約40%のがんを防ぐことができる?

2月号のNature Medicine誌に「Global and regional cancer burden attributable to modifiable risk factors to inform prevention」というタイトルの論文が報告されている。

がんは世界中で多くの人がかかる病気ですが、その一部は「私たちの生活習慣や環境を変える」ことで防げる可能性があることを紹介したものだ。がんは遺伝子の異常が積み重なって起こることが知られているが、遺伝子の異常を起こしやすくする生活習慣やがん化につながるウイルスや細菌の存在が明らかになっている。

それらの要因としては

  1. 生活習慣: タバコ、お酒、運動不足、太りすぎなど
  2. 環境: 排気ガスなどの大気汚染、紫外線の浴びすぎ、ウイルスなどの感染、仕事場での有害物質など13の職業性因子
  3. 感染症:9種類の感染因子。

論文では2022年に新しくがんと診断された約1,870万人のデータを分析し、これまでに知られている変えることのできる30種類の要因を回避すれば、全体の約38%=約710万人のがんが防げたはずのがんだと述べられている。

男性のがんの約45%(430万人)、女性のがんの約30%(270万人)が生活習慣などががんの発症に大きくかかわっているとのことだ。特に影響が大きかった「3大原因」は、タバコ、感染症(ウイルスなど)、酒である。

防げたはずのがんの約半分が、肺がん、胃がん、子宮頸がんの3種類のがんだ。タバコ・酒・ピロリ菌・ヒトパピローマウイルスが大きな要因である。だが、日本は、パピローマウイルスワクチンの後進国だ。他の分野でもそうだが、科学的な議論が、感情的な騒ぎに抑え込まれる。これに加担しているのが、メディアの報道である。若い女性の子宮頸がんによる死亡が減らなくても、心が痛まないのだろうか?

がんを防ぐためには、個人の努力だけでなく、国や地域が協力して「タバコを控える」「ワクチンで感染を防ぐ」「環境をきれいにする」といった活動を強めていくことが、世界中で最も重要な課題だ。そして、医薬・健康・栄養研究所の理事長として付け加えると、適度な運動も重要だ。

recep-bg/iStock


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2025年2月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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