天才物理学者リチャード・ファインマン氏は「レストラン問題」という数式を使った思考モデルを残しました。これは新しい店を開拓する「探索」と、すでにお気に入りの店をリピートする「活用」のバランスを数学的に導き出したものです。

ファインマン氏の結論の核心は自分の残された時間(食事できる回数)を意識し、それに応じて選択の基準を変化させるのが合理性であるという点にあります。
若いうちは人生の残された時間がたっぷりあるので失敗するリスクを冒してでも徹底的に「探索」へ投資すべきとなります。
もし早い段階で深く満足できるお気に入りに出会えれば、その後の長い人生でその恩恵を何度も受けられます。
人生の後半戦に進むにつれて「探索よりも活用」をすべきと説きます。
残された時間が限られてくれば、不確実性の高い新しいお店の発見にエネルギーを費やすよりも、これまでに厳選してきた確実に自分を満たしてくれるお店を深く味わう「活用」のフェーズへ移行するのが合理的だからです。
見方を変えれば自分はもう十分に素晴らしいものに出会えたから、これからはそれらを大切にしようと決めると考えることもできます。
年齢を重ねてもなお無限の選択肢に惑わされ、青い鳥を探し続けるのは数学的に合理的ではないということです。
この時間によって変わるトレードオフという観点はレストランの選択の問題にとどまりません。仕事、投資、そして人間関係などすべてに当てはまります。
ところがこの合理的判断とは真逆の行動をしている人が意外に多いものです。
例えば、最近の若者が「タイパ」や「コスパ」という視点にこだわり、失敗のない無難な選択をする。
若い頃の無駄とも思える遠回りや失敗こそが、未来の豊かさを得るための必要なのに最初から放棄してしまうのは勿体無いことです。
逆にシニアになってももっと良いものがあるかもしれないと、新しい情報やトレンドを血眼になって追いかけ続ける人もいます。
そうした非合理的な行動は豊かな人生を遠ざける可能性があるのです。
人生の前半戦はリスクを恐れずに徹底的に可能性を広げ、後半戦は自分の手の中にある大切な資産や人間関係を大切にする。
ファインマン氏が示したこのロジカルなアプローチを忘れてはいけません。

編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。







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