2026年、日本株が「本命」になる理由(藤村 哲也)

「S&P500さえ買っておけば安心」。新NISAをきっかけに投資をはじめた人も、長年の経験を持つベテランも、ここ数年はこの言葉を疑う理由がほとんどありませんでした。実際、S&P500は2023年から3年連続で2桁上昇を記録し、累計リターンは80%を超えています。

しかし相場の世界では「誰もが安心しきったときこそ潮目が変わる」という鉄則があります。一方で、長年投資先としては期待できないと見なされてきた日本株の一部に、今、構造的な変化が起きているのです。

本記事では、創業22年目の投資助言代理業の立場から、2026年に個人投資家が取るべき「米国株と日本株のバランス戦略」をデータに基づいてお伝えします。

GOTO_TOKYO/iStock

なぜ今、絶好調の米国株に「黄色信号」を灯すのか

「投資するなら米国株、S&P500さえ買っておけば間違いない」。ここ数年、個人投資家の間でこの言葉はほとんど常識になりました。

確かに数字だけ見れば、その常識は正しかったように見えます。S&P 500は2023年に26.3%、2024年に25%、そして2025年は17.9%の上昇。3年間の累計リターンは86%超え、2022年末に100万円を投じた場合、3年で186万円以上になった計算です。これだけの実績を前にすれば「次もS&P500で」と考えるのは自然なことでしょう。

しかし長年にわたり日本の株式市場で個人投資家に伴走してきた経験から、一つだけ申し上げたいことがあります。みんながそう信じているときこそ、最も注意が必要だということです。

2025年のS&P500は、年間リターンこそ立派でしたが、中身は穏やかではありませんでした。4月には、トランプ大統領の相互関税発表を受けて、年初来で15%下落するまで急落し、1日で時価総額約290兆円が吹き飛ぶ場面もありました。

さらに、マグニフィセント・セブンと呼ばれるわずか7社が、S&P 500の時価総額の約3分の1を占めるという極端な集中構造が続いています。指数全体が上がっているように見えて、実はごく一部の巨大企業が数字を押し上げている。これは、分散投資の看板を掲げたインデックスの姿として、果たして健全と言えるのでしょうか。

最近はマイクロソフトやアマゾンなどS&P500を牽引してきた株価が一時期の勢いをなくしていることも気になります。

私が今感じている違和感は、この3年連続上昇という数字そのものにあります。そして2026年、資金の一部を日本株などに振り向けることを本気で検討すべきタイミングが来ていると感じます。

市場の「アノマリー」と、日本株に起きている構造変化

投資の世界には「アノマリー」という言葉があります。理論では説明しきれないけれど、なぜか繰り返される相場の経験則のことです。

S&P500が3年連続で上昇した後、4年目はどうなったのでしょうか。直近の事例を見ると、2012年から2014年まで3年連続で上昇した後の2015年はトータルリターンでは1.38%と若干プラスでしたが、価格リターンではマイナスでした。また、2019年から2021年の後の2022年は大幅な下落に見舞われています。

1990年代のように5年連続で上がり続けた時代もあるため、「3年上がったら必ず下がる」とは言いきれません。しかし、アノマリーは「備えるべきリスク」を教えてくれるシグナルです。

加えて、2026年は米国の中間選挙の年にあたり、歴史的に大統領就任2年目は株価パフォーマンスが最も低くなりやすいとされています。また、パウエルFRB議長の任期満了(2026年5月)や後任人事、イラン情勢、原油高、ソフトウェアからAIシフトという大きな不確実性も気になります。

では、日本株はどうか。注目すべきは、日本株市場がかつての日本株とは別物に変わりつつあるという事実です。特に、データセンターなどハードウェアの重要性が増している今、ハードウェアの技術力が高い日本株が元気を取り戻しています。

2025年の日経平均株価は年間で26%上昇し、初めて5万円台に到達しました。この上昇率は同年のS&P 500(約18%)やダウ平均(約14%)を大きく上回っています。日経平均が米主要指数を上回るのは3年連続であり、これはバブル相場がピークだった1989年以来のことです。

米国株には3年連続上昇後の疲労感があり、日本株には眠りから目覚めた構造変化がある。米国株はマイクロソフトをはじめとしたソフトウェア技術力、日本株は半導体製造装置をはじめとしたハードウェア技術力、この対比こそが、2026年の投資戦略を考える出発点です。ソフトウェアはAI革命により力を失う可能性が出て来ています。

データが示す「2026年・一部の日本株本命説」の根拠

「でも本当に日本株で大丈夫なの?」そう思われる方のために、感覚ではなくデータで確認してみましょう。まず日本の経済の体温とも言うべき名目GDPに注目してください。

名目GDPとは物価変動を含めた国全体の経済規模を示す数字で、2025年の暦年ベースで日本は4.5%の成長を記録しました。なぜこの数字が重要なのか。それは、企業の売上高や利益は物価変動を含めた名目の数字で計算されているからです。

