最近あまり話題にならなくなったテレワーク。実態としては一定のレベルで定着したようです。日本ではフルタイムベースのテレワークの人(=会社にほとんど来ないで仕事をする人)は比率的には2%前後で業務の一部がテレワークという人が2割程度と言うのが大雑把な統計の数字であります。

chachamal/iStock
私の知り合いが日本のある広告代理店の子会社に転職先が決まったというのですが、出社は月に一度でよく、副業OK、勤務時間は朝5時から夜10時の間で7時間を選ぶようになっていてこれは天国だと本人は喜んでいます。
若い方を中心にリモートワークへの支持は8割を超えるとあり、多くの人は在宅勤務を望んでいる実態が見えてきます。
先日、初めて取引するカナダの会社の事務所に挨拶に行ったところ、20人分ぐらいの座席や個室がある大きな事務所だったのですが、事務所で働いていたのは私が挨拶に伺った人たった一人。他の人はリモート業務なのだと思いますが、事務所を維持する必要があるのか、不思議でした。また先日、私の会計士の事務所に資料の届け物があるので行きたいのだが、と会計士に伝えると「ちょっと待って。今日は事務所は誰もいないから明日の〇時から〇時の間に来たら誰かいるよ」と言った具合。
私が業務を外注する場合には外注先は専門性を生かしてレポートなり成果品を作るわけですが、それがどういうプロセスを経て作成されているかは私には関係ありません。そのレポートや成果品が価値あるモノであればよいわけです。これを煎じ詰めるとどうなるか、といえば〇〇株式会社と仕事をしているという感覚はなく、〇〇さんと仕事をしているという意識になります。
会社とは組織力があり、一人の人ではできないことをより専門性がある組織や関連部署がサポートしながら一つの成果物を皆で作る、これが今までの常識でした。ところが情報は組織内の人から取る時代から自分でいくらでも調べられる、あるいはAIが答えてくれる時代になり、組織の横のつながりが不要となったとも言えます。
私が思うのは会社とはある業種やビジネスにおけるプラットフォームを提供するところであり、社員はそれに乗っかりながら顧客や社内からの業務を引き受けていく流れになったわけで組織力を必ずしも必要としない業種が明らかに増えたということでしょう。特に事務職はそれが顕著になって来たとも言えます。
お前はどう思うのか、と言われると事務所と家は分けて考えています。私のわがままを言わせてもらえれば家に仕事を持ち込みたくないという気持ちがあるのです。気持ちの区切りは明白にしておきたいと思っています。もちろん、私も6-7割の仕事はパソコン一つで出来るので家で仕事をしようと思えばある程度はこなせます。それでも会社の事務所に行くのは私の業務がコマ切れ状態にあるからです。
例えば前述のレポートを作るという業務だけをするなら資料さえあれば誰とも会わず集中して作業する方がよいのでリモートワークの方が向いているでしょう。ところが私の場合は業務の種類が多種多様であり、スタッフが事務所に出入りするし、電話も鳴るし、来客もある…となれば業務効率を考えれば事務所に行く方がベターなのです。
日本の企業の場合は会議による合議制を取っています。ある人が決定権を持って一人で勝手に作業をすることはほとんどないのです。会議や打ち合わせのために人がリアルで顔を合わせる必要はある程度は必要になるのです。ちなみに会議をオンラインでやると捗るか、と言えば会議そのものは成立しますが、何もしゃべらない人の真意を推し計ることができないのです。私もオンライン会議は年中やっているのですが、仮に参加者が10人いてもしゃべるのは数人のみで残りは「壁の花」ならぬ「画面の花」になってしまうのです。
先週、ハイブリッド会議があり、私はオンライン組だったのですが、会議の7割はリアル出席者同士のやり取りでいろいろな声が入り混じり、誰が発言しているのかも定かではありません。私はオンラインの方ですからまさに「画面の花」で黙って聞くしかありません。司会者が「オンラインの方、何かありますか?」と言うのを待ってオンライン組が順番に発言させてもらうという形にならざるを得ないのです。これでいいっちゃいいのかもしれませんが、会議の主題に隠れた参加者のつぶやきが分からないので臨場感を含めた達成感は低い気がします。
オンライントークは1対1ないしせいぜい3人ぐらいまでなら効率の面では問題ないと思います。あとはご自宅の環境が本当に業務に向いているのか、もあるでしょう。家で仕事ができないからコーヒーショップを転々とするという方もいます。1人オフィスというところも日本でも北米でも増えています。このような働き方の変化が可能になったのはもちろん、コロナがきっかけでAIが進歩したことが最大のトリガーだと思います。しかし、これの行きつくところは個人個人の能力が問われるということであり、会社も情は入りにくくなるかもしれません。ドライな人間関係となるかもしれませんね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年7月13日の記事より転載させていただきました。







コメント