高市首相が今週にも食品消費税1%の政府案を提示する方向だと報じられています。国会が終わり、首相としては目論んでいた主要法案は議員削減法案以外はほぼ通過し、所定の目標を達成したため、いよいよ本丸の消費税に手を付けるということでしょう。

会見する高市首相 首相官邸HPより
この話は高市氏が就任当初から国民会議にかけて議論をして検討してもらい、それを踏まえて判断するというスタンスでした。国民会議は当初のメンバーの選定からいろいろな意見が出たうえに、小野寺氏がまとめきれませんでした。その上、この減税案は当初はチームみらい以外すべての政党は賛成だったのです。それが最後になって野党は参政党以外反対という分裂の結果になったのは小野寺氏の手腕に大きな疑問がついたと考えています。
ただ、数週間前にこのブログで「高市氏は強行突破しそうだ」と述べました。当時、何故そう考えたか、と言えば高市氏としては「約束こそしていないけれどそれが自身の支持層のベースになっている」と考え、今、それを撤回するようなことをすれば支持率は極めて大きな下落、ひいては自民党への信認の問題が生じると考えたとみたからです。言い換えれば自民党内にある財務省VS反財務省派の戦いにおいて財務省側を利するのは絶対に不利である、ととっくの前から内心、決めていた節が見えるのです。つまり国民会議は実質形式的なもので、いかにそれを実行するか、その術とタイミングを見計らっていた、と考えています。
夏休み中は外交が静かになる時期なので国会も終わり、今は確かにちょうど良いタイミングであります。
この食品消費税、なぜ議論を呼ぶのか、いくつかポイントがあります。
- 導入する手間とコスト
- 2年の時限とする意味
- 8%⇒1%になれば7%ポイント下がるはずだが、実質的にはそうならない公算があること
- 2年の期限が迫った時、実質7%ポイントの増税感が出ること
- 給付付き減税と食品消費税減税に関する中間層のメリットデメリットが見えないこと
- 財源問題
ざっと思うだけでもこれだけ上がります。(AI君に聞いたわけではありません。)
あえて高市氏の味方をするならば野党と国民のより一層の理解を得るためには5番と6番を明白にすることが先決だと思います。そしてもしも財源確保ができるなら恒久減税にすべきと考えます。食品に対する税は諸外国ではゼロにしているところは多いのです。アメリカ、カナダ、英国、オーストラリア、韓国…。食品消費税は国民生活の最低限の保証という意味で政府が最大限の努力を見せるべきであり、貧富の差が目立つ国ではゼロないし、実質ゼロ、ないし応分の支援策がある国が多いのです。日本はその仕分けをせずに一緒くたにしてほとんどの消費財に消費税がかかるようにしたのは当時の自民党の財務省派の力技だったと思います。
では財務省が渋る財源ですが消費税をゼロにすれば年間約5兆円の財源が必要とされます。その財源はないわけではないと思うのです。例えば25年度の税収は3.5兆円上振れしました。理由は物価高による企業景気が良く、法人税収入をはじめ、すべての主要歳入源で上振れています。さらにそれ以外に外為特会や日銀のEFTを通じた「儲け」もあります。よって5兆円は巨額と言いますが、いわゆる日本政府や日銀が持つ資産をベースにした利益/利潤は極めて大きなものであり、5兆円程度なら捻出は不可能ではない気がします。ただし、そんなことは財務省は口が裂けても言わないのです。これが民間企業ならやるでしょうね。役所だから保守的にとらえるのだと思います。
一方で私が食品消費税を減税するメリットを感じないのは何故か、と言えば日本の物価高は必ずしも食品が主体ではない気がするからです。今回も東京で様々な消費をしてきました。特に高いと感じたのが宿泊や観光地の出費、サービス出費が気になりました。また賃料の上昇や建築費、不動産の上昇も一般社会にもっと大きな影響が出ています。世の中、携帯電話をはじめ生活必需品も高級化が進み、応分の高価格化が当たり前となりそちらで財布を引っ張られているので残った額が少なく、これで食材を買うのか、というと最後、数十円の値上がりが目立つという流れのように感じます。
端的な話、上昇率で見ると上げ幅は高そうに見えるのですが、絶対額で見るとさほどではないのです。今回もスーパーマーケットでは丹念に価格チェックをしていろいろ買ってみました。それぞれの商品は以前より商品によっては数十円高くなっているな、という印象はありますが、米価などが大きく下がっていますし、最終的には負担額がものすごく増えた感じはしません。
私が食品消費税はポピュリズムのバラマキと考えているのは今回の食品消費税の減税が絶対に必要か、といえば景気は悪くない中、そこまで求められるものではないとみているからです。むしろ生活レベルが上がってしまい、安いものが買えなくなり、家計の自己調整機能がワークしなくなっていると考える方がナチュラルであります。
首相の決断はいずれにせよ大きな議論を呼ぶでしょう。支持率にも為替にも影響が出ることは必至です。私からすれば「言わなきゃいいものをなんでそんなこと、公約に入れるのかね?」としか申し上げようがありません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年7月28日の記事より転載させていただきました。






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