高市政権の憲法改正は 国民投票で通るのか?

最近、憲法改正をめぐる世論調査を見ると、新聞社によって結果がかなり違います。ある調査では「賛成多数」、別の調査では「反対多数」。これを見ると「国民は本当はどう思っているのか」と混乱する人も多いでしょう。

朝日新聞
高市政権での憲法改正、「賛成」47%「反対」43% 朝日世論調査

毎日新聞
高市首相在任中の改憲「賛成」37% 「反対」30% 毎日世論調査

読売新聞
憲法改正「賛成」57%…読売世論調査

しかし、この違いには明確な理由があります。そして、もし高市政権が本格的に改憲へ動き、国民投票になった場合、結果は世論調査どおりにはならない可能性があります。大阪都構想のケースが、そのヒントになります。

なぜ憲法改正の世論調査は真逆になるのか

まず重要なのは、質問の仕方で数字が変わるということです。

たとえば、

* 「憲法を改正する必要がありますか?」
* 「9条を変えるべきですか?」
* 「自衛隊を憲法に明記すべきですか?」
* 「高市政権のもとで改憲を進めるべきですか?」

これらはすべて似ているようで、中身はまったく違います。従って回答も変わるわけです。

→ 改憲一般なら賛成が増える

「時代に合わせて憲法を見直すべきか」と聞けば、賛成が増えやすいです。漠然とした改革イメージだからですね。

→ 9条改正になると反対が増える

一方で、「9条を変えるか」「戦争放棄条項を変えるか」となると、一気に慎重論が増えます。日本では9条への支持が根強いためです。総論は賛成だが各論は反対になります。

→ 自衛隊明記なら中間層が賛成しやすい

「今ある自衛隊を憲法に書くだけ」と聞けば、穏健な修正に見えるため賛成が増えやすい傾向があります。つまり、世論調査の数字の違いは、国民の意見がバラバラなのではなく、質問内容が違うから起きているのです。

  1. 大阪都構想が教える「世論調査はそのまま結果にならない」

大阪都構想は、住民投票前の世論調査で優勢とされる場面がありました。しかし最終的には二度とも否決されました。
なぜか。

理由① 高齢層の投票率が高い

若年層は賛成が多くても、投票率が低い。
高齢層は慎重・反対が多く、しかも必ず投票に行く。
この差が結果を左右しました。

さらに2024年の衆院選挙の投票実数を見ると70代以上が圧倒的に多い。
若者は人口も少なく投票率も低いため、20代票は50代・60代よりかなり少ないです。

ざっくり比較すると高齢者の数が非常に多くしかも投票率も高いため、
20代:約380万人
50代:約1,000万人
60代:約1,050万人
70代以上:約1,850万人
2024年衆院選の投票者のうち「60歳以上」はおおよそ約50〜52%前後
➡ 20代票の約5倍が70代以上票

となり、日本の政治は高齢者が決めているということになります。

理由② 最後に「現状維持」が強い

投票日が近づくと、
* 本当に変えて大丈夫か
* 今のままで困っていない
* 制度変更は不安
という心理が強くなります。大きな制度変更ほど、この傾向が出ます。高齢者の特徴でもあります。

