イラン戦争 第二幕の行方:世界的物価高再び

日本の皆さんはトランプ氏が吹っ掛けたこの戦争についてどう思っているのか、是非伺ってみたいところです。私個人の考えとしては戦略がほとんどなく、拙攻以下の思いつき戦争でバカバカしさを通り超えて唖然としているぐらいであります。せっかく、一旦停戦の調印がなされ、外交的手段によって解決を見出そうというところまでこぎつけたにもかかわらず、我慢できない双方が再び戦火を交える留まるところを知らない状況になっています。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

第一幕の時はイスラエルが支援したものの国際世論は冷めきっていました。第二幕ではイスラエルでさえ現状、参戦しない予定であります。ではアメリカに勝利の機運があるか、と言えばイランに一定のダメージを与えることは出来ても体制転換もできないし、イランが素直に諦めることはまずありえないと考えています。つまり第二幕を本格的にやれば泥沼になる公算があります。

トランプ氏ほど頑なで独裁的、かつ極めて思慮に欠いた行動をする指導者も近年まれではないかと思います。その氏がイランへの大規模攻撃を決定するならばかつてのベトナム戦争やアフガン戦争で経験したことと同じぐらいのダメージとなり、最終的に撤退を余儀なくさせられるだけであります。それも「名誉ある撤退」ではなく「不名誉な撤退」です。

アメリカにはかつて日本軍を屈服させた成功体験が今でも強く残っているとみています。それは終戦後、驚くほど日本人が従順でGHQの兵士が襲われることもなく国家再建が進んだ点です。天皇制度を維持し、昭和天皇を裁くこともなかったことが再興のカギの一つであったことは間違いないでしょう。ところが今回、アメリカはイランの最高指導者ハメネイ師をさっさと殺害してしまったことでイランの保守派を中心とした国民の怒りを買い、復讐を誓わせてしまったのです。それでも第一幕では一旦は停戦にこぎつけたもののイラン国内が分断し、政権と革命防衛隊の力関係が不一致となったことは無視できません。

日本も第二次大戦前、文民派と軍部の激しい衝突が起き、最終的に軍部が主導権を握ったわけで、今回、イラン政権が革命防衛隊を抑制できなければ中東戦争に拡大してしまうリスクもあります。

では第二幕のリスクファクターを考えてみます。

  1. まず、戦火が切って落とされればホルムズ海峡を通過したい商船やタンカーは皆無になるでしょう。またイラン革命防衛隊がフーシ派と協力してバブ エル マンデブ海峡を封鎖しつつあります。この2つの海峡が封鎖されれば石油の輸送は極めて困難になります。スエズ運河から地中海経由のルートになるのですが、スエズ運河は超大型タンカーは通行できません。よって欧州はともかく、アジアの原油事情が再度、ひっ迫してしまう公算はあります。ホルムズ海峡封鎖だけなら原油市場はより冷静に対応できたと思うのですが、紅海ルートが閉ざされると話は別です。
  2. アメリカの政局不安。現状、中間選挙の下馬評は下院は民主党有利(80%の確率とも)、上院も民主党にひっくり返される公算が出てきたとされます。仮に両院でブルーウェーブとなればトランプ氏は手足をもぎ取られることになり、政権主導の法案はほぼ通らなくなるとみられ、今後2年間のアメリカの停滞の要因となります。ただし、外交では自由度が高いため、トランプ氏がレガシーづくりで全く予想ができない展開も無きにしも非ずです。
  3. 武器弾薬は足りるのか?トランプ氏の大規模攻撃がどの程度の規模でどの程度の期間を想定しているのか全く分かりませんが、武器弾薬の在庫はトマホークやTHAAD、パトリオットなどで厳しい状態が続いており、あまりに長期になれば戦闘継続が困難になる可能性があります。となれば上述の不名誉な撤退の一因となりえます。さらに世界情勢のリスクとしてアメリカの戦力がイランにくぎ付けになっている間に他地域で紛争が起きた時、全く対応ができなくなるとも言えます。
  4. 世界的物価高再び。これはボディブローのように効いてきます。物価が上がっても経済成長が伴えばよかったのですが、北米でも疲弊感が出てきた現状、世界経済の逆回転リスクには要注意です。

夏が終わると〇〇ショックがやってくる、と言いたくはないですが、今年の秋は波乱要因はあるかもしれない点は頭に置いておいた方が良いかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年7月24日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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