佐倉市だけの問題ではない:「成功も失敗も測れない公共事業」をどう考えるか

千葉県佐倉市では現在、総額約30億円を投じる「佐倉ふるさと広場拡張整備事業」が進められている。

この事業をめぐっては、市民による住民監査請求が提出され、先日には市民有志と議員有志による記者会見も開かれた。

住民監査請求と記者会見――ふるさと広場問題の現在地

ふるさと広場の拡張整備事業について、ついに市民からも疑義が呈されたことになる。

一方、私が問題にしているのは、事業そのものへの賛否ではない。

事業の成否を測る指標

私が問い続けているのは、「この事業は何をもって成功とするのか」という、ごく基本的な問いである。

公共事業である以上、市民の税金が投入される。

総額30億円、市税ベースでも20億円、運営費は年間6,140万円を上限とし、それが事実上18年継続される大型の観光地開発だ。

観光地開発である以上、その事業が、佐倉市に対してどのような便益・利益をもたらすものか、具体的な成果指標を設定して取り組む必要があるはずだ。

具体的には

  • 市内経済への還流効果
  • 雇用創出効果
  • 税収インパクト

などを、しっかり整理し、市民に説明しなければならない。

また、その成果をどのように測定し、仮に成果が得られなかった場合にはどのように見直すのかが、事前に示される必要がある。そうでなければ、事業の成功・失敗が測れず、見直しをすることすらできなくなるからだ。

ところが、佐倉ふるさと広場事業について議会で確認を続ける中で、それらがまったく、あるいはほとんど示されていないことが明らかになった。

さらに、ふるさと広場は既存の公園であることから、これまでもチューリップ祭りなど、人気の花イベントが開催されてきた。一方で、ふるさと広場の周辺道路は狭く、特に広場への抜け道と利用される生活道路では、イベント時には重篤な渋滞に悩まされていた。

しかし、佐倉市は、毎回「すでに発生し続けている」交通渋滞等の調査を一切行っていないことが、私の一般質問で明らかになった。

ふるさと広場は30億円かけて「拡張整備」する。当然、来場者増を目的としている。そうなると、各所で発生している交通問題は、さらに重篤なものになる可能性もあるが、それらについて調査をしていないならば、対策は後手にまわることになるだろう。

佐倉市だけの問題ではない

もちろん、行政が将来を正確に予測することは不可能である。来場者数の予測が外れることもあるだろう。経済効果の試算に誤差が生じることもある。

問題は、予測が当たるか外れるかではない。

予測が外れたときに、それを確認し、検証し、修正できる仕組みがあるかどうかである。

これは佐倉市だけの問題ではない。

近年、多くの自治体で観光拠点整備や道の駅整備、Park-PFI事業などが進められている。人口減少が進む中、交流人口の拡大を目指すこと自体は理解できる。しかし一方で、「どのような成果を目指すのか」「その成果をどう測るのか」という設計が十分でないまま事業が進められる例も少なくない。

近いところでいえば、静岡市の海洋・地球総合ミュージアムが事実上白紙になった事例などがあげられよう。この事例は、物価高騰などの見込みの甘さに加えて、当時の市長により編まれた当初計画の「見切り発車」の指摘も多い。

静岡市 海洋文化施設 白紙に 建設費高騰 契約解消へ協議(読売新聞オンライン)

静岡市 海洋文化施設 白紙に 建設費高騰 契約解消へ協議
【読売新聞】 静岡市の難波喬司市長は31日、清水港(清水区)に建設を計画していた海洋文化施設「(仮称)海洋・地球総合ミュージアム」について、事業者と契約解消に向けて協議を進めると発表した。建設費の高騰が主な理由で、契約は事実上白紙と

静岡の海洋文化施設、建設費70億増で白紙に 負担割合折り合えず(朝日新聞)

静岡の海洋文化施設、建設費70億増で白紙に 負担割合折り合えず:朝日新聞
静岡市が清水港日の出埠頭(ふとう)近くに整備を予定していた海洋文化施設「海洋・地球総合ミュージアム(仮称)」について、市は3月31日、事業者との整備契約を解消する方針を決めた。物価高騰にともなう建設…

 

公共事業の議論は、賛成か反対かという二項対立になりがちである。

しかし本来、重要なのはそこではない。

事業を行うのであれば、その成果を測定できるようにすること。市民が後から検証できるようにすること。そして、うまくいかなかった場合には見直しができるようにすること。

私はそれこそが行政の説明責任であり、健全な公共事業の前提条件だと考えている。

佐倉市で起きている議論は、一地方都市の個別案件に見えるかもしれない。しかし人口減少時代に入り、限られた財源をどのように使うのかが問われる今、この問題は全国の自治体に共通する課題でもある。

必要なのは、「作るか、作らないか」という議論だけではない。

「何のために作るのか」「成功をどう測るのか」を明確にすることである。

私は、その当たり前の問いを、これからも投げかけ続けたいと思う。

 

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