柔道家はなぜ、転んでも壊れないのか

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(前回:「どうせ転ぶんでしょ?」と、あなたは笑うかもしれない

種明かしをしよう。

ぼくの整骨院には、山ほどスポーツ選手が来ていた。その中に、転倒で大ケガをしない人種が、はっきりいた。それは、柔道経験者だ。

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彼らが人より転ばない、わけじゃない。むしろ普通に転ぶ。

違うのは――転び方。ただ、それだけ。そしてこれ、才能じゃない。今夜からあなたにもコピーできる。

うしろに倒れる? なら「あご」を引け

まず、うしろ向き。守るべきは頭。以上。

やることはひとつ。あごを引く。鎖骨に押しつけるつもりで、ぎゅっと。

理屈はシンプルだ。

体を棒みたいに伸ばしたまま倒れると、後頭部が地面に直撃する。衝撃、一点集中。最悪。

でも体を丸めれば、頭より先に背中と肩が着く。衝撃はそこへ散って、さらに「ゴロン」と転がる動きで逃げていく。柔道の受け身、まんまこれ。

この一手で、頭を打って死ぬとか、脳出血で後遺症が残るとか、そういう最悪を防げる。
たった、あご一個で。安いものだ。

布団の上で、今夜やれ

「そんなの咄嗟にできるわけ……」

できる。人間は一度でも体を通した動きを、意外と覚えている。完璧じゃなくていい。

やり方、布団の上限定。

①しゃがむ
②あごを引く
③そのままうしろにゴロン。

以上。三行。

「布団に入る」というただの就寝が、いきなり護身術の稽古に化ける。今夜からだ。今夜から。

前に倒れる? なら「ひじ」を曲げろ

前のめり。人は反射的に手のひらをつく。あれ、危ない。

手のひらだけで受けると、体重の数倍が手首に集中する。ボキッ、だ。

コツは、衝撃を「点」から「面」へ。

うでを突っぱらず、ひじを曲げる。するとうで全体がクッションになって、衝撃をばらけさせる。

「いや、それうでの付け根、折れない?」

——鋭い。1章でも言った、ひじから落ちれば付け根はやられる。でもな、圧倒的に折れやすいのは手首のほうなんだ。寝たきりに直結する大ケガを避けたいなら、ひじを曲げて倒れる。これが正解。

横向きに倒れて足の付け根を折る、なんてパターンもある。そんなときも、うでで衝撃を受けられれば、歩けなくなるほどの骨折は避けやすい。

これも布団で試せる。手のひらだけ、とうで全体。「衝撃、こんな違うのか」と体が勝手に理解する。理屈より、体。体は嘘をつかない。

※ここでは、本編のエピソードをラノベ調コラムに編集し直しています。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

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