
サッカー日本代表のアイデンティティは「誇り」「責任」「礼節」「団結」「覚悟」。
この文字は練習場などで飾られている言葉だそうです。サッカー日本代表監督の森保監督のチームマネジメントの理念といっても過言ではないでしょう。
惜敗したブラジル戦の総括をすると、前半は日本の守備が機能していましたが、ブラジルは後半、選手を入れ替え、ビニシウスさん(レアル・マドリードのFW)を左サイドに張り付かせ、浅い位置から簡単にクロスを上げてきました。
後半はかなりブラジルが押し込み、日本は守備ラインをずるずる下げ、結果、ずっと耐える守備をすることになりました。GKの鈴木さんの再三のセーブと守備陣の踏ん張りで何とか耐えていました。そう、ロスタイムまでは。結果は1-2の敗戦。
「力負け」「かなりの差を感じた」と語る選手も多く、DFの伊藤選手は「90分ずっと守備をしていた」という印象だそうで、最後の最後、「個」の能力で押し切られましたが、世界的な強豪に対して善戦したことも確かです。
これだけのものを構築した「森保ジャパン」、森保監督が「続投」と言われても、納得する国民も多いでしょう。
完璧なマネジメント
組織マネジメントの専門家からすると、森保監督のマネジメントスタイルは非常に興味深い点が多いです。
【特徴】
- 各戦術はコーチ陣に任せ、役割分担、意思決定と全体の雰囲気づくりに徹する
- コーチにしても世代がまんべんなく、ボス的な名波浩さん、知的な斎藤俊秀さん、前田遼一さん、圧倒的な経験と分析力を持つ中村俊輔さん、欧州での経験とリーダーシップの評価が高い長谷部誠さんなど、多彩なメンバー
- 経験者や過去を知るメンバーを兄貴分的な役割(メンターなど)として引き入れて、監督・コーチ陣と選手の間の距離・コミュニケーションをとるルートを確保
こうした「一体感」のマネジメントは内外からも評価が高く、今回、マネジメントとしては完璧に近いと思われます。多くの選手やメディアが評価しています。
彼の礼節を尽くし、寄り添い、丁寧に誰に対しても誠実にしていくという森保マネジメントの本質が発揮されたと言えるでしょう。選手から「話しやすさ」「信頼感」で慕われるタイプで、欧州組の選手たちとの個別面談などを重ね、代表から外した選手へのフォローなどをしたりと、長らく丁寧に関係構築を行ってきました。
森保監督とは?
改めて知っている方が多いとは思うのですが、念のため、森保監督を紹介します。

森保一監督
JFAより
1968年8月23日生まれ、身長約174cm、血液型A。静岡県掛川市で生まれ、その後は造船業に勤務する父親の転勤に伴い、各地を転々。唐津市立鏡山小学校に入学、その後、長崎市立深堀小学校に転校し、卒業。サッカーは小6で本格的に土井首SSSでプレー。GKで全国大会に出場。土井首中学校でサッカーを続けたが、深堀中学校でサッカー部を立ち上げ、そこでプレーしました。
その後、国見・島原商と並ぶ県下の有力校の長崎日大高校サッカー部に特待生として入学。全国大会にはいけなかったものの、国体選手に選ばれ、全国を経験。視野の広さ、先を読んでパスが出せる能力、危機察知能力が評価され、社会人サッカーでサッカーを続けることに。
マツダ運輸に勤務しつつ、マツダSC東洋(マツダのサテライト、サッカー中国リーグ)、マツダ(JSL2部)でプレー。その後プロ契約し、Jリーグ開幕時からサンフレッチェ広島の中心選手として活躍しました。中盤の底の「汗かき役」守備的MFとして貢献。1994年サントリーシリーズでは広島のステージ優勝などで活躍しました。
また、ハンス・オフト監督に見いだされて、日本代表の攻守のつなぎ役としても活躍。当時高校でサッカーをしていた筆者は、キリンカップに出てきた森保選手の確実性にびっくりしたことを記憶しています。当初は「オフトの息子」と言われていましたが、元日本代表主将の井原正巳さんは「オフト・ジャパンの最大の理解者であり、体現者」(「森保一自伝ぽいち」青志社より)と語るほどでした。
その後、京都パープルサンガ、ベガルタ仙台などでもプレーしました。
現役引退後は、2004年にサンフレッチェ広島育成コーチとして指導者キャリアを開始。
- J1サンフレッチェ広島:優勝3回
- Jリーグ最優秀監督賞:3回
を成し遂げ、それが評価され、東京五輪代表監督、日本代表監督を8年前から率いています。ワールドカップなどへの出場はもちろんのこと、2019年のアジアカップ準優勝、E-1サッカー選手権は準優勝、2022年のE-1サッカー選手権優勝、2022年AFC年間最優秀コーチ賞を受賞しています。
プライベートでは、名字の同じ高校の同級生の森保由美子さんと結婚し、3人の息子がいます。カマタマーレ讃岐でもプレーした長男の森保翔平(しょーへい)、海外でもプレーした森保圭悟(けーご)は、サッカー系YouTuber集団「LISEM」のメンバーとして活躍中です。
声診断
日本声診断協会の代表理事であり「声診断」の開発者として数々の著名人の声診断で話題の中島由美子さん(株式会社ターンアラウンド研究所でもキャリアコンサルタントとして活動)に、森保監督の声診断をしてもらいました。
声診断とは、「心のレントゲンと定義します。人の声の周波数を音階に分類し、音階と人の心との相関性を視覚化したメソッド」(日本声診断協会)。声診断レポートを作ってくれました!
