イラン戦争、終結は近いのか?:世論の支持がボロボロのトランプ大統領

ゴールデンウィーク明けの日本は株式投資家にとってはタイミングが良かったと思っています。この1週間、イラン戦争の行方は解決に向かうベクトルにあったものの具体的な情報が少なく、市場は膠着していました。ここにきて、アメリカが提示した「1枚の紙の合意案」が取りざたされ、イラン側は2日以内に返事をすることになっています。では合意はなされるか、ですが、ずばりされるとみています。連休明けの東京市場は快晴となるでしょう。

今回、イランのアラグチ外相は北京に飛び、王毅外相とその内容について調整しています。なぜ中国かといえばあと1週間ちょっとで行われるトランプ氏と習近平氏の会談における最大の功績とするためであります。つまり私の勝手なストーリーはイラン戦争を米中両国の協力の下で終戦にこぎつけるという大義名分を作り上げるのです。

トランプ氏としてはアメリカ国内世論の支持がボロボロの現実を「ウソだ!」と逃げることはもうできません。トランプ氏支持率は36%で不支持率が57%(Economist調査)、イラン戦争は各種調査は概ね60%の人が反対、共和党と民主党の支持率の世論調査は民主党48.6%VS共和党42.8%(Real Clear)であります。政党支持率については民主党と共和党の差はじわじわと開く一方です。つまり、秋の選挙に向けてよほどの打開策を打ち出さない限りトランプ氏には激しい向かい風となることが確実視されます。

そのためにトランプ氏としては世論に不人気な政策は打ち消す必要があるのです。まずはイラン戦争ですが、中国を介してイラン側との調整を謀らせ、和平になった時点で自らの功績にしてしまうというトランプ氏お得意技を出すのが目に見えています。次いで中国との貿易、経済、関税に関してスイートディールになり、台湾問題はさわりもしないとみています。

特にトランプ氏が注目するのが不満の声が大きいガソリン価格をどこまで引き下げられるかですが、ホルムズ海峡が開放されれば原油価格は確実に80ドル台に下がるし、OPEC+から脱退したUAEが増産を行い、OPEC+も6月の増産を決定しています。イランも国内貯蔵が満杯でギリギリの状態ですので中国などに猛烈な勢いで輸出するでしょう。もちろん、平常化するまでに2か月以上はかかりますが、目先の懸案は収束するとみています。

基本的にイランとの合意妥結は直ちに実行する内容と時間をかけて交渉を継続する内容に分けるのではないでしょうか?ウラン濃縮など一部の問題は時間稼ぎの内容になるとみています。今回の戦争がイランでの戦争よりホルムズ海峡の行方に世界の目がフォーカスしてしまったことがトランプ氏にもネタニヤフ氏にも誤算だった可能性があります。よってこのところイスラエルの名前すら出なくなったのは彼らに出番がないということであります。またトランプ氏はネタニヤフ氏と組むことが自身に得策ではないことも十分わかっているはずで「近寄りすぎた」ことに若干の後悔をしていることでしょう。

そもそもイランを潰すと豪語していたトランプ政権。正直、この点において政権の中枢は全員失格です。9000万人の人口を擁するイラン経済を崩壊させてどうするつもりだったのでしょうか?

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

思い出してもらいたいのが日本の終戦後、マッカーサーが日本において天皇制を維持すると決めたことです。複合的理由でそのような決定がなされていますが、その一つがルース ベネディクト女史の「菊と刀」であります。同書は日本国内での評価は割れていますが、当時、アメリカが日本研究をする中でバイブルのような扱いであったことは事実です。日本人と天皇制は切り離せない、この学術的バックアップは大きかったのです。同様にイランの国内体制もイスラム法学という基盤がベースであり、この基盤は壊せないのです。残念ながら私の知る限り、アメリカ政権中枢に対して学術的に助言できた人がいなかったような気がします。

国家体制転換は原則的には外部の力によって行われるものではないのです。内部の葛藤や闘争を通じてある時点で爆発的崩壊を伴うのが体制変換の流れです。日本の終戦でも戦争に負けた事実よりも日本人のメンタルが大きな転換を求めていたといったほうが正しいと思います。ソ連の崩壊も内部崩壊でした。例えていうなら宇宙において超巨星が爆発しブラックホールになるようにあくまでも国内の自浄作用とも言える流れで展開すべきものです。ただし、国内の葛藤や闘争に火をつけるのは外部の影響が大きいと思います。例えば海外に住むイラン人は今回の戦争でハメネイ師が死亡したことを喜んでいましたが、それはイラン人の間で一定の思想的闘争が起きているもののまだ十分に醸成された状態には無かったとも言えないでしょうか?

では最後にもう一点。今回の原油高で便乗値上げに走っている業者は数多くあります。大手航空会社は燃料サーチャージをこれから上げますが、今後燃料費が下がったらどうするのでしょうか?一度値上げしたり、サーチャージをつけるとなかなか下げられないのです。サーチャージも半年ぐらいは「まだわからないので」というよくわからない理由で引き下げないはずです。つまり航空会社や値上げした企業はボロ儲けになり、結局損をするのは一般消費者ということになりそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年5月7日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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