AI花盛りで書店に行けばAIの活用本がずらりと並びます。私も一冊購入しましたが、それぐらい身近なものになったと言えます。この手の本の購入はかつてエクセルを使えないと仕事人にならないと言われ、エクセルの技本を購入して以来ですからそれぐらいインパクトがあるのでしょう。
さて、AIブームと言ってもよい昨今ですが、何がブームなのか、その立ち位置や期待度により評価は変わってきます。例えば産業ベースであれば受注残を含め、また当面は大丈夫だという強気の声がほとんど。半導体関連のダイフクの社長はあと2年はブームが続くと述べていますが、これは受注状況からそう見ているのでしょう。
では半導体の大消費企業であるマグニフィセント7はどうかと言えばこれが見事に真逆の動きとなりそうなのです。きっかけはアルファベット社(グーグル)の決算発表でした。4-6月決算でクラウド部門の売り上げは82%増と爆増だったのに株価は7%下げました。理由はAI投資が大きすぎてフリーキャッシュフローが上場来初の赤字になったことを嫌気したのです。
同様にテスラも売り込まれました。マグ7で唯一AI投資が鈍かったのがアップル社ですが、そのアップル社の株だけが買われている現実を見るにあたり、投資家の間でAI投資は悪であるという逆転現象が起きかねない状態にあります。今週、マグ7各社の決算発表が続くのでそれに対する株価反応は要注目です。仮にこれがトレンドだとすれば投資家の意向、株価の行方を気にする経営陣はその戦略転換に舵を切る可能性も出てきます。

イーロン・マスクスペースX会長兼CEO兼CTO
各社何故巨額投資を断行するかと言えば勝ち抜き合戦であり、ディファクトスタンダードを勝ち得た企業の総取りをシナリオに描くからです。今、無数とは言わないまでもAIを手掛ける企業はごまんとあります。例えば日経ビジネスによると富士通は公開情報を資料に取りまとめるのはアンソロピックのクロードを、秘匿性の高い情報は自社AIを使っています。これは一例で他にもAIのそれぞれの特徴をうまく組み合わせながら良いところどりをする傾向はこの業界では常識ともいえ、使われるAI企業側からしてみれば一つのAIで抱き込みができないもどかしさはあるでしょう。
その中でAI収益化までまだまだ先が長い中で今の尋常ではないレベルの投資は私はEVブームの終焉と同じ結果を招く可能性が出てきたとみています。それは2つの意味を内包しています。1つは競争の激化、1つは需要側の市場が想定通りにならないことであります。
AIブームが逆回転すると一気に関連投資が冷え切ってしまいます。特にデータセンターとそれに伴う電力供給インフラの激しい落ち込みです。日本の半導体関連メーカーも基本的には受動的ビジネスであり、発注元があっての部品メーカーであります。発注元が「やーめた」と言えばそれまでなのです。そして今のドライな社会において朝令暮改など当たり前。その理由を正せば「その時はそれが最善だと判断したが、今は違う」と言うわけです。我々は「いい加減な話だ」と切り捨てますが、世の中のスピードが朝令暮改でも追い付かないほどだとも言えます。
お前はどう見ているのか、と言えばあくまでも需要側の立場に立てば「前菜が終わってメインディッシュ待ちかな」でしょうか?つまり日進月歩、どんどんバージョンアップされるAIに正直ついていけている人はその分野の人だけで、一般人は取り残されつつあるという事実であります。
冒頭、私が今更ながらAIの実用本を購入したと申し上げました。スマホを介してAIを利用するレベルでは市場にはほぼ浸透し、次のレベルに向かうところにあるわけです。しかし、それはエクセルの時に比べ1/10とか1/100規模だと予想しています。なぜならAIを実装することを理解するのはそれをする担当者だけで十分であり、社員全員がそれをやる必要性は端からないからです。
とすれば今のAIブームは第一次ブームであり、とりあえず「AIの市場浸透」と言う目的は達成しつつあるとも言えないでしょうか?よって次の第二次ブームである「より身近で多くの人々が実用面で欲するような市場形成」ができるまでの踊り場になるのではないでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年7月27日の記事より転載させていただきました。







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