
サウジのメディア、ARAB Newsは西側メディアが捉えきれていない中国の外交活動を報じている。4月4日付けと、ほぼ1週間前で、まだ前途が予断を許さなかった頃の記事である点にご留意を。
当初米国は中国の介在に無関心だった?
引用1 ”米政府関係者によれば、トランプ政権は中国の仲介という見通しにはあまり乗り気ではないようだ。
米国は第三者による調停に消極的で、中国の国際的地位を高めたり、中東での成功を主張する隙を与えたりすることにはほとんど関心がない、と3人の米政府高官は語った。
(元米上級外交官で)アジア・ソサエティー政策研究所の特別研究員のダニエル・ラッセル氏は、中国の外交を「パフォーマンス的」と評し・・・「われわれが中国から見ているのはメッセージであり、調停ではない」と語る。”
中国、イラン戦争外交で世界的リーダーシップを発揮するも、米国は無関心の様子
一方、Arab Newsは中東現地のほかワシントンで取材して、中国の外交活動を以下のように伝えている。
中国は慌ただしく外交を展開している
引用2”開戦後、中国の王毅外相はロシア、オマーン、イラン、フランス、イスラエル、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の担当者と会談した。王毅外相はイランに対し、中国が友好を大切にしていることを伝え、イスラエルに軍事行動をやめるよう促し、中国が和平を求める役割を喜んで果たすことを表明した。
先週、王はパキスタン側を北京に招き、敵対行為の停止と海峡の再開を求める5項目の提案をまとめた。
劉氏(在ワシントン中国大使館のリウ・ペンギュ報道官)によれば、王氏はこの地域の外相と20回以上の電話会談を行い、特使がこの地域の数カ国を訪問し、平和の促進と緊張緩和を目指しているという。
中国外務省によれば、王氏は欧州連合(EU)の外交政策責任者であるカヤ・カラス氏に中国の計画への支持を求め、「広範で国際的なコンセンサス」を代表していると伝えたという。
王氏は、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外務大臣にも、戦闘の停止が最も緊急な問題であると伝えた。
王外相は今週、バーレーンのアブドゥラティフ・ビン・ラシド・アル・ザヤニ外相とも会談し、中国がバーレーンの国連提案したホルムズ海峡開放のための軍事力行使に反対する理由を説明した。王氏は、国連安全保障理事会の行動は、「違法な戦争行為を支持したり、火に油を注いだりするのではなく、緊張緩和の一助となるべきだ」と述べた。”
中国、イラン戦争外交で世界的リーダーシップを発揮するも、米国は無関心の様子
中国がイランでの停戦合意(脆いけど)の舞台裏のアクターであったことはトランプ自身が会見で認めた。「中国がやっていることはパフォーマンスにすぎない」と切って捨てた米国外交識者は読みを誤った。
ただ、その割に、中国自身が貢献を大々的に宣伝しようとしていない。中国外交部毛寧報道官も8日の会見でトランプの発言について尋ねられて以下のように認めたが、前日7日の会見では「深い関心を寄せ、懸念している。すべての当事者は、情勢の緩和と和平交渉の推進に向けて建設的な役割を果たすべきである」としか述べなかった。
引用”イランでの戦闘が勃発して以来、中国は一貫して和平の促進と戦闘の停止に積極的に取り組んできた。王毅外相は関係各国の外相と計26回にわたり電話会談を行い、中国政府の中東問題特使は中東・湾岸地域を飛び回って訪問し、中国とパキスタンは湾岸および中東地域の平和と安定の回復に向けた5項目のイニシアチブを共同で提唱した。責任ある大国として、中国は引き続き建設的な役割を果たし、湾岸および中東地域の平和と安定の回復に向けて積極的に貢献していく。”
2026年4月8日外交部发言人毛宁主持例行记者会(DeepLで翻訳)
貢献を大々的に宣伝しようとしないのは、停戦の脆さ、交渉の前途の険しさを見通しているからだろう。イスラエルのレバノン攻撃、イランのホルムズ海峡再封鎖の宣言応酬を見て、「案の定だ」(それにしても1日しか持たなかった…)と感じているだろう。
中東危機は日本だけでなく世界全体の危機に発展する恐れが高いので、全身全霊で情報収集をやる必要がある。この記事を見ても、日本メディアがルーティンで取材する米国の関係先にはバイアスがあることが分かる。ワシントンにだって、違う見方をする情報ソースがあることも、この記事の以下のくだりから分かる。
国際危機グループ(International Crisis Group)の米中関係に関する上級調査・提言顧問であるアリ・ワイン氏は、「中国は長期戦になることを望んでいないだけでなく、特にトランプ政権が影響を抑えるための思慮深い戦略を欠いていることが明らかになるにつれて、アメリカの自作自演の危機を緩和する手助けをしていると示唆する機会を歓迎している」と述べた。
ワシントンのシンクタンク、スティムソン・センターの中国プログラム・ディレクターであるスン・ユン氏(←孫韵だ!)は、「イランとの戦争は、この地域の内外のすべての国の優先事項だ。中国がそのリーダーシップと外交的イニシアチブを発揮する機会を逃すことはないだろう」と述べた。
お定まりの取材先に出向くだけだと「こたつ記事」的だと言われちゃいますぜ、マスコミ各社のみなさん、もっと気合い入れて取材してください。

習近平国家主席 2025年10月23日 中国共産党新聞より
編集部より:この記事は現代中国研究家の津上俊哉氏のnote 2026年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は津上俊哉氏のnoteをご覧ください。






