ANAの予約が消えた? 「見えない予約」とシステム移行の落とし穴

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(前回:ANAは安い客を後回しにするのか:オーバーブッキング新約款の不都合な中身

今年1月、私は5月19日以降に搭乗するANA便をセール運賃で購入した。支払いにはANA SKY コインを使い、残額をクレジットカードで決済した。

予約直後には、アプリ上で予約を確認した記憶がある。ところが旅行数日前に確認すると、予約が表示されていなかった。購入完了メールも見当たらず、購入履歴や領収書からも確認できない。

私は、予約だけして支払いが完了せず、流れてしまったのだろうと判断した。そこで同じ日程の別便を買い直した。

ところが出発当日、存在しないと思っていた最初の便について、搭乗口変更を知らせるSMSが届いた。

搭乗口が変更されなければ、SMSは届かなかったかもしれない。通知を見落としていても、予約が残っていることには気づかなかっただろう。

旅行後、SNSで似たような事例を見かけ、SFCデスクに問い合わせた。電話がつながるまで約2時間かかったが、そこで最初の予約が今も存在していたことが分かった。

原因は、クレジットカード変更に伴う「お客様番号」の変更だった。

予約は旧お客様番号に紐づいたまま残り、新しいお客様番号には自動で引き継がれていなかった。そのため、カード変更後のアプリからは予約が消えたように見えていた。

仕組みとしては説明できるのかもしれない。しかし、利用者にとっては分かりにくい。

古いカードは通常、切って廃棄する。そこに記載された旧お客様番号を、後から確認するのは難しい。利用者から見れば、旧番号も新番号も同じ自分のANAアカウントである。カードを変更しただけで、購入済みの航空券がアプリから見えなくなるとは考えにくい。

さらに、メール通知にも問題があった。

ANAには複数のメールアドレスを登録できる。私はメールアドレス1に現在使っているGmailを登録し、メールアドレス3には昔使っていたドコモの携帯メールアドレスを残していた。

古いアドレスを削除していなかった点は、私にも落ち度がある。

ただし、予約時に連絡先として指定したのはGmailだった。それにもかかわらず、予約に関する通知は、すでに使っていないメールアドレス3に送られていた。

ANA側からは、新システムへの切り替え時の混乱によるものと説明された。

結果として、予約を確認する手掛かりはほぼ失われていた。

アプリには表示されない。購入履歴や領収書からも確認できない。指定したGmailには通知が届かない。旧お客様番号は手元にない。SKY コインは減算されているが、その履歴から予約にたどることもできなかった。

今回の旅行では、別の問題も起きた。

買い直した航空券でオンラインチェックインを済ませたものの、搭乗用QRコードを発券できなかった。結局、空港カウンターに並び、紙の搭乗券を発行してもらった。

SNS上でも、ANAの新システム切り替え前後には、予約表示、会員番号との連携、チェックイン、座席変更、搭乗用QRコードなどを巡るトラブルが多数報告されている。

個々の原因が同じとは限らない。大規模なシステム移行では、一時的な混乱が起きることもあるだろう。

しかし、移行時の不具合と、移行後も残る問題は分けて考える必要がある。

指定したメールアドレスとは別の宛先に通知が送られたことや、QRコードを発券できなかったことは、一時的な混乱として解消されるかもしれない。

一方、カード変更によってお客様番号が変わり、旧番号に残った予約が新番号側に表示されない仕組みは、システム移行が終わっても残る。

これは単なる一時的不具合ではない。お客様番号が分散し、予約情報が自動で統合されないという仕様上の問題である。

自動統合には、本人確認や誤統合のリスクがあるのかもしれない。それでも、旧番号に未搭乗予約が残っているなら、新番号側のアプリに注意を表示することはできるはずだ。

カード変更時に、既存予約が新番号へ自動で引き継がれないことを明確に知らせる。旧番号に予約が残っていれば、現在の連絡先へ通知する。SKY コインの利用履歴から、関連する予約を確認できるようにする。

いずれも、特別に難しい対策とは思えない。

皮肉なことに、ANAからはセールやキャンペーン、物販に関するメールが、頼まなくても現在のGmailに届く。

営業情報を届ける仕組みがあるなら、購入済み航空券を見失わせないための通知にも、同じ程度の注意を払ってほしい。

もちろん、予約番号や決済画面を保存していなかった私にも確認不足はある。

それでも、今回の問題を個人の不注意だけで片づけるのは無理がある。アプリ、メール、購入履歴、領収書、SKY コイン履歴という複数の確認手段が機能せず、買い直した航空券でもQRコードを発券できなかった。

予約が存在するなら、利用者に見えるべきである。見せられないなら、少なくとも警告すべきだ。番号変更によって予約が引き継がれないなら、そのリスクは明確に知らされなければならない。

デジタル化は、企業が売りたいものを通知するためだけのものではない。利用者が購入したものを確実に確認し、必要な情報へたどり着けるようにするためのものでもある。

今回の問題は「仕様です」と説明できるのかもしれない。

しかし、仕様として説明できることと、利用者保護の設計として妥当であることは別問題だ。

予約は存在し、決済も完了し、SKY コインも使われていた。それでも、利用者には見えなかった。

私は、偶然届いた搭乗口変更のSMSで予約の存在に気づき、空港では有人カウンターに助けられた。

公共交通の予約確認が偶然の通知に依存し、システムの不具合を現場職員の手作業で補う状態を、便利なデジタル化と呼べるだろうか。

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