金持ちのコスト:外見や体裁や見栄のためにお金を使うのは幸せか

老後2000万円問題は2019年の金融庁の報告書に書かれていたものでその後、様々な議論を生んだのち、2000万円じゃなくて〇〇万円必要だ、といった話題もありました。多くの国民は2000万円の話の時には驚いたのかもしれませんが、その後は何事もなかったかのようになっています。

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その間、新NISAも出来て株価もうなぎ上りでお金に対する心配がやや後退している人が多いことはあるのでしょう。老後2000万円という数字だけが独り歩きしたようなものですが、あくまでも平均値であり、すべての国民のライフスタイルを検証し、誰にでもそれが当てはまるものではないという数多くの識者のコメントも心の支えになったと思います。

さて金持ちには金持ちのコストがかかる、という話をしましょう。銀座のホステスさん。実入りも多いようですが、蓄財できるかと言えばさほど金持ちにはなりません。何故でしょうか?銀座のホステス=社会的ステータスが高いお客さん相手=それなりの格好とそれなりの知識とそれなりのふるまいをしなければならないからです。

銀座のホステスさんの年収はだいたい数千万円程度とされます。もちろん幅があり、億を稼ぐ人もいるようです。一方、コストがかかる商売でもあります。毎日美容室に行くのはコストだけではなく、時間的制約もあるでしょう。衣装は貸衣装もあるそうですが、自前のものとなれば数万円以上するものばかりになるし、数も多く持つ必要があります。交際費の多さも突出しているし、まさか食事をするのに銀座のB級グルメに行くわけにもいかないのです。キレイにされている方々ですからそんなところに行ったら逆に目立ってしまいます。(芸能人と同じです。)そして最大の難所は個人事業主だけに客への掛け売りに対して取りっぱぐれたらホステスが払わねばならないのです。だからホステスは「良い客」と「成長株」を血眼になって探すのです。

これに似たバージョンがホストクラブのホストで、時々払えなくなった若い女性が厳しい取り立てに会い、社会問題になることもあります。銀座のクラブは一見さんお断りで、掛け売りにするにもそれなりの「お名刺の肩書」が担保になるわけですが、ホストクラブでは「お名刺」などない客が主体で客そのものを担保にするような事件も起きました。

10年ぐらい前に一度、連れていかれた高級クラブのママさんからいまだに半年に一度ぐらい「ご挨拶」と称するお誘いの封書が来ます。いったい何人ぐらいに出しているのだろう、と思いますが、そのコストたるや相当なはずで、それを個人で出しているとすればお金は貯まらないですよね。

お金は外見や体裁や見栄のために使うのは果たして幸せか、という命題を掲げたのが「The Art of Spending Money」(モーガン ハウセル著)という書籍です。外見や見栄は結局自分をよく見せ、一流で皆さんとは違うということを表現したいわけです。同様に高級車に乗る、飛行機はファーストクラス、食事も一流どころばかり…という方も時たまお見掛けしますが、私から見ると疲れないのかな、と思うのです。そういう方々は自分を持ち上げるために友人も選び、食事するところも厳選します。でもその方が本当に一流かどうかは別の問題で、単に何らかの理由で金を持っているだけ、というレベルの低い方もいらっしゃるのも事実です。

もう一冊、「The Wealth Ladder 」(ニック マジューリ著)には富の6つの階段を示しています。資産150万円以下が低所得者層で生存戦略を要す人。資産1500万円までが労働者階級で教育スキル戦略が必要、資産1.5億円までが中流階級で投資戦略が、15億円までが上流中流階級で起業戦略を、150億円までが上流階級で事業拡大戦略、それ以上が超富裕層で資産防衛戦略が必要と区分けしています。この特徴は資産が10倍にならないと階段が一つ上がれないのです。そしてそれぞれの段階でそれぞれの戦略に見合うコストがあるのです。

逆に言えばそれぞれの方の資産に見合ったレベルを維持するにはそれなりのコストをかけざるをえないとも言えるのです。アメリカの成功者がプライベートジェットで移動するのは勝者の証だけではなく、移動をいかにスムーズに、そして自分の時間を最大限活用できるかを考えるわけです。それとは全然次元が違いますが、私は普段は自分で運転するのが嫌いで、出来るだけ公共交通機関を使っています。理由はその間に作業ができて到着時間があらかじめ想定しやすいからなのです。

ポイントはそれぞれの人が持つ価値観は千差万別であること、そして自分の強みを強化するためにいかに投資ができるか、と言うことです。単にお金を貯めるためにひたすら貯金ばかりする方もいますが、それは目的意識を持った貯金なのか、漠然と貯金をしているのかもう一度見直してみてもよいと思います。もちろん、自分に投資をして更にお金が残っているのであれば貯蓄をするのは重要です。ですが、若いうちは自分に投資をし続けるほうが良く、ある時から加速度的にお金がついて回ることもあります。若くして新NISAにハマって資金をそちらにすべて廻しているという話を耳にしますが、2-30代の人がそこまでやる意味はないと思います。

老後が心配じゃないか、とおっしゃるでしょう。ある程度お金があるなら上手な投資をすることでお金が勝手にお金を増やしてくれます。私はこの10年ぐらい1円も貯金に回していません。だけど資産だけは加速度的に増え続けるのはお金に働いてもらっているからなのです。(資産が増えれば対数的上昇<LOG的上昇>になり、算術上昇<リニア的上昇>と違い、加速度が増します。)私はその代わり一定のコスト、金銭というコストに代わり、経験値と勉強というコストをかけ続けていると申し上げます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年6月4日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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