米国のトランプ大統領が、ウクライナのゼレンスキー大統領への評価を明確に変化させている。6月25日、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、ゼレンスキー大統領が長距離攻撃でロシア国内に成果を上げていると強調していることを念頭に置いたうえで、ウクライナ軍を「かなりうまくやっている。少なくとも持ちこたえている。双方で多くの死者が出ているが、彼はうまくやっていると思う」と述べた。さらに「勇敢だと言わざるを得ない。素晴らしい装備を持ち、素晴らしい兵士、戦士を抱えている」とまで言及している。これは、かつて「勝つための『カード』を持っていない」と評していた同じ人物の発言である。

プーチン大統領とトランプ大統領 クレムリンHPより
この変化は単発のリップサービスではない。G7サミット(フランス・エビアン)後の動きを見ても、トランプ氏は対ロシア原油制裁の再強化に意欲を示しており、サミット直前まで欧州の同盟国を悩ませていた「ロシア産原油カーゴへの制裁適用免除」の見直しに転じている。マクロン仏大統領も「G7としてウクライナをより強く支援することを決めた」と成果を強調した。
それにもかかわらず、一部メディアでは「トランプ=ロシア寄り」という図式が、ほぼ条件反射的に繰り返されている。トランプ氏のレトリックの強弱や、停戦交渉における駆け引き的な発言の一部だけを切り取り、「ロシアに譲歩的」という結論にあらかじめ落とし込む論調は、今回のような評価の変化を説明できない。
「ロシア寄り」論の機械的な当てはめ
トランプ政権のウクライナ政策を継続的に追っている分析者の間では、むしろ異なる像が浮かび上がっている。トランプ氏のウクライナ外交は、当初から「停戦案を提示してウクライナに圧力をかけ、ウクライナと欧州がそれを修正し、最終的にロシアが拒絶する」というサイクルを繰り返してきた経緯がある。この構造の中で、ロシア側が交渉に応じない姿勢を見せ続けるたびに、米国側の態度はむしろ硬化する傾向にあった。今回のゼレンスキー評価の好転や対ロ制裁強化への意欲も、その延長線上にある動きと見るのが自然である。
加えて、トランプ政権下でウクライナによるロシア領内への攻撃(製油所やエネルギー施設への打撃など)が活発化していることも、トランプ政権がウクライナの軍事行動を実質的に制約していないことを示している。「ロシアに気を遣って米国がウクライナの行動を抑え込んでいる」という前提そのものが、現実の戦況とずれているのである。
「トランプ=親ロシア」という色眼鏡
トランプ氏の言動には、思いつきや矛盾した発言が多く、批判の材料には事実上困らない。しかし、その場その場の発言の強弱だけを抜き出して「親ロシア」「反ウクライナ」とレッテルを貼る報道姿勢は、現実の政策の振れ幅や交渉戦術としての側面を見落とすことになる。
実際には、トランプ氏の対ロシア姿勢は一次政権の頃から続く「ディール(取引)志向」の枠組みの中にあり、ロシアが望む結果を出さない限り、米国側の態度はむしろ厳しくなっていく構造を持っている。今回のゼレンスキー評価の変化やG7後の制裁強化への意欲は、まさにその構造が表に出た一例と言える。
専門家たちが「トランプはロシア寄りだ」という結論を先に置き、そこに都合の良い発言だけを当てはめていく国際情勢分析のあり方こそ、いま一度検証されるべきではないか。







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