為替介入では円安は止まらない

内藤 忍

GW中の投資家と政府・日銀による為替マーケットでの攻防が続いています。

為替介入のニュースが世間を騒がせていますが、変動相場制の中で「力技」で円安の大きな流れを止めることは難しいと思います(図表は日本経済新聞電子版から)。

ドル円で言えば、日本と米国の間には依然として大きな金利差が存在し、さらには日本の経常収支の構造的な変化があります。外貨の円に対する相対的な魅力が変わらない限り為替のトレンドは変わりません。

また、介入に使える「実弾」には限界があります。

円を売ってドルを買う「円売り介入」であれば、円を刷ることで理論上は無限に続けられますが、「円買い・ドル売り介入」は、手持ちの外貨準備高までしか介入資金はありません。

マーケットの圧倒的な取引量に比べれば無尽蔵とは言えません。投資家に足元を見られれば効果は消えていきます。

介入が実施されれば、一時的に数円程度の円高に戻る場面はあるでしょう。しかし、それは長期的なトレンドの中では絶好のドル買いチャンスを提供しているようなものです。

もちろん、円高にトレンドが反転する可能性がゼロというわけではありません。

例えば、米国の景気が急速に冷え込み、FRBが想定以上の大幅な利下げ転じる、あるいは日本銀行が想定以上のペースで追加利上げを断行する。それらによって日米の金利差が目に見えて縮小するような事態になれば、円買いの圧力が強まるシナリオも考えられます。

しかし、これらはあくまで外部環境の変化によるものであり、政府の介入がトレンドを変えるわけではないことを知っておくべきです。

円安は一時的なもので、いつかは元の水準に戻るという期待は、もはや捨て去るべき時期に来ています。

国が円の価値を守ってくれると過信せず、自分の資産は自分で守るという意識が不可欠です。

円安を嘆くのではなく、円安になっても困らない資産背景をいかに構築するか。

グローバルに資産を分散し、通貨の変動に一喜一憂しない仕組みを作ることで、お金に一喜一憂しない生活を手に入れることができます。

5月13日の作家の真山仁氏とのコラボイベントは、日本の財政問題がテーマですが、これからの資産運用についても有益なヒントを提供できると思います。

日本の将来や自分自身のお金との付き合い方に不安を持っている方はぜひご参加ください。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年5月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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