理由③ 賛成票は熱量頼み、反対票は防衛的

賛成派は「変えたい」という熱意が必要です。
反対派は「変えたくない」でまとまりやすい。
住民投票・国民投票ではこの差が大きくでる

  1. 高市政権の改憲国民投票も同じ構図になる

もし高市政権が国会で改憲発議を通し、国民投票に進んだ場合、初期世論調査で賛成優勢になる可能性はあります。しかし、実際の投票になると別です。

年代別で見ると

近年の毎日新聞調査では憲法改正について

* 18〜50代は比較的賛成が多い
* 60代は拮抗
* 70代以上は反対・慎重が多い

という傾向があります。ところが投票率は、

* 若年層は低い
* 高齢層は高い

このため、実際の票数では高齢層の影響が大きくなります。

  1. さらにこれから来る「急激なインフレ」が決定打になる

ここが最大のポイントです。

もし今後、

* 食品価格の急騰
* 光熱費上昇
* ガソリン高
* 円安進行
* 実質賃金低下

といった急激なインフレ局面で改憲国民投票になったらどうなるか。その場合、争点は憲法内容ではなくなります。

国民はこう考えます

* 生活が苦しいのになぜ憲法?
* 物価対策が先では?
* 政権の優先順位がおかしい
* 改憲より家計を守れ

すると、改憲賛否そのものではなく、政権への不満票が反対票として乗るのです。これは大阪都構想で起きた「制度論争が政権評価選挙になる」現象と同じです。

  1. AIによるシミュレーション予測

平時なら賛成50%反対50%の接戦もありえます。

しかし急激なインフレ下なら、

* 賛成45%前後
* 反対55%前後

まで反対優勢になる可能性が大きくなる。物価高が深刻で「改憲どころではない」となれば、

* 賛成42%
* 反対58%

も十分ありえる。

  1. 結論

高市政権の憲法改正は、内容以前にタイミングの問題です。世論調査で一時的に賛成多数が出ても、

* 高齢層の高投票率
* 現状維持バイアス
* 政権不満票
* 物価高への怒り

が重なると、国民投票では否決されやすい構図になります。大阪都構想が示したのは、

政治改革は、世論調査で勝っていても、本番では負けることがある

という現実です。そしてこれからインフレは確実に進むので、改憲国民投票も同じ道をたどる可能性が高いわけです。
もしかしたら高市政権がIMFからなにを忠告されようが頑なに税金をジャブジャブ使ってガソリン代を据え置いているのは、「早く憲法改正を通すのにインフレをなるべく送らせよう」という意図かもしれません。

チャッピーの予想ではこの程度

日銀は2026年4月の見通しで、原油価格上昇がエネルギー価格や財価格を押し上げ、2026年度のコアCPIは2%台後半になると見ています。

さらにロイター報道によると、日銀のリスクシナリオでは、原油が高止まりし、円安も進む場合、コアインフレ率は2026年度3.1%、2027年度3.0%程度で推移する可能性が示されています。

高市首相 首相官邸HPより

ガソリン補助金を停止するとインフレ率は大きく上がる

現在、補助金でガソリン全国平均を170円程度に抑える設計になっています。資源エネルギー庁は、170円程度を超える見込みになった場合、その水準を超えないよう補助するとしています。軽油・重油・灯油にもガソリンと同額の補助、航空機燃料には4割相当の補助です。

仮に補助金停止で、170円 → 230円になると、上昇率は、
60円 ÷ 170円 = 約35.3%です。

CPIにおけるガソリンのウエイトは182/10000、つまり家計支出全体の約1.82%です。総務省の2020年基準CPIでは、ガソリンのウエイトは182、エネルギー全体は712です。
したがって直接効果は、
1.82% × 35.3% = 約0.64%ポイント
半年後のインフレ率を2.7〜3.4%程度と置くなら、ガソリン230円シナリオではガソリン補助金停止で230円/Lになると、食品インフレ率はおそらく、通常なら4〜6%程度 → 6〜8%程度となるため貧困層には非常に厳しいインフレと感じるわけです。こうなると憲法改正国民投票どころではないという風潮になるので、先のことは考えずに備蓄を使い切ってもいいから憲法改正を押しきるという考え方なのかもしれません。

未来のことより憲法改正と考えていると推測するのはうがった見方でしょうかね?
日経新聞の調査から作ったイラスト借りてきました。元ネタ

アベマ見ていたらライドシェアに国会議員は与野党とも反対。与党はタクシー会社の既得権益、野党はタクシー運転手の既得権益ばかり。日本の政治家って日本がどうかより自分の議席ばかりになんですよね。

タクシー乗り場が消える日 ライドシェアがぶっ壊す既得権益リスト (スマートモビリティライブラリー)


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2026年5月4日の記事より転載させていただきました。

 

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