「最強の相棒」会談の本当の成果:エネルギー安保の大転換を読む

イラン情勢を受けてホルムズ海峡が事実上封鎖されるという、かつてない局面で高市総理が初訪米に臨みました。

トランプ大統領はホルムズ海峡への艦船派遣に慎重な同盟国に不満を示しており Nikkei、日本にとってはまさに試練の場でした。

会談はトランプ大統領の意向でワーキングランチを取りやめた分も合わせ約1時間半行われ、その後夕食会も開催されました。 Jiji

NATO各国が及び腰の中で日本が標的になりかねないリスクがある中、総理は見事に着地点を見つけたと言ってよいでしょう。

日米首脳会談後の夕食会での高市首相 2026年3月20日 同首相Xより

今回の会談で私が最も注目したいのは、エネルギー政策の具体的な成果です。

高市総理は、日本において米国から調達する原油を備蓄する共同事業を実現したい旨をトランプ大統領に伝え、これが調達先の多様化と日本・アジアのエネルギー安定供給につながると説明しました。 Japanese Prime Minister’s Office

さらに日米両政府は対米投融資の「2号案件」として、日立製作所と米GEベルノバによるSMR建設などを含む3事業、総額730億ドル(約11兆5000億円)規模のプロジェクト発表に合意しました。 Bloomberg

日米共同備蓄の枠組みについては不透明な部分も残りますが、日本企業や個人の原油不足懸念を緩和するものになれば、国内経済の安定に寄与するものと期待されます。 Nomura Research Institute

中東依存からの脱却、そして「エネルギーの多様化」は日本維新の会が長年訴えてきた政策方向と完全に一致します。この危機をむしろ推進力に変えたとすれば、高く評価できる成果です。

GEベルノバ日立がテネシー州などでSMRを建設し、ペンシルベニア州などに天然ガス発電施設も建設する計画が第2弾として盛り込まれました。 Jiji

SMR(小型モジュール炉)は、大型原発に比べて建設コストを抑えながら安定した電力供給が可能な次世代技術です。国際的な電力需要の急増とエネルギー安保の強化という二つの課題に同時に応える技術として、国内外で期待が高まっています。

対米投資への批判も当然ありますし、収益配分の透明性などは引き続き監視していく必要があります。

それでも、「アメリカ産エネルギーを活用しながら中東依存を下げる」という構造転換の方向性は正しい。今はその実行の質を高める議論に移るべきフェーズでしょう。

ホルムズ海峡への自衛艦派遣については留意点もあります。

トランプ大統領は「一歩踏み出すことを期待している」と語っており Jiji、ホルムズ海峡への具体的な貢献については明確な回答を避けたかたちです。

「日米同盟が抱えた宿題」として、トランプ大統領の貢献要求に高市総理が具体策を回避したとも報じられています。 Nikkei

これは先送りではなく、法制上の制約を踏まえた現実的な対応ではありますが、いずれ正面から向き合わなければならない課題となるかもしれません。

ただ、現時点では「回避」できただけで十分な外交成果と言えます。

エネルギー安保という「実」を取り、決定的な亀裂を回避して帰国した高市総理。

総理と関係者のご尽力に敬意を表しつつ、「宿題」となった安全保障政策の中身については国会でも建設的な議論を続けていきたいと思います。

※会談結果を受けて、3月19日分の記事として20日の朝に執筆しています


編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2026年3月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

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