なぜ奈良の観光客は宿泊しないで日帰りなのか

内藤 忍

せっかく奈良に来たのに、夕方には京都や大阪へ戻ってしまうという話をよく耳にします。

確かに奈良は日中は東大寺や奈良公園にたくさんの観光客が押し寄せていますが、夕方になると街から人が消えてしまいます。

その最大の理由は言うまでもなく立地です。京都から電車で30分、大阪からも40分強ということで気軽に訪問できる観光地です。

その結果、わざわざ宿泊する必要がなく日帰りでアクセスできてしまうのです。これは地元の宿泊業者にとっては頭の痛い問題と言えるでしょう。

また奈良の朝は早く、そして夜もまた早めに閉まってしまうお店がほとんどです。これは寺社仏閣が17時には閉門してしまうこととも関係ありそうです。

私が知らないだけかもしれませんが、京都のように気軽に立ち寄れる飲食店やバーなどが少なく、新しいお店を開拓しようと思ってもなかなか見つけることができません。

いわゆる歓楽街も奈良駅周辺には見当たらず、調べてみると少し外れた新大宮駅周辺に少しだけあるようです。

歴史的な建物がたくさんあり、国宝級の見所が溢れている奈良は落ち着いて静かに過ごすのには向いているかもしれませんが、健全な街でナイトライフを楽しむためのコンテンツが質量共に不足しています。

私は奈良に来る時はお気に入りのホテルにいつも1泊し、夕食も決まった和食店(写真)を予約して出かけるようにしています。

しかし、次の日には昼過ぎに京都に戻ってしまうことがほとんどです。

もし魅力的な宿泊施設が他にもあり、わざわざ行ってみたいと思える飲食店がいくつかあれば、1泊ではなく連泊して奈良でのんびりしようと思うはずです。

今の季節に関西に行くとすれば、京都に3泊、奈良に1泊、あるいは京都と大阪に2泊ずつと言ったバランスが私には快適です。

日帰り客が多いせいか、奈良のホテルは京都に比べると予約が取りやすくリーズナブルな宿泊価格に設定されています。

素敵なホテルにゆったりと泊まりたいなら京都や大阪より奈良がおすすめです。

だから、奈良の観光関係の方には申し訳ありませんが、奈良は京都化していくのではなく、このまま「日帰りの街」として静かで落ち着いた雰囲気を残し続けて欲しいと思います。

Wako Megumi/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年3月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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