無給のボランティアは「立法調査官」ではない
高市早苗首相の過去の肩書きをめぐる経歴詐称疑惑が、またネット上で再燃している。発端は、芥川賞作家の平野啓一郎氏がXで、高市氏の過去の「元米連邦議会立法調査官」という肩書きを批判したことだった。

現在の首相官邸のプロフィールでは、1987年12月の経歴として「米国連邦議会Congressional Fellow」と記載されている。自民党総裁選のプロフィールでも同じで、現在の公式表記は「立法調査官」ではない。(首相官邸ホームページ)
高市氏は、米下院(民主党)のパトリシア・シュローダー議員のもとで、2年間、無給のボランティアとして働いた。2025年9月の総裁選会見で記者から経歴詐称疑惑を問われた際、高市氏は「私の名誉にかかわります」と述べ、「米国連邦議会のコングレッショナル・フェローであったことは事実」と疑惑を否定した。(日刊スポーツ)
たしかに米国議会で働いた事実があるなら「米国議会に関わった経歴」が虚偽だったとは言い切れないが、「立法調査官」というポストは存在しない。無給のボランティアを公務員のように訳すのは経歴詐称に近い。
履歴書に「嘘を書いた」と自分で告白
高市氏は1992年発売のファッション誌「CLASSY.」4月号に掲載されたインタビューで、次のように語った。このころは女性の政治評論家としてメディアに引っ張りだこ。同年7月の参院選では奈良選挙区から無所属で国政に初挑戦、落選している。

政治家の経歴は、単なる履歴書の飾りではない。有権者がその人物の能力や経験を判断する材料である。とりわけ高市氏は、保守政治家として「国家の名誉」や「公的責任」を強く語ってきた人物であり、まさに彼女の「名誉にかかわる」問題である。
首相の説明責任は残っている
もちろん、これを「経歴詐称」とは断定できない。高市氏が本当に潔白だというなら、やるべきことは簡単である。当時のフェロー任命文書、業務内容、所属先、給与・身分の有無、過去に「立法調査官」と表記した媒体一覧を公開し、なぜその訳語を使ったのかを明確に説明すればよい。
「名誉にかかわる」と怒るだけでは、疑惑は消えない。むしろ、首相という立場にある以上、過去の肩書き一つにも国民への説明責任が生じる。問題は、30年以上前の米国滞在歴ではない。政治家が自分を大きく見せるために、曖昧な言葉を使ってこなかったかという、信頼の問題なのである。







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