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1. 日本のGDPの分配
この記事では、GDP分配面のうち政府への分配となる生産・輸入品に課される税の国際比較についてご紹介します。

図1 所得の発生勘定 日本
国民経済計算より
付加価値(GDP)は、労働力を提供した雇用者に雇用者報酬(企業から見た人件費)が、生産能力を提供した資本に固定資本減耗(減価償却費に相当)が、政府へは生産・輸入品に課される税から補助金を引いた金額が分配されます。
企業に残った取り分が営業余剰・混合所得となります。

図2 生産・輸入品に課される税-補助金 日本
国民経済計算より
図2は日本の生産・輸入品に課される税と補助金の推移を表したグラフです。
生産・輸入品に課される税は、総額としては1990年代終盤から停滞していましたが、2010年代から大きく拡大しています。
特に付加価値型税(消費税)の拡大が大きいようです。
2. 人口1人あたりの推移
ここからは、日本の生産・輸入品に課される税がどの程度の水準なのか、国際比較していきましょう。
税金や社会保障については、経済統計上色々な項目があり、生産・輸入品に課される税はその1部です。
ただし、生産・輸入品に課される税は取引価格に含まれ、付加価値の一部を構成する事から、GDPの分配面において政府への分配として扱われているようです。
各国で社会システムが異なり、付加価値の分配からの生産・輸入品に課される税に重きを置く国と、再分配の際に支払われる所得・富等に課される経常税に重きを置く国など、各国でそのバランスが異なる事に留意が必要です。

図3 生産・輸入品に課される税 1人あたり
OECD Data Explorerを基に作成
図3が、人口1人あたりの生産・輸入品に課される税(為替レート換算値)です。
日本は1990年代以降アップダウンしながら緩やかに上昇しているような推移ですが、他の主要先進国との差が大きく開いている事がわかります。
近年ではフランスの半分未満となっています。
また、様々な指標でアメリカは断トツの水準に達していますが、生産・輸入品に課される税は相対的に低い事も確認できますね。
特にフランスの水準が高いのも象徴的です。
欧州諸国とアメリカ、日本では社会システムが異なることが可視化されています。
特に欧州では付加価値税(VAT)が高く、その分給付も多い事が指摘されていますが、それが統計にも表れているようです。
給付などの再分配については、今後ご紹介していく予定です。
3. 1人あたりの国際比較
次に、最新の数値について国際比較してみましょう。

図4 生産・輸入品に課される税 1人あたり 2023年
OECD Data Explorerより
図4が2023年の国際比較です。
日本は3,080ドルで、OECD36か国中30位、G7最下位で、他の主要先進国との差も大きい事がわかります。
上位にはルクセンブルクや北欧、オーストリア、オランダ等所得水準の高い国々が並んでいます。
日本の政府への分配は、金額で見た場合、先進国の中ではかなり少ない状況と言えそうです。
4. 対GDP比の推移
続いて、対GDPの水準についても比較していきましょう。
生産・輸入品に課される税は、GDP分配面の構成項目の1つですので、その構成比率を計算する事にもなります。

図5 生産・輸入品に課される税 対GDP比
OECD Data Explorerより
図5が生産・輸入品に課される税の対GDP比です。
対GDP比で見ると、日本の政府への分配はアメリカと共にかなり低い水準が継続していた事がわかります。
概ね7%程度の期間が長いてきたようです。
2010年代から、消費税の税率拡大と共にアメリカとの差が大きくなっていますが、まだOECD平均値に届いていません。
他の主要先進国はかなり高い水準で、特にフランスは1980年代から15%を超えていて、日本の2倍以上の水準だったようです。
5. 対GDP比の国際比較
最後に、対GDP比の最新の国際比較についても確認してみましょう。

図6 生産・輸入品に課される税 対GDP比 2023年
OECD Data Explorerより
図6が、2023年の国際比較です。
日本は9.0%で、OECD36か国中29位、G7中6位とかなり低い水準です。
フランスが16.0%でかなり高く、アメリカが6.8%で西欧諸国では最低水準です。
アイルランドやスイスもかなり低いのも特徴的ですね。
北欧でもノルウェーが日本を下回っているのも印象的です。
資源国ならではの税システムなのかもしれません。
6. 政府への分配の特徴
この記事ではGDPの分配のうち、政府への分配となる生産・輸入品に課される税についてご紹介しました。
日本は金額で見ても対GDP比で見ても、先進国の中でかなり少ないようです。
消費税は直間比率の是正のために導入されたともされますが、欧州のように付加価値税を多く取り、再分配に回すような仕組みへの転換を徐々に進めているようにも見受けられます。
一方で、アメリカは欧州とはかなり異なる社会システムである事が窺えますね。
特にフランスとアメリカは、統計で見ると様々な面で対照的で、日本はその中間に位置する事が多いようです。
今回のデータでもそのような傾向が垣間見られました。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年3月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。







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