声診断レポート
サッカー日本代表 森保一監督
一般社団法人 日本声診断協会 / 音声心理学による分析 2026年6月
なぜ森保監督は、個性豊かな選手たちの力をまとめ上げ、これほど揺るぎないチームをつくることができたのか——その秘密は、監督の「声」に表れています。
本レポートでは、森保監督の複数のインタビュー音声から声の波形(ヴォイスプリント)を採取しました。波形を見ると、戦略について語るとき(左:ヴォイスプリント10)と、選手について語るとき(右:ヴォイスプリント11)とで、声の波形がはっきりと異なります。これは、森保監督が場面に応じて、無意識のうちに声の周波数を切り替えていることを示しています。

戦略を練るときの声——三つの周波数
アクアブルー:俯瞰する力・空気を読む力
森保監督の最大の特徴はアクアブルーです。全体を俯瞰して見る力と、場の空気を読む力を表します。チーム全体のバランスを見たうえで、自分が指示を出すのではなく、選手一人一人が自発的に力を発揮し、全体が自然とまとまっていく——いわゆる「ティール組織」を促す周波数です。実際に監督は、選手はすでに突き抜けているのでモチベーションを上げる必要はない、と語り、指示型ではなく選手の自発性を信頼するスタイルを貫いています。
ネイビー:戦略と洞察・プロデューサーの目線
次に強いのがネイビーです。戦略や先を見抜く力、いわばプロデューサー的な目線であり、監督業に必須の周波数です。森保監督は週に20〜30試合もの映像を分析し、土台となる考え方から、攻守の原理原則、対戦相手との噛み合わせまでを段階的に積み上げ、複数のプランを用意して、試合中に選手が自然と連動できるよう設計します。自分が表に出てカリスマ性で引っ張るのではなく、裏方に徹してチームのお父さん・お母さん的に見守る——その深い洞察力が、このネイビーに表れています。
バイオレット:真ん中力(中立とぶれない軸)
鍵となるのがバイオレットです。これは「真ん中力」——いろいろな意見が出るなかでも常に中立的な立場を取り、自分自身もチーム全体も客観的に俯瞰できる力です。どちらにも偏らず、常に真ん中にいるという姿勢が安定感の源であり、選手一人一人の力を引き出す源になっています。批判をもすべてポジティブに変換していく柔軟さ、「ぶれない」と評される一貫した軸が、この周波数の現れです。
なぜ最強のチームをつくれたのか——采配とマネジメント
森保監督の采配の核心は、日本人の強みを最大限に引き出すことにあります。個々の技術力に加え、互いに察し合い、合わせ、つながる能力。そして、状況が悪くても粘り強くやり続ける力。興味深いのは、監督が当初の「日本の良さを出せば勝てる」という発想を、代表での経験を通じて「まず世界基準の力を備え、その上に日本の良さを上乗せする」へと逆転させたことです。短距離型で圧倒してくる強豪に対し、粘り強く食らいついて「マラソン型で最後に勝つ」――この設計こそが、世界と渡り合う土台になっています。
その成果が最も鮮やかに表れたのが、2022年のワールドカップでした。ドイツ戦では試合の流れを見て後半から布陣を変え、堂安律・浅野拓磨のゴールで逆転勝ち。スペイン戦でも、いわゆる「三笘の1ミリ」から田中碧が決勝点を奪い、優勝経験国を相次いで破ってグループ首位で決勝トーナメントに進みました。準備した複数のプランを、試合中に選手が自然と実行できる――ネイビーの設計力が結果に直結した好例です。
同時に、森保監督は選手一人一人を大切にします。メンバーから外れる選手には、ミーティングの前に個別で丁寧に理由を伝え、心を整えてから臨めるよう配慮する。かつて不調に苦しむ選手の話を1年以上にわたって聞き続けたエピソードもあり、関係者からは「聞く天才」とも称されています。出場機会のない選手からさえ不満が出ないほどの厚い信頼は、この姿勢から生まれています。
選手を語るときの声
選手について語るときの波形(右:ヴォイスプリント11)は、全体が調和した、バランスの取れた美しい円を描いています。これは、森保監督が人を常に「真ん中」で見て捉えていることの表れです。選手一人一人を丸ごと受け入れ、いいところも悪いところも、すべてを含めて見ている――その姿勢が、この整った波形になって現れています。
