JALとANAの対照的な顧客対応

内藤 忍

JALに続いてANAも上級会員に対する特典について見直しを行うと発表しました。しかし、その内容を比較してみるとそれぞれが目指す方向が対照的であることに気がつきます。

JALの新しいステイタス制度「JAL Life Status プログラム」は2024年1月から既に導入されています。

こちらは既存の会員のサービスには変更をすることなく、今後の新たな会員に関しては過去の登場実績の累積に応じて資格を付与するという変更をしています。そして過去数十年にわたる搭乗実績をすべて遡ってカウントしLife Status ポイントに反映させています。

これによって新たに会員になるハードルは高くなりましたが既存顧客からの不満は出ていません。

一方のANAは上級会員であるSFC(スーパーフライヤーズカード)会員に対し2028年からは年間300万円以上のカード決済がない会員を「LITE」枠へ実質的に格下げする方針です。

これまでの利用実績に関係なく単年度で一定の利用を求める内容です。

2つの航空会社の上級会員特典としてビジネスクラスラウンジの利用がありました。

会員資格を取得すれば会員用のクレジットカードの解約をしない限りステータスを維持することが可能です。

最近のラウンジにはエコノミークラスを利用する上級会員が増えすぎてしまい、ビジネスクラス利用客から「マイル乞食」と揶揄され忌み嫌われています。

私も国内のフライトでエコノミークラスに乗る際にビジネスクラスラウンジを使いますが、ドリンクや食事のサービスは年々ショボくなり混雑がひどくなっています。

何らかの対策が必要であることには賛成です。

しかし、今までサービス提供していたものの条件を大幅に変更すれば顧客からの反発を招きます。

JALの既存顧客には手をつけず、新規の流入を制限するやり方は手ぬるいかもしれませんが、顧客との信頼関係は維持されます。一方のANAのやり方は確かにラウンジの混雑を緩和する劇的な効果はありそうです。ただし、いきなりの梯子外しのようなやり方で顧客のロイヤリティーを下げてしまうのではないかと危惧します。

どちらの方法が良かったのか、これは数年後のそれぞれの会社の経営状態が教えてくれます。その答え合わせの日が来るのを待とうと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年4月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント