中東で続くイランと米国・イスラエルの軍事衝突をめぐり、世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡をめぐる緊張が一段と高まっている。15日、イランのアッバス・アラグチ外相は海峡の通航について声明を発表し、「完全封鎖ではない」と主張した。一方で敵対国の船舶は通航できないとも述べており、事実上の「選択的封鎖」とも受け取れる発言として各国の警戒を招いている。

イランのアッバス・アラグチ外相
- 15日、イランのアッバス・アラグチ外相はインタビューでホルムズ海峡について「海峡は開放されているが、我々の敵国およびその同盟国の船舶には閉ざされている」と発言した。
- アラグチ外相は、イランは海峡を「軍事的に封鎖しているわけではない」と強調し、米国やイスラエルなどイランを攻撃している国の船舶のみを対象に通航を制限していると説明した。
- ホルムズ海峡は世界の石油輸送の約20%が通過する戦略的海上ルートであり、イランのこの措置により国際原油市場は緊張状態に入り、エネルギー価格の上昇要因となっている。
- イラン政府は今回の措置を、米国とイスラエルによる軍事攻撃への報復措置として位置づけている。両国はイランの核関連施設や石油輸出拠点カーグ島などを攻撃しており、紛争は現在も続いている。
- イラン側は戦争終結の条件として「再攻撃を行わない保証」と「被害への賠償」を求めているとされ、外交的圧力の一環として海峡の通航問題を利用しているとの見方も出ている。
- 一方、米国のドナルド・トランプ大統領は14日、中国、フランス、日本、韓国、英国などに対しホルムズ海峡の航行安全を確保するため艦艇派遣を求め、多国籍連合の形成を呼びかけた。
- これに対しアラグチ外相は、米国が他国の支援を求めていると批判し、連合構想を嘲笑するような発言も行った。
- イランは中国、インド、ロシアなど中立的立場の国の船舶は通航可能としており、インドのLPGタンカーが安全に通過した例も報告されているが、船籍を確認して通過を許可することは困難との見方もある。
- 実際には安全保障上の懸念から多くの船舶が海峡通過を回避しており、輸送コストや保険料の上昇などを通じて国際物流やエネルギー市場に影響が広がっている。
- イランの対応は「完全封鎖ではないが敵対国に対する海上封鎖に近い措置」であり、国際法上のグレーゾーンを狙った戦略との分析も出ている。また「海峡を外交カードとして利用している」「世界のエネルギー輸送を政治的に管理する試み」といった分析もなされている。
今回のアラグチ外相の発言は、ホルムズ海峡を完全封鎖していないと主張しつつも、敵対国の船舶を排除する姿勢を明確にした点で国際社会に強い衝撃を与えた。海峡をめぐる緊張は軍事衝突だけでなく、エネルギー市場や世界経済にも大きな影響を与える可能性があり、多国籍連合の動きも含め今後の情勢はさらに不透明さを増している。







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