中国をめぐる日本の立ち位置の行方:なぜ高市政権は保守政策を強化しているのか?

先の米中首脳会談から中国をめぐるトーンが変わったように見えます。米中双方から公表された発表、あるいは漏れ聞こえる話からは判断できない何かによって確信的な変化が生じたように感じるのです。トランプ氏が帰路、大統領専用機からかけた高市氏への電話も「公表できない内容」と高市氏が述べていますが、そもそもトランプ氏がポジショントークせずに高市氏にモノを述べることができたのか、という疑問があるのです。(しかも高市政権は中国からの情報を取る算段がありません。)

ランプ大統領と習近平国家主席 2026年5月14日米中首脳会談 中国共产党新闻より

トランプ氏の発言やSNSへの書き込みはポジティブ シンキングの典型的例でありますが、見方を変えると都合の良いところだけを自分なりに加工して目いっぱい引き延ばして「ほれ、どうだ。俺は凄いだろう」というスタンスであります。それほど成果があった会談ならトランプ氏はもっと笑顔があってもよいと思いますが、会談の画像からは厳しい表情の上に普段、飲みもしないアルコールに口をつけたりしているのです。

高市氏が政権に就いてから日本の外交は大きくかじ取りを変えています。岡田克也氏の質問に対しての答えは単に口を滑らせたのか、確信的で意図をもって述べたのか、ここは今もってよくわかりませんが、それを契機に中国を怒らせ、それに乗じるように日本は国防へ強くまい進していくのです。

最大の契機の一つは4月の「5類解禁」で、その後、オーストラリアとのディールや先日のフィリピン マルコス大統領との強い絆の確認と未来志向の動きは全て国防、保守というポリシーを貫いています。

ここからが大事なところなのですが、高市政権の保守体制の強化とは何を目指しているのか、であります。

私が思う外的なエレメントです。

  1. アメリカの世界への関与の姿勢の変化
  2. アメリカが中国を抑えられなくなったこと
  3. 日本がアメリカにどこまで頼れるか、日米安保という「保険」の疑念
  4. 世界がバラバラに動き始め、1つになるのではなく、協調軸と対立軸が出来つつあること
  5. 日本が米中の間に位置する中で日本の外交的立ち位置は以前ほど単純明快ではないこと

この中で国防については日本国内世論も割れつつあるように見えるのです。国防の強化に賛同する側と何か急ぎ過ぎてやしないか、という声です。まだ強い批判にまでは達していませんが、この手の動きは必ずヒートアップしてきますので国論を二分する話にならないとも言えません。

私は以前から日本が日米安保に頼りすぎる点には警鐘を鳴らしていました。世の中が平和で丸く収まる時代からギスギスする時代へと変わってきたからです。その背景の一つは中国の爆速的な技術革新であります。EVにしてもAIなどの先端技術にしても国家主導で猛烈に追い上げたことで世界経済のバランスを短期間で変えてしまったのです。そのとばっちりを受けたのが欧州であり、もしかしたら日本もその一つでしょう。またアメリカはもはや世界の警官ではないと言ったのは2013年9月のオバマ氏の発言であり、それから既に13年近くたっているのです。安倍氏がその間、国力と保守的思想について注力を注ぎ、日本に変化の兆しが見えたのですが、その後の政権で揺り戻しがあり、今回、高市氏が再度、国防強化の崖を登っているわけです。

この一連の動きは日本が自立するというスタンスである限りにおいて正しい方向だと思っています。隣国がどれだけ「口撃」しようと日本が主権国家である以上、日本が辿る道は日本が考え、決めるわけです。先の大戦のような日本に戻るとかその延長線上だという先方の言い分は的を射ておらず、強力なけん制でしかありません。

但し、日本が何のために保守政策を強化しているのか、そのゴールを明白にし、首相自らが国民にわかりやすいビジョンを提示することが欠けていると思います。

私は今の保守政策推進により隣国のテンションを勝手に上げさせているのは外交的に得策ではないと思うのです。究極的には口にはできないけれど日米安保への疑念であり、今まで無防備で国防はアメリカに金さえ払えばあとはお構いなしという時代ではないのだという点を明白にすべきではないかと思います。(もちろんこんなことを言えばアメリカは怒り狂うでしょうけど。)

メディアのトーンも国防強化=台湾有事というイメージを背景にしたものが多いのですが、私には台湾問題は台湾と中国が決めるものであり、日本もアメリカも部外者でしかなく、ここに焦点を置くのは大きな対価を伴うことになるとみています。むしろやるなら沖縄がしっかり本土と同調してもらえるような体制づくりではないかとみています。そして政府の動きからはその傾向は明白に見えており、こちらも過渡期にあるように感じています。

隣国とはどれだけ不仲になってもコミュケーションだけは取り続けることが大事です。その点、高市氏も習近平氏も貝のように心を閉ざしてしまっています。これでは子供のケンカにもならないので双方がつまらない意地を張らないことを望みます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年6月3日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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