習近平国家主席は何に対抗心を燃やしているのか?

最近最も注目された国家元首と言えば習近平氏でありましょう。トランプ氏との会談が5月14日-15日、数日後である19日にはプーチン氏が北京入りし、習氏と会談をしました。更に習氏は来週にも北朝鮮を訪問すると報じられており、急に動きが活発化しています。習氏が最後に外遊したのは25年6月のカザフスタンでの会議出席であり、1年近く国内にこもっていたことを考えるとこの10日から2週間程度の動きは覚醒したような展開であります。

トランプ大統領と習近平国家主席 2026年5月14日米中首脳会談 中国共产党新闻より

何が習氏を突然動かしているのでしょうか?

まず習氏の任期ですが、国家主席としては28年3月となっています。聞こえてくるのは第4期目を目指すというもので、現時点で対抗馬的な名前も挙がってきていません。多分ですが、そんな動きをすれば失脚させられるのがオチで習氏の独裁化が進んでいるとみています。

習氏は3期目の就任に当たり台湾問題を核心的事象として捉えると述べており、タイミング的に見てそろそろ展開をしたいところでしょう。台湾の総統選、及び総選挙は28年1月ですが、その前哨戦となるのが26年11月の台湾統一地方選挙とされます。個人的には中国が何らかの形でこの選挙に介入し、現政権への揺さぶりをかけるのではないかとみています。

以前にも申し上げたように私個人の見方としては中国が台湾を武力侵攻する可能性は低く、実際にはもっと泥臭く時間をかけながらも台湾の民意を親中国に変えていこうとするとみています。当然、そのプロセスにおいてアメとムチがあるわけで時々台湾を取り囲むような演習をするのはムチではあるもの本気でなにかしようという気配は今のところはないのではないでしょうか?

では中国が台湾にそこまで執心するのは何故かといえば歴史的問題が基本中の基本であります。それに加えて台湾が持つ半導体の製造能力が世界のテクノロジーの行方を決定づけるものとなり、ある意味、その「お宝(トレジャー)」の支配権争奪で米中が対立する構図を作っているとも言えます。仮に台湾が中国に取り込まれた場合、レアアースのように中国が政争の具として使う公算はあり、世界経済、特に西側諸国には甚大な影響となりえます。

今回の2つの大国元首との会談、及び来週にもありそうな金正恩氏との会談で中国が目指すのはより確立された覇権形成であることは間違いないとみています。国際社会を俯瞰するとパクス アメリカーナと称されたソ連崩壊後のアメリカ一国主義から中国との二頭体制(G2の時代)となり、今、その次の段階に進むところにあるとみています。それは昨日のヴァンス副大統領の発言にも見て取れます。ポーランドへの4000名の派兵を延期すると発表した際、「アメリカは世界の警官にはなれない」と発言したその言葉に表れていると思います。この発言そのものはオバマ氏の時代から続くアメリカの新しい立ち位置の表明であり、それが変わらないことを示しています。

その上でアメリカのミーイズム、自国利益中心主義がより鮮明となり、近年の欧州に対する冷たい処遇はアメリカが覇権国家としての立ち位置を変え、アメリカにとって都合の良い国家だけを選りすぐり、より深い関係を構築していこうとするシナリオに見えます。アメリカの友達はイスラエルと日本が筆頭だと思いますが、他にNo Questionでアメリカ支持をする国は限られており、ずいぶん小さくまとまっていくのではないかという風に見えるのです。

習氏はそのあたりのアメリカの変化を嗅ぎつけ、今こそ中国を中心とした世界を作り上げるタイミングであろうと動き出したのではないでしょうか?

その中でひとつ気になるのが習氏の日本史観であります。最近の発言では日本を「新型軍国主義」などと称しているようですが、習氏は再び先の大戦時代の日本の体制を蒸し返しながら最近の日本の保守化を逆に利用し、中国的プロパガンダを吹聴しているように見えます。表向きは中国政府は日本との関係を「寸止め」にコントロールしようとしていますが、市民が忖度して反日の動きが出ないか気になるところです。日本国内にいると分かりにくいかもしれませんがきな臭さがないわけではありません。

先日も当地の長年の取引先の中国系カナダ人から突如、「オタクの国の首相は問題だ」と直接的に切り込まれ、彼と30分ぐらいやり取りする間、長年の付き合いなのに何故突然そんな事を言い出したのか気がかりな変化だと思います。

習氏は覇権国家の構築、先端技術から国際政治まで取り込む中華主義の推進、それに伴い日本への圧力強化は起こりえるとみています。それに対してアメリカが日本にどこまで同調できるのか、トランプ氏が習氏との会談直後、飛行機から高市氏へかけた電話で「言えない秘密」とは何なのか、気になるところではあります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年5月22日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント