4月は小売り各社が販売価格を見直すタイミングでもあり、今年も2000品目以上の消費財の価格が見直されたようです。個人的にはこの数年の物価高という絶好の理由で便乗値上げも相当入っていると思います。とはいえ、30年近く激しい価格競争で体力消耗戦をしてきた多くの企業にとって恵みの雨のようなものだと思います。
ところで先般、私がイラン戦争は終結が近そうなので手持ちの原油株を全部売却したと述べた際にコメントに「ちょっとわからなかったんですが、戦争が終わるのとホルムズ海峡は別の話だと思うので、終戦で原油関連が下がるとした理由を知りたいです」とありました。まず初めに断っておかねばならないのは私は原油が下がるとは言っていません。原油関連株の株価がピークをつけたと判断したから売却したと述べたのです。この意味の違いが分かりにくいと思うので再度ご説明します。
先般の金や銀の高騰、あるいは今回の原油の高騰は市況が世の中の動きや潜在需要、心理的要因で大きく跳ね上がった状態でした。これは株価でも同様なのですが、ブームになると理論上の株価とは大きく乖離し、勝手にどんどん上がっていきます。かつてのビットコイン相場もそうですし、昔のチューリップ相場もそうでした。日本でも仕手株という類のものは理由はよくわからないけれど皆が買うから自分も買う、という「提灯」をつけたりするわけです。そこには論理は何もなく、欲望しかありません。
イラン戦争が仮に終わると原油運搬は何時かはスムーズさを取り戻すであろう、という安ど感が出ると同時に原油を買い持ちしていた人は「提灯の上澄み」の部分が剥離するのでひどい下落に巻き込まれます。そのため、激しい値動きをする商品相場や株式投資では引け際が勝敗を左右すると言ってもよいのです。
その場合、「クライマックス」を探ることがキーポイントになります。今回の場合はホルムズ海峡だけでなく、フーシ派の参戦により紅海側のバブ エル マンデブ海峡も閉鎖されるかも、という総悲観が生じた時点でクライマックスと判断しました。実は私は今回の戦争が始まった時からキーはホルムズ海峡ではなく、バブ エル マンデブ海峡のはずだと考えていました。そこに焦点が当たったので戦局は動く、こう考えたのです。
では質問の終戦で「原油関連が下がるとした理由」ですが、「原油関連株」という意味ならば上記の説明の通りですが、「原油関連価格が下がる」という意味合いならば私はまだ当面乱高下が続くとみています。理由は今回の戦争で中東各地の原油精製能力が落ちていることと目先の潜在需要が大きすぎるためです。ナフサなど関連商品の調達もしばし、落ち着かないでしょう。航空会社は燃料サーチャージをとりあえず倍額にしました。日本から北米線なら5万円程度かかります。これらが落ち着くには今までの経験からすれば半年以上かかります。
原油価格の高騰はあらゆる価格に波及しやすいため、そもそも値上げのベクトルがある今日において更に価格を引き上げやすい理由ができたと考えています。
それを踏まえると日本の消費者物価指数は上昇の傾向が続くと思うので日銀は早晩利上げをせざるを得ないと思います。個人的にはそれでよいかと思います。というのは先般話題に振った円相場についても構造的な円安問題を抱えるリスクがあり、アメリカも利下げより利上げという雰囲気が出てきそうな気配ですからここは世論はいろいろ言うと思いますが、「利上げやむなし」とみています。
これで困るのは住宅ローンの種類によっては利率が上がるため、当初の目論見と違った、と焦っている方が増えるかもしれません。特に住宅価格が高くなってから購入された方は住宅不況が起きそうな気配が無きにしも非ずの中、あのバブル崩壊の時ほどではないにせよシナリオとして似たような状況にならないとも限らないと思います。
一方、国の財政は好転します。これはインフレ下でも消費税は10%、企業が生活防衛のために給与を上げれば所得税、企業が値上げをすれば売り上げ増大、利益改善で法人税増大、とウハウハになるのです。私が昔から申し上げている通り、健全なインフレは企業と民と政府という三つが共に潤うことになり、経済的にはベストシナリオです。だから中央銀行は2%程度のインフレが望ましいというわけです。

高市首相 首相官邸HPより (2)
日本の場合は円安がダメージしているのでスタグフレーションの傾向もありますが、便乗値上げも相当あります。このあたりの綱引きが今後、展開されるとみており、物価や消費動向も新局面を迎えるのではないかと考えています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月13日の記事より転載させていただきました。







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