長期金利上昇と円安は「炭鉱のカナリア」からの警告

内藤 忍

日本の長期金利の指標である新発10年物国債利回りの上昇が止まりません。5月13日には一時2.6%に到達しました。これは1997年以来29年ぶりの高さです(図表は日本経済新聞電子版から)。

長期金利が上昇しているという事は国債の価格が下落していることを意味します。日本の長期国債の買い手が少なくなり、より高い金利を提示しなければ買い手が見つけられなくなったことを意味します。

日銀が決定する日本の政策金利は、前回の金融政策決定会合でも据え置きが決められました。短期金利が上昇しない中で長期金利だけが上昇する「イールドカーブのスティープニング」が続いています。

しかも円金利が上昇しているにも関わらず円安ドル高は続いています。

金利が上昇しているにもかかわらず、通貨が売られている。

これはマーケットに迫る危機を予告するいわゆる「炭鉱のカナリア」ではないでしょうか。

「炭鉱のカナリア」とはかつて炭鉱で一酸化炭素中毒による事故を防ぐためにカナリアを使ってその兆候を探知しようとしたことに由来するメタファーです。

現在の日本の長期国債とドル円の為替レートの動きを重ね合わせると、将来の日本経済の危険な兆候を示していると言うことです。

具体的にいは日本の財政健全性や経済の基礎体力への懸念です。その結果、静かに「日本円離れ」が始まっていると見るのが自然です。

こうした環境下で、個人投資家が自らの資産を守り抜くためには、まずこれまでの「円預金信仰」を捨てなければなりません。

米ドルを中心とした外貨建て資産や、世界中に投資を行うインデックスファンドへのシフトなら今から誰でもできる対策となります。

また、インフレと金利上昇の両方に耐性を持つ「実物資産」の保有も有効です。

都心の収益不動産や、価値が毀損しにくいゴールドなどは通貨価値が下落する中で価値を相対的に高めていきます。

さらに、借入に対する対応も必要です。金利が上昇すれば借入金利も上昇し一見お金を借りることはやめた方が良いと考えるかもしれません。

しかし、金利上昇以上のインフレが進めばお金を借りておくことは悪い話ではなくなります。

日本政府と同じように借金をして「国と同じポジション」を作っておくことです。

ckarlie/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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