インフレ環境のもとでは、名目GDPが伸びれば企業の利益も膨らみやすく、それが株価の追い風になります。過去のデータを見ても日本の株価と名目GDPの連動性は高く、「デフレ脱却=名目成長の回復」は株価上昇の強力なエンジンとなります。

次は日米の金融政策方向性の違いです。FRBは2025年末に政策金利を3.50%〜3.75%まで引き下げ、2026年の追加利下げは1〜2回にとどまる見通しです。一方、日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げ、30年ぶりの高水準となりました。2026年中にさらなる1.0%以上への引き上げも見込まれています。

簡単に言えば、米国は金利を下げる方向、日本は上げる方向です。金利差が縮まれば円高に振れやすくなり、米国株をドル建てで保有している日本の投資家にとっては、為替差損によってリターンが目減りするリスクも注意が必要です。一方で、日本株を円建てで保有していれば、その心配はありません。

株価の割安・割高を測る物差しで見ても、日本株は魅力的です。PBR(株価純資産倍率)とは、企業の純資産に対して株価がどれだけの評価を受けているかを示す指標で、1倍を下回れば解散価値以下、つまり株価が資産価値よりも安いことを意味します。

日本株(TOPIX)の予想PBRは現在1.8倍台で、企業の稼ぐ力(ROE)が改善すれば、さらなる上昇余地があります。また、野村証券は2026年末の日経平均株価を60000円、三井住友DSアセットマネジメントは61500円と予想しております。技術力の高い日本企業は、特に注目していきましょう。

「日本株はもう上がらない」という不安にどう答えるか

それでも日本株への投資を躊躇させる声があることは承知しています。「人口が減っているのに株が上がるわけがない」「失われた30年の記憶がある」——こうした不安は、投資判断を曇らせる最大の障壁です。

しかし冷静に考えてみてください。人口減少は事実ですが、企業の利益は国内だけで生まれるわけではありません。日本の上場企業の海外売上高比率は年々上昇しており、半導体、自動車、産業用ロボットといったハードウェアの分野では、世界的な競争力を持っています。日本企業の株を買うことは、日本経済だけに投資することとイコールではないのです。

また、「失われた30年」は、逆に言えば30年にわたって株価が割安に放置されてきたということでもあります。その抑圧されたバネが、コーポレートガバナンス改革やインフレへの転換をきっかけに解き放たれつつあります。2025年に日経平均が過去最高値を更新し続けたのは、まさにその象徴です。

では、2026年に個人投資家はどうすべきか。私がおすすめするのは「米国株一辺倒からの脱却」です。

これは米国株をすべて売れということではありません。S&P 500やオルカン(全世界株式)への積み立ては、資産形成のベースとして引き続き有効です。そのうえでポートフォリオの一部、たとえば追加投資分やリバランスで生まれた余裕資金を、日本の優良銘柄に振り分けてみてはどうでしょうか。

特に銀行に預けたままの資金がある方は、今が動き出すべきときかもしれません。メガバンクの預金金利は0.3%に上昇しましたが、物価上昇率が2%以上伸びる環境では、預金のままでは実質的に資産が目減りし続けます。

最も大切なのは流行に乗ることではなく、自分なりの哲学を持つことです。なぜ投資をするのか、どのような配分が自分にとって理想的か。この問いに向き合い、感情ではなく規律に基づいて資金を分配する。その判断の1つとして、2026年は日本株にあらためて目を向けるべき年だと、長年この市場を見てきた立場から思います。

米国株の快進撃を横目に、足元では静かに、しかし確実に日本株の地殻変動が起きています。少し視野を広げてみることで、次の10年の果実を手にすることにつながるのではないでしょうか。

藤村哲也 ライジングブル投資顧問株式会社 代表取締役
千葉県出身。横浜市立大学経営学科卒業後、1990年に太平洋証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。個人・法人の資産運用を担当し、バブル崩壊後の市場を第一線で経験する。のちに本社投資情報部でプラント・機械・IT・半導体など幅広い業種を担当し、年間数百件におよぶ企業取材を通じて成長株分析に強みを培う。1999年の台湾地震では、TSMCをはじめとする現地半導体メーカーを取材し、アジア市場リスクを日本の投資家へ発信した。
2003年にライジングブル投資顧問株式会社を設立し、代表取締役に就任。「投資を一部の富裕層の特権から、誰もが続けられる生活習慣へ」を理念に、投資助言と教育を融合した“伴走型”のビジネスモデルを追求している。創業21年を迎えた現在も、金融庁登録の投資助言・代理業として行政処分ゼロを継続。700件超の売買助言ログを公開し、“信頼を見せる投資顧問”として、投資家に寄り添った長期的な資産形成を支援している。

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2026年3月18日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。

 

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