より意識を高めたい食生活:欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」

私は日本人である以上、世界のどこに住んでも医学的、細胞学的には日本人以外の何物でもありません。日本に住んでいれば長年伝えられた食生活が基本にあります。ご飯とみそ汁、野菜も新鮮だし、何と言っても魚の種類の豊富さとその値段の安さにおいては世界有数であることは間違いありません。島国であり、長く鎖国していたこともあり現代の日本人に混血、つまり他の民族との二世、三世の方はまだほんの一握りであり、細胞的にはほとんどの人が純粋な日本人であります。

pain au chocolat/iStock

ところが私のように29歳で北米に移住してしまうと食生活において基本的に日本らしさは相当意識しないと達成できません。例えばちょっと飲みに行こう、と言えば日本なら居酒屋で旨い刺身や旬のつまみを肴にという感じでしょう。こちらでもシェアプレートはありますが、まだまだ一人一皿の注文なのでどうしてもピザにハンバーガー、それにビールになりやすくなります。こんなものを食べていて健康を維持できるわけがないのであります。

そもそも日本で肉食が一般に普及し始めたのは明治になってから。それまでは鹿とかイノシシを食べるところもあったようですが、仏教の教えの殺生禁断や神道の「穢れの意識」から肉食は精神的に食しなかったとされます。(今のヒンドゥ教徒やイスラム教徒と似ています。)が、それだけではなく、日本人が自然界の様々なもの、それこそ草木や根っこ、蓮のような水生植物や海藻など海外の人からすれば珍しいものを見事に食文化として取り入れたのは日本人の生活の知恵とも言えるかもしれません。

かつて野菜をよく食べ消化に時間がかかる日本人の腸は欧米人より長いという話があったのですが、これはどうやらウソ。最近の研究によると腸の長さはほぼ同じですが、身長比や人間の体積の大きさから比較すると私は長いようにも感じます。それより特徴的な日本人のカラダのひとつが胃のカタチです。肉食の欧米人は肉の消化を促すたんぱく質や脂質が小腸で行われる為、胃のカタチはすっと流れる感じです。それに対して日本人は胃でしっかりぜん動して消化させるので腸に流れにくくなっています。

このような欧米人と日本人の体形やカラダの組成の違いはいろいろあるのに日本人が欧米に行き、欧米食を食べ続けることで負担が生じることはあまり知られていないのかもしれません。

私が20年以上、昼は基本的に家に帰って普通のものを調理したり前夜のものを温めて食べていて比較的粗食にしているのは外国で毎日外食をしていれば体を壊すのが目に見えているからであります。先般もニューヨークで夜の外食は1度だけ。あとは泊っているところのそばでテイクアウトです。アメリカは値段は高いけれど量も爆発的に多いので1食分買えば私には2食分はあります。日本食はそう多くはないけれど中華なら比較的どこの街にもあるので助かります。

ところで最近久々に良書に当たりました。「欧米人とはこんなに違った日本人の『体質』」(奥田晶子著)でかなり売れているようです。研究者として日本人と欧米人との単純比較だけでなく、アメリカに渡った日本人移民と日本に住む日本人との健康比較が多く書かれており、まさに目からうろこであります。

日本人の食生活が欧米化しているので別に海外に移住していなくてもこれを読めばへぇと思う方も多いと思います。また「あるある」的なポイントも多く、糖尿の人もご飯を普通に食べてよい、牛乳をそんなに飲まなくてもカルシウムは取れている、ヨーグルトのウソ、夏バテ防止でしっかり食べたら太るなど、我々が宣伝や間違った根拠に踊らされてたような話がいろいろ出てきます。

もちろん、この手の書籍は非常に多く、何が本当なのか、我々素人には逆に困惑することもあります。以前、某フィットネスクラブで痩せることをコミットしたところが話題になりました。私の記憶が正しければ炭水化物をほとんどとらず、その代わりたんぱく質を摂取せよ、と言うことで当時、それにあやかった健康本もずいぶん出版されて、朝からステーキといったことも話題になりました。ですが、冒頭申し上げたように日本人のカラダはステーキをガンガン食べる組成になっていないのです。食べるとどうなるか、と言えば国立がん研究センターなどが「直腸がんのリスクが増大する」という警告をしました。日本人の特徴に大腸がんの多さがありますが、このあたりも肉食など食生活の変化によりもたらされた公算は高いとされます。

ここバンクーバーは海に面しているから魚が豊富だろうと思っている方が意外と多いのですが、魚の種類はサーモンやおひょう(ヒラメの一種) など極めて限られており、スーパーなどの鮮魚売り場は極めて貧弱です。お前はどこで買うのか、いえば韓国系スーパーがベスト。それでも限られます。ではどうやって健康維持を意識しているのか、と言えば「バックトゥ昭和」の食生活をなるべく意識することにしています。例えば出汁は出来合いの粉末を使うこともありますが、基本的には煮干しや昆布、シイタケからとり、しかも煮干しやコンブは濾さないで出汁と共に食べるようにしています。

赤肉の摂取量も以前の半分の量である120グラム前後にしているし、基本は鶏肉で皮や脂身は減らし、唐揚げも極力食べない調理方法にしています。

あとは飲酒のコントロールと運動ですが、これは現状、ある程度達成できているので食生活の改善をすることが今後の主眼となりそうです。お前、仙人のような生活だな、と思われるかもしれません。おいしいものは好きですが、毎日食べなくても死にはしないのです。欧米の人は普段は質素な食生活でオケージョンでがっと食べるという印象です。一方日本の方は「死ぬまで食べられる回数は限られているからまずいものは一食たりとも食べない」という方は割と多い気がします。特に女性にそういう方が目立つ気がしますが、体格もご立派になっていらして大丈夫かなぁとこちらが心配になることもあります。

食事のコントロールは毎度の食事の話だけになかなか大変ですが、頑張るしかないと思います。そういいながらたった今、朝食で好きではけど何年も食べているオートミールを流し込んだところであります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年5月17日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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