お通じがいい人は、転ばない。はぁ?って思っただろ

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(前回:メジャーリーガーが転ばない理由、教えてやろうか?

「お通じ」と「転倒」。この二つが手を組んでると聞いて、君は今「関係なくない?」と思った。ぼくもそう思った。だが現実は非情だ。

イギリスの研究によると、慢性的にお通じの悪い高齢者は、そうでない人より転倒率が1・4倍高い。1.4倍だぞ。誤差で片付けられる数字じゃない。腸と足、まさかの共犯関係だったわけだ。

でも待て。関係してるのは「足」じゃない。

ここがミソだ。カギは、トイレで「いきむ」あの瞬間にある。

便が出にくいとき、人は無意識に息を止めて、腹にグッと力を込める。顔が赤くなるほど力んだこと、あるだろ。あれ、体の中では血のめぐりが一時的にバグってる。急に力むと頭に行く血が減って、軽い低血圧状態になるんだ。

そして——事件は立ち上がった瞬間に起きる。

やっと出た。ほっとする。立ち上がる。その刹那、足に力が入らない。あるいは、くらっとめまい。……で、転ぶ。医療や介護の現場じゃ「トイレから戻らないから見に行ったら倒れてた」なんて話、まったく珍しくない。日常の裏に潜んでる罠だ。こわいだろ。ぼくもこれ知ったとき、正直ゾッとした。

だからこそ、便をためこまない。これがもう立派な転倒予防なんだよ。「最近お通じ渋いな」と思ったら、水分を多めに、食物繊維を意識する。腸内環境が整うと歩行速度やバランス能力まで上がるって研究もある。腸、どこまで有能なんだ。

朝1分。「腸もみ体操」でととのえろ。

「食物繊維とかそういうの、出りゃ苦労しねぇんだよ」——わかる。痛いほどわかる。お通じは正論だけじゃどうにもならん。

そこで物理で殴る。名付けて腸もみ体操。

やり方は拍子抜けするほど簡単だ。

立った状態で、おへそに手を当てる。そのまま、おへそを中心に、時計回りに大きく「の」の字を描くように手を回す。だいたい10周。以上。終わり。

コツは「強く押すな」。お腹が1〜2センチ沈むくらいの、やさしい力でいい。ゆっくり呼吸しながら、なでるように。触ってみて「ここだけ硬い」「ズーンと重い」と感じる場所があったら、そこが渋滞ポイント。出口へ運ぶイメージで、丁寧にほぐしてやれ。

これ、いきみ転倒を防ぐだけじゃない。腸がゆるむとお腹の重さが抜けて、呼吸が楽になり、背すじがすっと伸びる。猫背は転びやすい姿勢の代表格だから、それが直るだけで足も上がりやすくなる。おまけに腸は「第二の脳」。副交感神経とがっつりつながってて、お通じが整うと体までリラックスする。つまり腸もみは、その場でできるストレスケアでもあるってわけだ。

朝起きて、たった1分。「の」の字を10回。それだけで、転ばない一日が始まる。……で? まだ読んでるのか。手はもう、おへそに当てたか? 早く回せ。話はそれからだ。

※ここでは、本編のエピソードをラノベ調コラムに編集し直しています。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

ストレスゼロで一生歩ける! 5ミリの壁体操』(福嶋尊著)サンクチュアリ出版

<書籍評価レポート>

■ 採点結果
【基礎点】  40点/50点(テーマ、論理構造、完成度、訴求力)
【技術点】  20点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】  20点/25点(独創性、説得性)
■ 最終スコア 【80点/100点】
■ 評価ランク ★★★☆ 水準以上の良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】
テーマの着眼点:「水分」「噛む力」「お通じ」という誰もが素通りする日常習慣を、すべて「転倒予防」という一本の軸に結びつけた発想が新鮮で、高齢者本の類書と明確に差別化されている。

具体性と実践性:「体重×30㎖」「わきの下チェック」「の字の腸もみ体操」など、読んだその場で試せる指針が明快で、読者を行動に移させる訴求力が高い。

【課題・改善点】
エビデンスの提示:「筋力5〜8%向上」「転倒率1.4倍」など数字は登場するものの出典や条件の説明が薄く、根拠の裏づけをもう一段丁寧にすれば説得力が増す。

構成の均質性:各テーマが独立した読み切りとして完結している反面、章をまたぐ全体像や優先順位が示されにくく、通読時の設計をもう少し明確にできる余地がある。

■ 総評
本書は、転倒予防という一見地味なテーマを、水分・咀嚼・排便という誰もが持つ日常習慣から解きほぐした実用書である。着眼点の妙と、その場で実践できる具体的指針が最大の強みであり、医療現場の実感に裏打ちされた一人称の語りが読者との距離を縮めている。

エビデンスの提示や全体構成にさらなる精緻化の余地はあるものの、それは本書の実用的価値をいささかも損なうものではない。むしろ「口や腸が足元を守る」という予想外の視点は、健康本を読み慣れた読者にも新しい発見を与えるだろう。理屈より先にまず一度手を動かしたくなる——そんな本書の良さと価値は、読んでもらえればきっと伝わるはずである。

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