G7首脳「ウクライナへの揺るぎない支援」表明

フランス東部エビアンで開催された先進7カ国首脳会談(G7サミット)2日目の16日午前、ウクライナのゼレンスキー大統領を招きウクライナ会議が開かれた。G7首脳は、ロシアの侵攻が続くウクライナに「揺るぎない支援」を表明する一方、ロシアに対しては石油・ガス分野への追加制裁を発表するなど、ウクライナ戦争終結に向けた取り組みを強化する意向だ。また、ウクライナへの長距離兵器と防空能力の供与拡大にも合意した。この支援拡大は、今年に入って戦場で健闘するウクライナ軍の新たな勢いを後押しすることが狙いだ。

G7首脳会談でウクライナ問題を協議、2026年6月16日、ウクライナ大統領府公式サイトから

イラン戦争の終結に全力を投入してきたトランプ米大統領も、ウクライナ戦争終結に向けて取り組む意向を表明した。ウクライナ問題では過去、ロシア寄りと受け取られてきたトランプ大統領とウクライナ全面支援を実施する欧州諸国との間で亀裂が見られたが、エビアン会議では欧米がウクライナ支援で結束することが再確認されたかたちだ。

ウクライナ側の優先順位は防空ミサイルの増設と生産許可、冬季支援パッケージ、そしてロシアへの圧力強化だ。ゼレンスキー大統領は同日、トランプ大統領との個別会談を行い、弾道防弾システムやミサイルの生産ライセンス取得の可能性について協議した。会議では、インフラの物理的保護のためのエネルギー支援や追加資金についても取り上げられた。参加国は、戦争が続き不足が生じた場合に備えてウクライナにディーゼル、ガス、ガソリンを支援することで合意した。

ゼレンスキー大統領は会議ではロシアの空爆後の写真やウクライナの緊急サービスが火災を消し止めている様子を紹介。G7指導者たちはロシア軍のウクライナの民間インフラ、キエフ・ペチェルスク修道院、市民への攻撃を非難した。ゼレンスキー氏は、最近ロシアの影の艦隊からタンカーを拿捕した英国に感謝の意を表し、「他のG7諸国も同様の措置を計画している。我々皆が戦争を止めなければならないと信じている。プーチン大統領だけは戦争を終わらせたくないのだ。強制しても戦争を終わらせるためには、制裁を通じてロシアに圧力を行使することでわれわれは一致している」と説明した(ウクライナ大統領府サイト)。

トランプ大統領は、現在停止中の対ロシア石油制裁の再開を示唆した。しかし、具体的な時期は明言しなかった。トランプ大統領が単に制裁を現状維持に戻すのか、それともロシアに打撃を与えるための追加制裁を検討しているのかは不明だ。ちなみに、トランプ氏はG7サミット会談前にもロシアのプーチン大統領と電話会談をしたことを明らかにし、「ウクライナ問題でのプーチン氏の考えには変化はなかった」と説明、プーチン氏には戦争終結に向けた交渉を開始するよう改めて呼びかけたと述べた。

ゼレンスキー大統領と個別会議したメルツ独首相はキエフの最近の軍事的成功を踏まえ、「ウクライナ戦争において外交の窓が徐々に再び開くかもしれない」と希望を表明し、トランプ米大統領の対応について「非常に協力的だった。欧州と米国が戦争終結に向けてあらゆる努力を尽くすだろう」と強調した。メルツ氏によれば、今週末のEU首脳会議で新たな制裁措置についても協議する予定だ。ロシアに対する21番目の制裁パッケージだ。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は戦争終結に向けた取り組みが新たな勢いを得るとの見方を示し、「ウクライナにとって潮目が変わりつつある。ウクライナは勇敢に戦線を維持している一方、ロシアの疲弊はますます明らかになっている。2026年の状況は2025年とは大きく異なるだろう」と述べた。

また、スターマー首相はロシアに対する追加制裁の目的について、「ロシアの戦争機構を停止させ、欧州大陸に平和を取り戻すことだ」と述べた。英国では70件の新たな制裁が計画されている。これらの制裁は、ロシアが石油・ガス輸出制裁を回避するために利用している「影の艦隊」に属するタンカー20隻などを対象とする見込みだ。カナダのカーニー首相も同様にロシアへの追加制裁を発表した。カナダ政府によると、ロシアの「影の艦隊」に関与する160以上の組織を対象としている。制裁対象にはロシアの兵器産業と偽情報工作に関与する組織も含まれる。

G7首脳会談のホスト国、フランスのマクロン大統領は、今回のサミットを「戦略的覚醒の瞬間」と表現した。なお、メルツ首相をはじめとするサミット参加者はトランプ大統領がサミットでウクライナ問題に対して前向きな姿勢を示したことを歓迎している。トランプ氏は「一つのこと(イラン戦争の終結問題)が終わった今、次のことに集中し、それを成し遂げることができる」と述べている。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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