国によって異なる国旗の扱い
日本では、日本の国旗を傷つける行為を禁じる国旗損壊処罰法が成立しました。
この法律では、「著しく不快または嫌悪の情を催させる方法」で公然と国旗を損壊した場合、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科すとされています。お子様ランチの旗を捨てるとか、漫画の中で国旗を損壊するシーンなどは例外のようですが、ライブ配信やSNSでの扱いは微妙なようですね。
しかし、国旗の扱いというのは、実は外国でも国によって結構違っていて、必ずしも国旗損壊罪があるというわけでもありません。
私が『世界のニュースを日本人は何も知らない』で解説しているように、お国柄の違いがかなりあります。
例えば、私が住んでいるイギリスの場合ですが、国旗(ユニオンジャック)の損壊・冒涜を直接禁じる法律はありません。
イギリスでは行為の「意味合い」を問う
国旗自体を損傷する行為では犯罪に問われないのですが、問題はその意味合いです。例えば、特定集団を侮辱する意味合いだと、公共秩序法違反として公共の秩序を乱した罪に問われますし、対象とする団体や個人に対する差別としても扱われます。すでに存在する法律で、行動の意味合いを考慮した上で犯罪にする仕組みです。
確かに国旗を損傷する際は、何かの目的があるわけですから、理にかなっていると言えるでしょうね。
そして、過激なデモやテロ行為をあおるような行動の一部として国旗を損壊する場合は、テロ支援罪に問われます。
このように、「国旗を損壊する行為の意味合い自体を問う」というところは、行動の根源的な部分を問題視するやり方です。
あくまで象徴の印である国旗の損傷よりも、行動の方が重要であるとする実証的な考え方は、非常にイギリス的だと思います。
ユニオンジャックへの思い入れが薄い理由
実はイギリスは保守的なように見えて、意外と実質的な国で、普段から国旗を掲揚したり、国旗に対して何かを誓ったりすることがほとんどありません。
ユニオンジャックはパブや街中ではデコレーションのためによく飾られていますが、あれは、はっきり言って愛国的な意味はあまりありません。

OGULCAN AKSOY/iStock
実は日本の感覚からすると、かなり軽い感じでユニオンジャックを飾っています。バンドのアルバムジャケットなんかにもよく使われますね。まあ、それからよくあるものとしては、紅茶の茶器のデザインに使われています。あれも愛国だからというよりも、かわいいから使っているだけなんですよね。
なぜそんな調子かというと、イギリス人を見ていると非常によく分かります。
そもそもイギリスは連合王国なので、イングランドとスコットランドとウェールズと北アイルランドが合わさった国です。連合王国というのが正式名称です。
ですから、イギリスという国への意識は実はかなり薄く、各地方の地元意識の方がはるかに強いです。
したがって、ユニオンジャックに対する思い入れが、全体としてはあまりないんですよね。あまりというより、ほとんどない感じです。
したがって、ユニオンジャックに対する感覚が普段からカジュアルなので、国旗損壊罪がないのではないかと思います。
一応、そういう法律を作るべきだという声もあったのですけれども、結局、他の法律で罪に問うことができるので、二度手間になるから必要ないのではないかという声もありました。
日本の新法に残る疑問
今回の日本の法案は可決されたわけですけれども、しかし、すでに存在する他の法律との整合性はどうなっているのか、二度手間ではないかということが、国民の意見も踏まえて十分に議論されなかったように思います。
もちろん、日本の国旗を持ち出してきて嫌がらせをしたりする外国人がいるので、それはよろしくないとは思うのですが、そういう人を罰する法律がすでにあるわけですから、そちらの法律を使って、特に公共の秩序を乱すような迷惑ユーチューバーなどを逮捕していただきたいものですね。なぜそういう人は放置されているのか、私にはよく分かりません。政府は何をしたいのでしょうか。
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