資産1億円・年収1000万円でも日本では「中流」アメリカでは「貧民」

内藤 忍

「資産1億円」といえば、日本ではいわゆる億り人として崇められます。マネー誌が「1億円を作る」特集を頻繁にやっているのはその証左です。また、「年収1000万円」を超えるサラリーマンは日本人の18人に1人です。勝ち組といっても差し支えないでしょう。

 

しかし、この「資産1億円・年収1000万円」というステイタスは、すでに日本国内において富裕層とは呼ばないレベルにまで低下しています。

その要因の1つは税金と社会保険料の壁です。日本で年収1000万円であったとしても、累進課税によって所得税や住民税さらに社会保険料がかかり、実際の手取り額は700万円台前半にまで目減りしてしまいます。

毎月の手取りで60万円稚度ですから家賃や生活費を支払えば、自由に使えるお金はほとんどありません。

その上、これだけ高い税金を納めているにもかかわらず、子育て世代には児童手当の所得制限や高校無償化の対象外などで恩恵を受けられず、生活実感は中流どころか、むしろさらに厳しい状態です。

また、資産1億円を保有していても現在のインフレ局面においてはお金の不安を解消して安心できる状態ではないのです。

1億円を国債や銀行の定期預金に預けても年間の金利はせいぜい100万円から200万円程度。物価上昇によって資産の実質価値は目減りしていく一方です。

さらに、将来の相続税や毎年の固定資産税といった各種税負担を考慮すれば、ただ資産を維持することすら容易ではないことが分かります。

アメリカのニューヨークやシリコンバレーといったエリアに目を向けるとさらにシビアな現実が待っています。

日本国内でも「中流」扱いの年収1,000万円は下手をすれば公的なサポートの対象にすらなり得る「低所得層(プア)」の部類になってしまいます。

物価水準も日本とはさらに桁違いに高くなり、住宅価格も日本の都心部以上に手が届かないレベルになっています。

資産1億円というまとまった資金があったとしても、現地で家一軒買おうとすれば頭金にすら足りないケースがザラにあります。

肌感覚で言えば、東京で家族4人が豊かに暮らしていくためには最低でも年収2000万円程度は必要になるのではないでしょうか。また老後の生活資金もそれなりの豊かな生活のためには3億円程度は必要ではないかと感じます。

もちろん必要なお金にはライフスタイルによって個人差がありますし、東京の都心部で生活しなければそこまでのお金は必要ないかもしれません。

しかし、少なくとも「資産1億円・年収1000万円は富裕層」という時代は終わりました。そして豊かな生活を実現するためのハードルはこれから益々高くなっていくことだけは確かです。

mapo/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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