日本からも海外の株式個別銘柄が手軽に購入できるようになり、また個別銘柄が分からない場合でも海外銘柄主体の投資信託も充実していることからいつの間にか投資先は海外が多いという方も増えているのではないかと思います。
このところ日経平均も上がっているじゃないかとおっしゃるかもしれません。2020年と比べるとざっとした感じで3倍になっています。しかし、TOPIXで見ると2.5倍、グロース市場250指数ではほぼ変わらずであります。つまり個人投資家好みとされる新興企業の株価は踊らずで、半導体など一部の銘柄が主導するいびつな株価上昇が続いているとも言えます。

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投資する人にとって最も重要な点の一つがリスク分散です。「卵を一つの籠に盛るな」と言うのは証券投資の重要な教えです。競馬をやる人が一点買いをすれば一か八か勝負になりますが、天皇賞で大穴が出たように多くは失敗するでしょう。とすれば日本の株式市場で半導体銘柄が上昇しているからとはいえ、その銘柄に全賭けすることは無謀であります。では他に何を買ったらよいか、と言えばその選択肢はあるようでなく、例えば人気となった重工やIHIなど防衛関連銘柄は既に何倍にも株価が上昇してしまっています。
つまり「ここから買うのかね」と言われれば躊躇せざるを得ないとも言えます。ならば海外の方が面白みがあるかもしれないと思う方も多いでしょう。日本の方からすれば海外市場は未知の世界であるとともにアメリカを中心とした巨大企業が世界のディファクトスタンダードを次々塗り替えていく力を見ると「なるほど、そちらの方が面白そうだ」ということになるのかと思います。
これが日本人投資家の強力な海外銘柄投資→円売りドル買い圧力→円安要因の一つとされます。いわゆる実需のドル買い円売りで、これだけで新NISAが始まってから5-6円分円安になったとも言われています。
カナダに住んでいると様々な方々と接する機会がありますが、いわゆる新興国出身の方々は「投資先は先進国」という意識が強いと思います。その背景には情報開示、安心や信頼があるようで新興国の国内企業は不安という方が資金を海外に振り向けるわけです。とすれば日本でもそれと同じようなことが起きているともいえ、知らず知らずのうちに日本向け投資資金が減っていたということにもなります。
では海外企業は日本に比べて本当に儲かっていて株価も上昇するのでしょうか?ざっくりした話をすればYESです。何故でしょうか?これは比較的簡単に説明でき、物価高→販売価格上昇→利益の絶対額も上昇→株価には上昇バイアスということです。日本は30年も物価が上昇しない国でしたので株価も上昇しなかったけれどもしも日本が北米並みにコンスタントに物価上昇していれば今頃日経平均は10万円を軽く超えていたはずです。今、日本の株価が比較的堅調なのはとりもなおさず物価高のおかげという点は否めないのです。
では海外の物価高の主因である人件費の上昇は今後も続くか、と言われると私は疑問を感じないわけにはいかないのです。労働の質が落ちている中、物価に合わせて人件費だけが勝手に上昇しているわけです。企業経営者はあの手この手で人件費削減を検討しています。その中でAIが急速に浸透してきて一部企業の人材削減の動きは無視できません。
今のところ、削減されてもどこか別のところで吸収できる余力がありますが、このバランスが崩れた時、K型経済がより顕著になり、振り落とされる人がより増えます。一般物価上昇に対応できない人々が街にあふれてしまい、社会が機能しなくなるリスクは潜在的にずっとあると考えています。企業はそれでも業種により更なる利益を積み上げる一方、消費余力が下がることで売り上げ減になる企業もでてくるはずで「まだら模様の経済」が起こりうるということでしょう。
よって海外投信がお好き、と言う場合でも何に投資しているのかしっかりリスク管理をする必要があるかと思います。多くの方は海外投信と言えば予想利回りなどに目を奪われ自分が何を買ったのか全然知らない方も多いのではないかと思います。火傷をしないよう、そこは細心の注意をすべきでしょう。
オルカンのリターンが極めて良いのは円安と物価高の組み合わせによるところで一種の異常値とも言えます。一般的な投資リターンは5-8%程度を目指すのが健全範囲ですから投資家がグリード(貪欲)になりすぎないことも重要かと思います。仮にオルカンが逆回転した場合、売却する人が増え、円高バイアスがかかりますから下落に拍車がかかるという負の回転がかかることも頭に入れておく必要があるでしょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年5月5日の記事より転載させていただきました。







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