議論百出:政府レベルでモノが決まらない…

ものごとの判断をするのが難しくなったのでしょうか?政府部門の様々な方面で議論が紛糾し、決められない事態が生じています。

アメリカは戦争の判断から始まり、次期FRB議長候補のウォーシュ氏の指名にかかる議会判断、日本では食品消費税についてここにきて珍案である1%とか0.1%案という導入工数の手間だけを考えた「改善策」が出てきています。日銀は4月の金融政策決定会合では利上げしたいけれどできないというジレンマにあります。

政府のみならず地方自治体でも兵庫県の知事の案件のように判断に途方もないほどの議論を行わざるを得ない事態が生じているのは何故なのでしょうか?

案件に対する賛否が拮抗している場合にあらゆる手段を講じてその承認を阻止したい動きが出ることは一つあるでしょう。ウォーシュ候補のケースではトランプ氏にとっては身内である共和党で上院銀行委員のティリス議員が司法省によるFRB本部改修工事の調査が続く限り全力でFRB人事を阻止する構えを見せています。ティリス氏は来年1月で議員を辞めるのでトランプ氏など怖くもないというスタンスで命をかけるという意味ではカミカゼ特攻隊のようであります。

パウエル氏の任期は5月15日ですが、仮にそれまでにウォーシュ氏の承認が得られなければパウエル氏が議長代行をすると見込まれます。トランプ氏はそれならパウエル氏を解任すると息巻いています。最終的には上院はウォーシュ氏を承認するとは思いますが、このような議会の党利目的のみならず、議員の功名目的でかく乱されることは今後も大いにあり得るわけです。

トランプ氏自身も相互関税から戦争までかく乱を招いて功名を得ようとするタイプですが「そうは問屋が卸さない」のは外国勢であります。アメリカ国内では反発すれば自身の地位を追われるリスクがありますが、外国勢から見れば敵対心丸出しで勝負する国は当然あるわけです。イランはわかりやすいのですが、プーチン氏はトランプ氏を手玉に取ろうとしているし、習近平氏は取引を持ち掛けます。

「力による支配」とは相手をねじ伏せる、という意味あいが強く、当然ながら反発心を煽ることになります。これが問題を複雑にするわけです。

では日本の食品消費税の問題は解決するのでしょうか?私の見立ては、こちらも議論が多くなっており、収拾がつかないような気がしています。経済団体はさっさと給付金付減税にせよというスタンスです。2年間の食品減税を求めるグループも従来の0%に対して「システム改造だけで1年ぐらい時間がかかる」という声に「じゃあ1%ではどうか?0.1%でもいいぞ。これならばシステム改修は簡単だろう」と応酬するわけです。稚拙です。

ここで再び声が大きくなってきたのが外食業界。食品消費税0%になれば外食産業に影響があるとされるので「外食も消費税ゼロの仲間に入れてよ」であります。でもこれらの議論、ほとんどすべてが利害関係者のポジショントークによる主張であります。ならば利害が一致しない限りこの議論は落としどころがないのです。

トランプ大統領と高市首相は複雑な議論を収拾できるか ホワイトハウスXより

ではどうやって決めるのでしょう。本質は首相が方向性を指示するべきなのです。しかし実態がよくわからない国民会議という舞台に議論を任せてしまった、そして議論は収斂するどころか方向性がバラバラになってしまったのです。では客観的に見ると何が答えでしょうか?ずばり「2年だけ食品消費税をゼロにするのは経費の無駄遣いの上に社会の混乱やいびつな需要と供給を招き、食品業界を大混乱に陥れる、よって弊害を考えると給付付き減税の簡易版をさっさと立ち上げよ」でしょう。(需給の混乱とは例えば食品消費税0%が切れる直前に消費者が大量買いをして供給が追い付かなくなる社会的混乱は好例でしょう。)

私の切り口はこうです。「国民は消費税減税にこだわりすぎている、しかし、今般のガソリン減税や未定ながらもかなり高温が見込まれる今年の夏に向けて、期待値の高い夏の電気やガス代金の政府支援、地方自治体によっては水道の基本料の免除などもある。それらの支援幅は10%を超えるものもあり、国民は間接的に一定の減税と同等のベネフィットを得ているはず。よって今般の食品の減税にこだわる理由はない。言えることは一度でもおいしい餌を見せてしまえば、与えなければ猛反発を食らうという教訓である」ということです。

議論百出になった理由は情報化時代で人々がAIに聞けば瞬く間に詳細の情報を得ることができるようになったからです。この傾向は当然、インターネットが普及し始めた頃から見えた流れです。これはある意味、民主主義的決定をより遅延化させ、社会の停滞を生みかねないとも言えます。権威主義国家が増えてきたのは国民の一定の支持により「モノを決めてくれる国家元首がいるならそれの方が楽だ」という発想とも言えなくはありません。

我々は一種の現代病の真っただ中にいる、とも言えるのでしょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月24日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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