トランプ氏のやりたい放題に対してアメリカ国内だけではなく、世界の首脳もその対応に苦慮しています。面と向かって歯向かえば激しくののしられ、挙句の上げ手に全てを失うことすら目の当たりにしているわけで、真向対決をするのは避けたいのが心理というものです。

トランプ大統領 同大統領インスタグラムより
しかし、たった一人の暴君に対して誰も何もできない訳がなく、そこには深い考えと戦略があると思います。(いや、そう期待したいです。)いくつかのケースについてみていきましょう。
① 中国と習近平氏 中国にとっては同盟的関係であるイランの元首があのように惨殺されたにもかかわらず、中国はトランプ氏個人への批判をほとんど封印しています。私が思うのはトランプ氏の行動予見が出来ないことはあると思います。トランプ氏の訪中日程がトランプ氏の都合で3月31日から4月2日までに前倒し短縮されましたが、心地よくその日程変更を受け入れ、国賓待遇で迎え入れるのは「中国にその矛先が向かわないよう、トランプ氏任期いっぱいまで粘るしかない」という忍耐期間にあるのかもしれません。
中国国内事情も経済から中国軍軍部の規律まで広範囲に問題を抱えている中でこれ以上余計な問題を抱えられない事情はあるでしょう。それこそ今、トランプ氏を敵に回せば共産党の屋台骨にかかわる問題であります。習氏は基本的に内弁慶で、「やられたらやり返す」タイプで自分に直接的に砂がかからなければうまくかわすに越したことはないということかと思います。
② カナダとカーニー氏 カナダはアメリカと蜜月の関係だったのにトランプ氏が長い歴史の構図をすっかり変えてしまいました。トルドー元首相は米加関係を何も改善できず終わり、カーニー氏に期待がかかりました。カーニー氏はトランプ氏と時に電話で、時にワシントンまで飛び、相当数のやりとりをして関係改善を図りました。その結論は「難しい相手だ」でした。
ダボスでのあの演説はトランプ氏を煙たがっている人からは「隣国のカナダの元首がこんなことを言うのか?」という驚きと称賛でありました。カーニー氏は極めて優秀で沈着冷静です。その氏が「すぐの関係改善は難しい」と述べているので当面なす術がない、というよりカナダの権益が失われていくことを放置できないと悟り、カナダ流Diversification(多様化)政策を打ち出します。その根本はアメリカへの依存度を落とす、であります。
③ 欧州 欧州も大陸と英国は意識構造が違うので一括りにできません。ここでは大陸側の立場を考えてみたいと思います。ズバリ、迷惑しているの一言であります。そもそもの亀裂はウクライナ問題からスタートしています。NATOのあり方を根底から揺るがし、ウクライナ支援も「気まぐれトランプ氏」の意のままであります。次いで出たのがグリーンランド問題。それをうまく紐解き、解決に導いたのがNATOのルッテ事務総長。彼がいなければどうなっていたかわからないぐらいでしょう。
フランス、ドイツは正直、それぞれが抱える別々の国内問題で思い切った行動がとれない上にEUは小国が主体ですから諸国が様々な声を上げるも一枚岩になれない構造的事情を抱えます。EU参加国は多ければ多いほど揉めるのは当たり前。物事がうまく進んでいる時はうまく展開しますがダメな時は負のサイクルに入りやすいもの。たとえばギリシャ危機の際はメルケル氏の驚くほどの尽力で乗り切ったようなものですが、今のマクロン氏やメルツ氏にそれが出来るとは思えず、結局、何も行動できないのが現状であります。
では我が国はどうでしょうか?ここは慎重に考える必要があります。実は私は高市氏の真意が見えないのです。彼女は自分でほぼすべての物事を考え、判断するタイプで、閣僚やブレーンを使いこなすタイプではありません。よって氏が総理になってから国際情勢が様々動き、自らの発言が引き起こした中国問題やトランプ氏との蜜月感はまだ記憶に新しいところですが、高市氏が今でもその延長戦にあるとは私には思えないのです。つまり多少の揺り戻しなり、進化があると想像するのですが、その中身が読めないのです。
アメリカとの同盟は堅固であり、そこに触れる必要はないが、トランプ氏個人との付き合い方は気をつけないと今は良くても先々トラブルの要素になると考えているかもしれません。19日の訪米ではたぶん、トランプ氏は「中国の好きにはさせない」と述べ高市氏にエールを送ると思いますが、それ以上のことはないとみています。一方でトランプ氏の発言は朝令暮改であることも多く、高市氏が期待する日中関係のコミュニケーションライン回復の取り持ちについてはその可能性は低い気がします。
それでも今は高市氏はトランプ氏に表面上、全幅の信頼を置いているというスタンスを見せる演技はすべきでしょう。一方で日本が独自にできることを早急に打ち出すべきです。
日本が外交的にうまく仲間づくりをすること、その為に日本と相性の良い国家元首をなるべく増やすことです。個人的にはカナダ、オーストラリア、インド、英国、韓国の重要関係国プラス東南アジアのキーになる国、特にインドネシア、タイあたりはしっかり押さえたいところです。高市首相はあまり外に出るタイプではなく、安倍、岸田両名のような外交大好き元首ではないので個人的関係の構築には苦労するとみています。それをどう乗り越えるかが高市氏の評価の一つになってくるとみています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月9日の記事より転載させていただきました。







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