長期金利2.7%台とさらに上昇:「金利ある世界」で政府が払う代償

日本の長期金利が上昇している。14日の東京債券市場では、新発10年物国債利回りが一時2.7%台に乗せ、1997年5月以来、約29年ぶりの高水準となった。30年債など超長期債の利回りも上昇しており、国債市場では金利上昇への警戒感が強まっている。

日本の30年債利回りが歴史上初めて3.9%を超えて急上昇

  • 背景にあるのは、原油高によるインフレ懸念である。中東情勢の緊迫化で燃料費や物流費が上がれば、国内物価もさらに押し上げられる。物価上昇が続くとの見方から、国債が売られ、利回りが上昇した。
  • 日銀の政策姿勢も影響した。日銀審議委員が、景気の大きな悪化がなければ早期の利上げが望ましいとの考えを示したことで、市場では追加利上げ観測が強まった。
  • ただし、今回の金利上昇は一時的な動揺というより、長く続いた超低金利時代が終わりつつあることを示している。これまで日本では「物価は上がらない」「金利も上がらない」という前提が続いてきた。しかし、インフレが長引けば、国債市場も低金利を当然とは見なくなる。
  • 住宅ローンの返済負担や中小企業の借入コスト、国の利払い費増加を心配する声が広がっている。固定型住宅ローンや企業借入の金利上昇は、不動産市場や設備投資、個人消費にも影響しかねない。
  • とはいえ、金利上昇で最も困るのは政府である。日本は巨額の国債残高を抱えている。低金利の間は借金が増えても利払い費は抑えられていたが、新たな国債や借り換え国債は、今後より高い金利で発行されることになる。
  • つまり、金利がこれ以上大きく上がらなくても、現在の水準が続くだけで、政府の利払い費は時間を追って増えていく。これまで超低金利を前提に歳出を広げてきた政府は、そのツケを払わされる局面に入った。
  • 一方で、インフレは政府債務を実質的に軽くする面もある。物価や名目GDP、税収が増えれば、借金の重さは相対的に小さく見える。
  • しかし、その裏側では、預金の価値が目減りし、賃金上昇が物価に追いつかない家計が負担を負う。これは見えにくい「インフレ税」である。
  • 日銀が物価抑制を優先すれば金利は上がり、政府の利払い費は増える。逆に、政府や景気に配慮して利上げが遅れれば、円安と物価高が進み、国民生活を圧迫する。
  • 日本国債市場の動揺は、国内だけの問題ではない。円金利が上がれば、海外投資家の資金配分や欧米債券市場にも影響する。日本の金利正常化は、世界市場にも波及しうる。
  • 30年債利回りも歴史上初めて3.9%を超えて急上昇した。

今回の長期金利2.7%台は、異常な出来事というより、異常だった超低金利時代の終わりを告げている。これまで政府は、日銀の低金利政策に支えられて借金を膨らませてきた。しかし、物価が上がり、金利が正常化すれば、その前提は崩れる。問われているのは、日銀が通貨価値を守れるか、そして政府が借金依存の財政運営から抜け出せるかである。

高市首相と片山財務相 首相官邸HPより

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