表したグラフです。
日本(青)はバブル期から急激に水準が大きくなり、バブル崩壊後も拡大傾向が続いています。
2022年以降は円安の影響を受けて減少していますが、それまではアメリカを上回っていました。
近年でも他の主要先進国を大きく上回る水準となっています。
政府による公共投資によって蓄積された固定資産が、相対的に多いことを意味しますね。
3. 1人あたりの国際比較
1人あたりの水準について、最新値の国際比較をしてみましょう。

図3 固定資産 1人あたり 一般政府 2022年
OECD Data Explorerより
図3が2022年における、人口1人あたりの政府の固定資産残高です。
日本は43,443ドルで、OECD29か国中5位、G7で2位とかなり高い水準となっています。
多くの指標で日本は先進国下位水準で、これだけ上位に来る指標はほとんどありませんね。
固定資産残高がこれだけ多いということは、その維持費用である固定資本減耗も多い事とつじつまが合います。
政府の公共投資は、日本の便利な生活に大きく貢献していますが、それだけ金額的な維持負担も大きい事になります。
4. 対GDP比の推移
つづいて、経済規模を表すGDPとの比率でも固定資産残高の水準を比較していきましょう。
まずは主要先進国の推移からです。

図4 固定資産 対GDP比 一般政府
OECD Data Explorerより
図4が主要先進国における、政府の固定資産 対GDP比を表したグラフです。
日本は1980年代までアメリカを下回っていましたが、その後拡大傾向が続き、近年では2倍近くの水準となっています。
稼ぎ出す付加価値の割には、政府の固定資産が多いということになります。
他国は横ばい傾向の中で、日本だけ上昇傾向なのも特徴的ですね。
他国ではGDPの拡大も並行していたため、その内訳でもある政府の投資も一定水準で推移していた事になります。
5. 対GDP比の国際比較
最後に対GDP比の国際比較を見てみましょう。

図5 固定資産 対GDP比 一般政府 2022年 (OECD Data Explorerより)
図5が2022年における対GDP比の国際比較です。
日本は127.3%で先進国で最も高い水準となっています。
OECD平均値の2倍ほどです。
投資そのものは近年中程度となっていますが、蓄積した残高が多い事になります。
6. 政府の固定資産の特徴
この記事では、政府の固定資産残高について国際比較した結果をご紹介しました。
日本の政府は、相対的に多い公共投資が過去に行われ蓄積されたことで、非常に多くの固定資産を保有している事になります。
道路・橋梁や公共施設など、国民生活の中で政府によって投資された固定資産がおおく、国民はそれを他国より多く享受している事になります。
一方で、近年では償却期間を過ぎた橋梁の多くが放置されていたりと、固定資産の維持が困難となりつつあります。
投資が多ければ、その維持費用も嵩みます。
どの程度の公共投資が適正なのか、意見のわかれるところかもしれませんね。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年2月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。