チームをただまとめるのではなく、一人一人を丸ごと受け入れ、その良さも課題も含めて、最大の才能として伸ばしていく――そんな資質が、選手を語るときのバランスの取れた円グラフに、くっきりと表れています。
まとめ——二つの周波数が、最強のチームをつくる
戦略を語るときの「真ん中力」(俯瞰・洞察・ぶれない軸)と、選手を語るときの「丸ごと受け入れる調和」。この二つの周波数が重なり合うことで、強い個性を持つ選手たちが自発的に力を発揮し、全体が自然とひとつにまとまる土壌が生まれています。
日本代表が8大会連続で世界の舞台に立ち続け、「過去最強」と呼ばれるまでになったのは、まさにこの二つの声が支える“揺るぎなさ”ゆえでしょう。森保監督がこの「真ん中」の周波数を保ち、選手一人一人の声が共鳴できる場を整え続ける限り、このチームはこれからもさらに強くなっていくはずです。
以上が声診断結果です(中村敬斗さん、堂安律さんも声診断をしています。興味がある方はご参考に)。


森保監督の他己評価
多くの人からその人間性を評価されている森保監督について、改めて整理していきましょう。
【選手としての評価】
- 三浦知良さん「チームのために自分を犠牲にするところが最も優れていた部分」「自分のできることを極めた選手。確実性を持ち、調子の浮き沈みがなく、とても安定感のある選手」(「森保一自伝ぽいち」青志社より)
- 故・今西和男さん(マツダ、広島時代の恩師)「何事にも一生懸命な姿勢」(「森保一自伝ぽいち」青志社より)
- 福田正博さん「手を抜くことは決してない。文句を言わず黙々とプレーする」(「森保一自伝ぽいち」青志社より)
【行動特性】
- 温厚でまじめ
- 誰に対しても分け隔てなく接する「気遣いの人」
- 周囲への細やかな配慮が習慣化されていて、実践している
- 礼儀正しく謙虚で、人との縁や恩、支えへの感謝を口にすることが多い
- 自分を「平凡」「雑草」と見なし、地道に努力する
- 少年期から負けず嫌いで、試合では勝負に徹する「負けん気の強さ」
- 穏やかな人柄ながら、勝負の局面では冷徹な決断を下す、勝負師の面もある
特に、長年、日本サッカー代表を応援してきた中心メンバーの植田朝日さんを中心に行われたスウェーデン戦前夜の決起集会に顔を出すところなどにも、恩義・仁義に厚い森保監督の人柄が現れています。
森保リーダーシップの不安点
今回も素晴らしいチームを率いましたし、頑張ってきました。大変な苦労だったと思います。そして、周りへの配慮を欠かさない、サポーターにも常に感謝を示す態度など、人間性としては完璧ともいえる森保監督ではありますが、課題もあります。
【課題】説明責任:メディアからの厳しい質問にまともに答えない
厳しいジャーナリストからの質問に対しては、嫌な顔をすることが多いです。理由も丁寧に説明をしないし、はぐらかす感じの発言も見られ、世界で活躍する守田英正選手を外した理由も納得のいく説明はされていません。そのほか選手へのプレーの指示、対応、思考などについて説明責任を果たしているのか? というと、かなり疑問と言えるでしょう。「優勝を目指す」と言いながら、今回もベスト32で終わってしまいました。目標は未達成でしたが、その総括説明も不十分に感じます。
サッカーYouTuberであり、東京都社会人サッカー連盟1部・シュワーボ東京の監督兼オーナーのレオ・ザ・フットボールさんに言わせれば、会見では「アドリブ力が弱いので、準備できない、勝てない場面はできるだけ避ける」と、その勝負における戦略性を推察しています。
日本代表監督として説明することは、「社会的責任」です。単なる1チームとしてはさておき、ここまでくると、「公的存在」でもあるのです。サポーターもその采配について聞きたいはずです。その意味でとても残念です。能力的には自分の言葉で答えることができるはず。「あー」「うー」など考えながらでも、話してもらいたいものです。
続投する方向性のようですが、一層の成長を期待しています。大変お疲れさまでした。







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